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第91回関東大学サッカーリーグ戦 1部リーグ(前期) 第10節
6月17日(土) 日立市民運動公園陸上競技場
東洋大 1ー1 駒大
同点ゴールにガッツポーズを見せる坂元
カウンターからドリブルを仕掛ける
マン・オブ・ザ・マッチに選出された
その得点は決してきれいな形ではなかった。それでも坂元(社3=前橋育英)は勝利に向けて、泥臭く結果を求め始めている。
相手DFがクリアしたボールを押し込んだ同点弾。その前にも2人の選手が得点を取りにシュートを放っている。坂元は押し込むだけの形ではあったが、「誰にでもできる得点かもしれないけど、1点は1点」と胸を張って得点を喜んだ。
坂元と言えば、右サイドからカットインをして利き足の左足で強烈なシュートを放ち、得点を狙うというプレーが印象的である。だが、今季の坂元はまだそういった形からの得点はない。むしろ相手のミスからボールを奪取してカウンターで得点を奪ったり、今節のような押し込む形での得点が増えてきている。もともと今年からFWとしてプレーの主戦場が変わったということもあり、サイドから仕掛けるというシーンが昨年よりも減ってきたことは事実だ。だが、それ以上に味方のロングボールを競り合ってつなげたり、前線から相手DFにプレッシャーをかけたり、くさびのパスを受けて起点になるなど、一人のプレーヤーとしての幅を大きく広げている。
1部という新しい舞台で坂元は「自分たちは個人技がずば抜けているわけではない。泥臭い得点で勝ち点を積み上げていければいい」とチームプレーに徹しながら、自らも得点を決めるという意思の強さを見せた。その中で「自分が1点でも多く取ってチームを勝ちに持っていくこと」と自ら得点を奪う大切さも語っている。昨季と比べても相手にボールを持たれることが極めて多く、そのために90分間で守備に追われる時間帯も増えてきている。そういった中でボールを奪ってからの速攻や、攻撃時に人数をかけて得点を狙いにいくことで好成績を残している東洋大。チームトップの5得点を挙げる坂元の得点パターンやプレースタイルは、今季の東洋大の泥臭くとも得点を狙いにいくチームの形を象徴しているのであろう。1部では華々しいプレーばかりが通用するわけではない。きれいな得点ではなくとも、どれだけ勝利のために貪欲に戦えるか。高校時代に全国高校サッカー選手権決勝を戦い、右サイドを凌駕していた彼も、今は関東大学サッカーリーグでFWとして、新境地を開いている。
◾︎コメント
・坂元(社3=前橋育英)
勝てた試合だった。自分の点で追いつけたことはよかったが、勝てなかったのは勿体無いし悔しい。(得点シーンは)誰にでもできる得点かもしれないが、自分にとっては1点は1点なので、そこは嬉しかった。(今日の引き分けは)前節は負け試合を1点ぎりぎり拾えたという形だったが、今節は勝たなければいけない試合だった。(次戦へ向けて)前期の最終節で、これを勝つか勝たないかというのは、後期いいスタートを切れるかにも関わってくると思うので、チーム全員で気持ち高めていい試合をして、勝ち点3を取りたい。
TEXT=藤井圭 PHOTO=美浪健五、藤井圭