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第91回関東大学サッカーリーグ戦 1部リーグ(後期)第12節
東洋大 1ー2 流経大
得点となるシュートを放つ松崎
ドリブルでチャンスを創出する
シュートを放った瞬間、鈍い音がした。会場が東洋大の先制点だと確信させたボールは、ネットに吸い込まれずにポストへ直撃。しかし、そのボールは、シュートを放った彼の元へ再び帰ってきた。落ち着いて沈め、後期初ゴールを決めた男は、7月にU-20全日本大学選抜に選ばれて、ミャンマーへ遠征した松崎(国2=大宮Y)だった。
その知らせが届いたのは前期リーグの最終戦を残した6月下旬だった。2年前の全国高校サッカー選手権大会で活躍した選手や、前期リーグで2年生ながらレギュラーとして台頭している選手たちが多く並んでいる。その中に東洋大から“松崎快”の名前が入っていた。前期の最終戦を終えて、チームから離れた彼は相当な思いでミャンマーへと向かう。「常にいいプレーや周りとは違うプレーをしなければいけない」。選手で東洋大からただ一人選ばれた松崎は、結果を残すことを意識してサッカーと向き合った。しかし待っていたのは、ミャンマーという慣れない環境への対応の難しさだった。「食事や水だったり普段と違う状況で、どの選手も体調を崩したりしていた」と松崎は話す。その過酷な環境は、松崎にも牙を向く。食事が合わずにお腹を下して体調が悪くなることもあり、そのせいで体重が3㌔も落ちた。ただ離脱する選手も多い中で、松崎は自分のプレーを心掛ける。東洋大の右サイドを切り裂くドリブラーが全日本選抜としてデビューを飾ったのは『KBZ Bank Cup 2017』でU-22香港代表との試合だった。後半から途中出場した松崎は、続くU-22カンボジア代表戦ではスタメンに名を連ねると、44分にチームの2点目となる得点を決めて結果を残す。「ユニバーシアードも2年後にあるので、そこを目指してリーグ戦にもいい結果が残せればいい」。さらに上を目指す松崎の目線には、ユニバーシアードという目標が立っていた。U-20全日本大学選抜の日程が終了した後に行われたユニバーシアードでは、男子サッカーは金メダルを獲得した。自分たちの代が中心となる2年後に向けてさらなる闘志を燃やしている。
松崎がミャンマー遠征で抜ける中で、チームは「アミノバイタル®︎」カップ2017で神大に敗戦を喫し、総理大臣杯への出場は叶わなかった。「全国のいいチームと対戦する機会を失ってしまったので、関東大学リーグで強い相手と戦って、勝ちを重ねていきたい」と悔しさを滲ませながらも、すでにリーグ戦へと照準を合わせている。後期リーグでチーム最初の得点を記録し、ひと回りもふた回りも成長した勇敢な戦士が、目標の残留へ向けてミャンマーで得た経験をチームに還元する。
・松崎(国2=大宮Y)
ショートカウンターからいい形で先制できて守備も狙い通りにできていたが、セットプレー2発でやられてしまった。(得点シーンは)左サイドからいい形でボールを取ってくれて1対1の状況になったら決めなければいけないと思っている。その中で一度ポストに当ててしまったが、しっかり決められて良かった。(全日本選抜について)すごい選手と一緒にできて自分自身もいい経験ができたし、そういう選手として見られると思うので、常にいいプレーというか周りとは違うプレーをしなければいけない。(次戦へ向けて)日体大も残留争いへ向けて負けられない相手だと思うので、まず自分たちのいいプレーを出しながら勝ちに持っていければいいと思う。
TEXT=藤井圭 PHOTO=美浪健五