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08年ぶりのリーグ戦春秋連覇を成し遂げ、今年度で勇退する高橋監督の有終の美を飾った硬式野球部。春の笑顔の優勝から一転、秋は多くの選手から涙があふれるほど、戦国東都の頂は険しかった。Vロードを歩んだ選手の心境をお届けする。
第3日目は甲斐野(営3=東洋大姫路)。昨季はわずか1試合の登板にとどまるも、今季は中継ぎとして8試合に登板する大躍進を遂げた。5勝という驚異的な勝ち数のみならず緊迫した試合でのマウンドさばきや152㌔をマークした直球など球場に訪れた観客に衝撃を与えた右腕が飛躍のシーズンを振り返る。
(取材日=11月26日、聞き手=須之内海)
ーー自身の今季を振り返っていかがですか
今回タイトルを2つ取ることができたのは自身になりますし、それだけチームの勝利に貢献できたということだと思うので、いいシーズンになりました。
――今季、最優秀投手賞とベストナインを獲得できた要因はなんだったのでしょうか
優勝が一番だと思います。あと、中継ぎでも5勝を上げられたこと。この2つが大きいと思う。ただ、いただいた票は(満票が16票で)6票なのでだいぶ僅差でした。
――勝ち星もさることながら今季は梅津(営3=仙台育英)投手との152㌔コンビで球場を沸かせましたね
152㌔出たとき実感はなかった。高校のときはMAX143㌔。何かしたから速くなったという意識はないけど、上半身と下半身の連動はいつも意識していたからそれが形になったのだと思います。
――5勝の中で一番印象的な試合を教えてください
良い試合だと、亜大3回戦ですかね。勝った方が優勝という緊張感。今思い出すと凄まじかったです。悪かった試合は立正大2回戦のサヨナラ暴投負け。投げた瞬間に終わったと思ったけど、そのあとの登板では終わったことだからと切り替えられました。一つの分岐点だったと思います。
――神宮大会では2試合とも登板がありました
機会をもらえたのは素直にうれしいこと。初戦は中継ぎで投げて今まで通りの投球ができました。ただ、寮で投球の動画を見ていたら修正すべきところも見つかった。日体大戦ではそこを修正できたのに打たれた。日体大戦の原因は制球が乱れていたこと。全国のレベルになると甘い球は痛打されると身をもって実感しました。
――1大会で先発と中継ぎ両方を任されましたがどのように感じていましたか
先発と中継ぎだと思考が違いますね。先発は負けるのは自分の責任。ただ、比較的長いイニングを投げられるので修正がきく。中継ぎは短いイニングで結果を残さないといけないから難しいです。
――今季、登板回数が増え改めて理想の投手像などは
たくさん三振をとれる投手ですね。特に直球で三振を奪えるようになりたいです。そういう点で村上(総1=智弁学園)は直球で三振をとるイメージがあるから魅力的です。
――直球で三振を奪える投手になりたいということですが、改善していきたい点はありますか
直球の回転をもっときれいにしたいです。そうすれば打者の手元で伸びてくれて、今使っている変化球がもっと生きてくる。来季までにやりたいことの一つ。
――他にこの冬積みたいトレーニングなどはありますか
高校の時より太くなったがまだ細いので身体を大きくしていきたいです。ただ、機械に頼らないトレーニングをやりたいと思っているので、今は情報収集をしている最中ですね。
――今回、12月2日から愛媛県で行われる代表強化合宿に選抜されましたね
合宿に行って、代表に残ることは大切。ただ、合宿では全国から色々な選手が集まってくる。投手からは普段の練習方法を聞きたいし、打者と対戦するときはタイプ別にどう攻めるのが有効なのかなどを学びたいと思います。
――最後に、来季にむけて目標をお願いします
チームとしては、3連覇を目指して春季で優勝して、選手権大会の制覇も目指したい。個人としては、極論先発完投で防御率は0点。この成績が投手の最高成績だからそこに近づけていくことが目標です。