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第90回日本学生氷上競技選手権大会
12月28日(木) テクノルアイスパーク八戸
東洋大4-2中大
[ゴール(アシスト)]
22:18 坂元(奇、柴田)
22:22 武部(阿部、柴田)
26:43 古川誠(出口)
59:46 清水
好セーブでチームの窮地を救ったGK古川駿
DF坂元の同点ゴールはチームを勢いづけた
FW武部はインカレ2度目となるゴールを決めた
ゲームウイニングゴールを決めたFW古川誠
得点を決め、ガッツポーズで喜びを表すFW清水
日本学生氷上競技選手権大会(以下、インカレ)4日目の相手は2年連続インカレ準決勝で敗れている中大。1ピリで先制されるも、2ピリで一挙3得点。さらにGK古川駿(社3=八戸工大一)のビックセーブが光り、リードを守り切って最終スコア4-2で3年ぶりとなる決勝の舞台へ駒を進めた。
試合前、ホテルでのミーティングで鈴木監督は「60分間全力で戦おう」と選手に告げた。その言葉に応えるように開始直後から選手たちは攻撃するが、緊張で動きが堅くなってしまい早々と中大に先制点を許してしまう。しかし、GK古川駿は「最初の失点は東洋大の勝ちのパターンだったので、仲間を信じて諦めずに止めた」と、失点に動じず好セーブを連発。その後もFW出口(社3=駒大苫小牧)やFW武部(社1=苫小牧工業)などがパスやドリブルで攻撃するも中大に遮られ、両チーム譲らずにパックを奪い合う。
0-1のまま迎えた2ピリ。ゲームが動いたのは開始3分。DF奇(社2=宣徳・韓国)からパスを受け取ったDF坂元(社3=清水・北海道)が同点ゴールを決めた。そして、わずかその4秒後、FW武部が2点目を挙げ遂に逆転。中大も負けじと攻撃を仕掛け素早いドリブルで抜けられるシーンも見られたが、FW勢も含めて一人一人がチームのためにゴールを守った。また、FW出口との連携でFW古川誠(社3=白樺学園)がパックを流し込んで3点目を獲得すると会場からはひと際大きな歓声が。その後SH(ショートハンド)の状況で1点入れられてしまうも、チームはそれに動じず攻撃を続けた。東洋大からペナルティが出ることもあったが、選手同士で「大丈夫、大丈夫」と声を掛け合って鼓舞していた。
1点リードでこのまま勝ちたい東洋大は、全員が体を張って中大のパス回しや強い当たりからピンチを守るが、まさかの残り3分半で中大のシュートが決まる。しかし、FW山田主将(社4=埼玉栄)がすぐさまレフリーに駆け寄り確認。これは相手がゴールクリーズ内に入り接触があったためノーゴールに。1点差を守りつつラスト30秒。中大が6人攻撃にシフトした瞬間、パックを捉えたFW清水(社1=白樺学園)がGKのいないゴールへシュートを一閃し4点目が決まる。最後の最後まで、60分間、全員で戦い抜き、4-2で試合は幕を閉じた。
「今日がすべて」と監督が語ったように決勝に進むためには妥協の許されない一戦だった。インカレでは中大に2年連続準決勝で敗れていた東洋大。3度目にしてリベンジを果たした。ベンチ横にはベンチ入りしていないメンバーのユニフォーム、そしてインカレで引退となるマネージャーを含む4年生メンバーの名前が書かれたボードが掲げられていた。チーム全員が一つになって戦った試合だった。決勝の相手は6年間勝利できていない明大。しかし、反撃の準備は整った。新しい歴史が幕を上げるのはもうすぐだ。
・コメント
・鈴木監督
かなり選手たち緊張していたと思うので、動きはすごく堅くて特に1ピリは判断悪かったり、あまり体が動かなかったりというところがあったんですけど、全員で力を合わせて東洋らしい試合で粘り強くプレーをした結果が今日の結果につながったと思います。(1ピリ後選手への声かけは)細かいポイント結構あったので、特に中央のブレイクアウトはいいチームなのであまりFWとDFの間を空けないで5人がコンパクトに動こうということで、フォアチェック、ニュートラルゾーン、Dゾーンすべてのゾーンにおいてそういう指示をしました。(ペナルティが2回だけでしたが)トップリーグを吹いているレフリーで、選手たちも基準が掴みやすかったゲームだったかと思います。(ロングシュートについて)近めのシュートもあったんですけど、1ピリもすごくリバウンドが出ていたので2ピリも後半は枠外したシーンが多かったですけれど、1ピリ終わってからの指示でリバウンドを狙っていこうと話していたので、遠めからでもどんどん打っていこうという意識が選手たちにもあったのではないかと思います。(決勝は3年ぶりです)今の4年生たちは決勝を知っていますし、あとは本当に日本一になるためにここまでやってきたので、明日全力を出せるようにまた今から準備したいと思います。(明日は明大戦ですが)過去の試合はここまで来て参考にならないという風に思っていますので、うちの力を60分間出し切ることに集中して、ただ明大はチャレンジするにふさわしいいいチームだと思いますので、100パーセントのチャレンジで臨みたいと思います。
・FW山田(社4=埼玉栄)
(1年生以来の決勝進出を受けて心境)うれしい以外にない。今年のスローガンが「スタート」で、スタートさせる上でやっとスタートラインに立ったと思った。もちろんあと一勝しなきゃいけないんですけど。勝ちたいって気持ちが決勝にいったことでより強くなった。(試合を振り返って)今回のゲームキーの60分東洋のホッケーやるっていうことが、ほんとに実践できた試合だったんじゃないかっていうふうに思う。いつも40分はできるけど20分できないとか、そういう試合が続いていた。やっぱりトーナメントってことでほんとに一つのプレーで流れが変わってしまう。リーグ戦と違ってあとがない、もう勝つしかない、勝ち進むしかないというそういうプレーオフのメンタリティで、そこが中大より上回っていたんじゃないかな。(チームメイトと声掛けなどは)こうしようって話は出ていたが、やっぱり試合なので全部が頭に入ってくるわけじゃなくって。でもみんなベンチで一切ネガティブな声がなくて、ポジティブな声だけだった。なんていうか、雰囲気が負ける気がしませんでしたね。(決勝の明大戦に向けて)ここにきてチームが本当に一つになったなっていうふうに思っていて、試合出てる人もベンチ入っていない人もそうでない人も、全員一つになれた試合だった。今トーナメント通して成長できているので、最後勝って、今年の東洋を完成させたいと思います。
・FW古川誠(社3=白樺学園)
(初の決勝の舞台になりますが)大学入ってから決勝という舞台を経験していなくて。今の4年生にも優勝を味わわさせてあげたいという気持ちでこのインカレをやってきたんで、まずもう最後のステージに立つことができて本当にうれしく思っています。(優勝したら9年ぶりとなるが)今いる学生全員、優勝を経験したことがなくて。1回もサークルで校歌を歌ったり、胴上げしたりってことがないので。今日の流れのまま明治に挑んでチャレンジして、結果は後から付いてくるし、自分たちのプレーをすれば絶対に勝てると思うので頑張りたい。(明大戦ではどのようなプレーをするか)向こうは三冠も二連覇もかっているので、絶対向こうも本気でくると思う。こっちもチャレンジャーとして全力でぶつかっていきたい。(中大へのリベンジは)立ち上がりから東洋らしいホッケーができて。僕が1年生の時も準決勝で中大に負けて、2年生の時も中大に負けていたので、昨日の夜はもうセットとかでも「三度目の正直だ。絶対やってやる」と言って試合に来ていた。こういう大舞台でリベンジできたことが素直にうれしいです。(ゴールについては)今、もうずっと決めていて、3日連続でゴールなので、"絶対俺が決めて勝ってやる"という気持ちでずっとゴール狙っていて、それが最後にゲームウイニングゴールにつながって。本当にやることをやってきて、インカレ前から徹底的にシュートの準備はしてきていたので、そういう結果を大舞台でしっかりつなげることができて良かったなと思う。(決勝に向けての意気込みを!)勝てばもう9年ぶりの優勝で、まだまだ1〜4年生まで優勝を経験したことがないので、自分たちのやるべきことを60分間やったら自然と結果が付いてくると思うので、絶対4年生にこの場を借りて恩返しするという気持ちで全力でやりたいと思います。
・GK古川駿(社3=八戸工大一)
インカレ2年連続準決勝中大に負けて終わっていたが、やっとその壁を超えられたと言う気持ち。序盤に失点してしまったんですけど、それは東洋大の勝ちパターンだったので味方を信じて、これ以上崩れるつもりもなかったですし、諦めずに止められたのでよかった。そんな中で2ピリでポンポンと得点も決めてくれましたし、勝てるという直感は間違っていなかったと思った。メンタルトレーナーの辻さんが言っていたのは、入れても入れなくても揺るがない気持ち、FROWの気持ちでプレーしろと言われたので冷静にできました。フル出場はハードでしたけど、最後まで諦めない気持ちがこの勝利という結果につながったと思う。明大戦も絶対に出場したいし、何年も勝てていない明治ですが、地元の決勝戦でリベンジして優勝します。
・DF坂元(社3=清水)
3度目の正直で中大に勝つことができてうれしい。でも決勝戦で勝たないと何も意味がないので絶対決勝戦で勝ちます。試合中ベンチの雰囲気もずっとよくて、先制されても雰囲気が崩れなかったことがよかった。(自身のゴール振り返って)あれはたまたま本当に目の前にパックが来ただけでキーパーもいなくて触るだけでした。サマーリーグぶりのゴールでした。決勝戦は明大に絶対勝って優勝します。
・FW武部(社1=苫小牧工業)
最初はみんな動きが堅くてリードされたんですが、そこで焦ることなく2ピリからいい動き出来て、リードしたとき3ピリもみんなで体張って守れたことが勝ちにつながったと思います。(ゴールについて)いいところにパックが来たのでそこをしっかり決めたんですけど、チャンスが結構あったんですけどそこを決め切れなかったのが今日苦戦した点だと思います。(リベンジを果たすと言っていましたが)みんな最初から気合い入っていて今までと全然違っていて、それが勝ちにつながったと思います。(明大に対して)今シーズン一度も勝ってなくて、でもここまでチームの状況を最高に持ってきているのでその勢いで勝てるのではないかと思います。(決勝は3年ぶり)それはあまり意識せずにそのときそのときの全力でやれば結果につながるかと思います。
・FW清水(社1=白樺学園)
高校3年生のときに動画でインカレを見ていたが、去年は中大と準決勝で負けていて、今年リベンジするチャンスが来た。4年生やチームのためにということを考えながら試合に挑んだ。もうこの試合は過去なので、明日に向けてしっかりクールダウンして準備していきたいと思う。(1ピリで先制されてチームの様子は)「リセット」とか「焦るな」という言葉を全員がかけていて、まだ2ピリ3ピリで逆転するチャンスがまだあるので、「絶対勝つぞ」って。みんな気持ち一つになって戦った結果がこういう風についてきたんじゃないかなって思う。(自身の得点シーンは)今大会は別に自分の活躍のためにプレーするとかを考えてなくて、チームのために何ができるかってことを一番に考えてプレーしていた。最後にオープンパスがくるのが見えたので、意地でもそこをカットしてやろうと走った結果、スティックに当たってそのまま前へ行って入れられた。良かったです。(決勝戦に向けて)ここ数年ずっと優勝できていなくて、ずっとみんな悔しい思いしていたと思う。その思いで夏から厳しいトレーニングやチームのミーティングとかをすごくやってきたので、明日はその結果を出せる機会だし大舞台なので、そこでチームのために、4年生のために、ということを頭に入れ込んで全力でプレーして、絶対優勝したいと思います。
TEXT=伊藤なぎさ PHOTO=玉置彩華、外狩春佳、川口朋珠、越塚日南