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2018.01.13
サッカー

[女子サッカー]大内スーパーゴールも 逆転許し早大に2-3で惜敗

第26回全日本大学女子サッカー選手権大会 準決勝 

1月12日(金) 味の素フィールド西が丘


東洋大2ー3早大


<得点者>


44分 楠

53分 大内


<出場メンバー>

▽GK

垣内愛菜(食3=大商学園)

▽DF

井口遥菜(食4=神村学園)

久保真理子(食1=浦和LY)

常田菜那(食1=大商学園)

山幡あや(食2=常盤木学園)

▽MF

松井彩乃(食3=聖和学園)

田嶋みのり(食4=飛鳥)

大島彩香(食2=久喜)

常田麻友(食1=大商学園)

▽FW

楠春佳(食3=千葉U-18)→90分 長谷川珠英(食4=飛鳥)

大内梨央(食1=常葉学園橘)


大内の勝ち越しゴールはチームに勢いをもたらした


この試合の先制点を奪った楠


山幡は早大に負けない体の強さを見せた

 

 第26回全日本大学女子サッカー選手権大会(以下、インカレ)準決勝の相手は早大。両者譲らず点の取り合いとなった戦いは、88分に早大に勝ち越しゴールを決められ2-3で惜しくも敗戦。大体大との3位決定戦へ回ることになった。



 前半、試合の主導権を握ったのは東洋大。DFラインからのコーチングを頼りに、徹底したリスク管理で相手に自由を許さなかった。また、DFの背後に抜け出される場面があっても井口(食4=神村学園)、山幡(食2=常盤木学園)が最後まで体を寄せ、粘り強い守備を見せる。前半最大のピンチは41分、右サイドでの競り合いで相手に体を入れ替えられ、そのまま振り抜かれたシュートはクロスバーに直撃。一瞬の出来事に会場は悲鳴とため息であふれた。

 「ピンチの後にはチャンスあり」とはよく言ったもので、直後の東洋大の攻撃は左サイドの大島(食2=久喜)のドリブルから起点をつくると、中央で競り合ったボールに楠(食3=千葉U-18)がいち早く反応。「絶対自分が決めてやる」と強い気持ちを乗せて放ったシュートはGKの手の先を抜けてゴール右へ吸い込まれた。「チームとしてはすごくいい内容だった」という戸田監督の言葉どおり、前半を理想の展開で折り返した。

 

 しかし、相手は現在インカレ2連覇中の王者・早大。後半開始早々の47分、左サイドからあがったクロスに頭で合わせられすぐさま同点とされる。立ち上がりの失点で一気に早大に流れが傾いてもおかしくないところで、窮地を救ったのは1年生の大内(食1=常葉学園橘)だった。ゴール前中央で田嶋(食4=飛鳥)からボールを受けると、うまく切り返して右足一閃。「落ち着いて打てた」と話したシュートは右ポストを叩きそのままネットを揺らした。このスーパーゴールには会場が大興奮。この得点で2-1と再びリードを奪った。

 このまま逃げ切って決勝への切符を。誰もがそう願っていたが、王者は最後まで立ちはだかる。70分、CKのクリアボールを拾われると、左サイド低い位置からのクロスから同点ゴールを奪われる。そしてこのまま延長へ突入かと思われた88分、右サイド深い位置からのボールにヘディングで合わせられる。1度はポストに救われるものの、こぼれた先にいたのは早大の選手だった。これを冷静に押し込まれ逆転のゴールを許してしまう。その後の追撃もかなわず2-3で試合終了。あと一歩力及ばず、悔し涙を飲んだ。


 第39回関東女子サッカー選手権大会関東地区予選、関東大学女子リーグで大敗を喫していた相手に対して好ゲームを演じることができた。これについて「成長につながると思う」(楠)と敗戦の中から手ごたえを得る選手もいた。2日後には大体大との3位決定戦が控えている。これが4年生と戦える最後の試合となるため、大内は「4年生を笑顔で終わらせたい」と話すなど意気込みは十分だ。より高い順位で終えるため、4年生を笑顔で送り出すため、それぞれの思いは一つになる。


■コメント

・戸田監督

(試合の入り方は)最初の15分は相手陣地に押し込んで、自分たちがプレッシャーをかけて相手を押し込もうという意図で入った。(前半は理想的だったのでは)そうですね。前半終了間際に理想的なゴールが生まれたので、チームとしてはすごくいい内容だったと思う。(ハーフタイムでは)前半1本相手のシュートがバーに当たったシーンがあった。早大は必ず1試合で1点を取る力を持っているので、そこをちゃんと締めて入らないと難しい試合になるぞと伝えた。(2得点を振り返って)後半の失点シーンがすごく良くない時間帯だったので、その後に大内がスーパーシュートを入れてくれて、これは勝つゲームの流れかなと正直思っていた。(早大の強さはどこか)早大は一人一人個の能力も高いし、最後のところで得点を決める精度が研ぎ澄まされているので、そこは見習うべきところだと思う。そういうところで僕らも決めることができれば、インカレ優勝というところも見えてくると思うので、チームの課題として持ち帰らせていただこうかなと思う。(3位決定戦へ向けて)やっぱり有終の美を飾りたいと思っているので、選手たちは今日はまだ気持ち切り替えられないかもしれないけれど、明日の練習を有意義にして必ず3位という成績を残したい。


・楠(食3=千葉U-18)

最後終わって応援席にいる4年生の顔を見たら泣きそうになった。やっぱり勝てた試合だった。相手もそう簡単には勝たせてくれなくて、悔しい。(早大の印象)一人ひとりがみんな上手。少しでも隙をつくったらやられると思った。(何を意識したか)まずゴールを決めることを考えた中でプレーしようと思った。ゴール前は絶対譲らない、ゴールを自分が決めるぞといい思いで臨んだ。(得点シーンを振り返って)ゴール前だったので絶対自分が決めてやるという気持ちでやった。西が丘でゴールを決められたと思ってうれしかった。(早大相手に2得点を奪えたことは)前回、前々回ぼろ負けしたので、今回戦い方を変えてあそこまでできたのは成長につながると思う。(具体的にどういうところを変えたのか)前からディフェンスという形だったが、少し引いて相手のストロングポイントを抑えつつディフェンスという形を意識した。相手がやりづらかったのかなと思う。(応援は)応援席の声とかチームの応援歌とかがすごく聞こえて、試合中のモチベーションに欠かせないと思った。(次戦に向けて)悔いの残らないように、4年生全員のために絶対勝ちたい。


・大内(食1=常葉学園橘)

率直に悔しい。準決勝まできて、よりチャンスが少ないと思うが、絶対チャンスが来ると思っていたので準備していた。ゴールシーンは落ち着いて打てたと思う。今日負けてしまったが、ここから切り替えて、3位と4位では全然違うと思うし、4年生を笑顔で終わらせたいと思う。


[次戦試合予定]

第26回全日本大学女子サッカー選手権大会 

3位決定戦 1月14日(日) 対大体大 味の素フィールド西が丘 9:15キックオフ


TEXT=美浪健五 PHOTO=藤井圭、金澤瑞季、土橋岳