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平成30年度東都大学野球一部春季リーグ戦
5月5日(金)神宮球場
○東洋大4x-3駒大
(イニングスコア)
3回戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 |
駒大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 |
東洋大 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1x | 4 |
(東洋大)
上茶谷、○甲斐野(1勝)ー佐藤
二塁打:岡崎(十回)
・打撃成績
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 |
1 | (指) | 山本(法2=作新学院) | 4 | 0 | 0 |
2 | (左) | 小峰(営3=帝京) | 2 | 1 | 1 |
飯塚(営3=藤代) | 2 | 0 | 0 | ||
3 | (中) | 竹原(法4=二松学舎大付) | 4 | 1 | 1 |
4 | (二) | 中川(法4=PL学園) | 4 | 1 | 1 |
5 | (捕) | 佐藤(法3=聖光学院) | 3 | 0 | 0 |
6 | (右) | 岡崎(営1=帝京) | 5 | 1 | 1 |
7 | (一) | 堀北(営3=龍谷大平安) | 4 | 1 | 0 |
8 | (三) | 津田(総3=浦和学院) | 2 | 0 | 0 |
佐々木(営1=帝京) | 0 | 0 | 0 | ||
齋藤(法2=東洋大牛久) | 0 | 0 | 0 | ||
9 | (遊) | 小川(法2=霞ヶ浦) | 1 | 1 | 0 |
計 | 31 | 6 | 4 |
・投球成績
名前 | 回 | 打 | 球数 | 安 | 四死球 | 三振 | 責 |
上茶谷(法4=京都学園) | 8 | 31 | 123 | 5 | 2 | 20 | 3 |
〇甲斐野(営4=東洋大姫路) | 2 | 7 | 25 | 0 | 1 | 3 | 0 |
この日20奪三振の好投を見せた上茶谷
勝利が決まると上茶谷(左)は甲斐野へ駆け寄った。
勝ち点の掛かる駒大3回戦は岡崎(営1=帝京)の適時二塁打でサヨナラ勝利。そして、先発の上茶谷(法4=京都学園)が20奪三振と新記録を樹立した。
圧巻のピッチングだった。相手の1番打者は緒方(駒大)。駒大との1回戦で初球を左前に運ばれ、先発を務めた試合で唯一の先制点を奪われるきっかけを作られた相手だった。それでも、上茶谷のピッチングは初回から安定していた。ファウルで粘られながらも最後はバットを振らせ空振り三振。この日、緒方に安打を許さなかった。初回を三者連続で空振り三振に仕留めると二回、4番・岡田(駒大)には外角のストレートでしっかり抑える。「外が見えていないイメージがあったのでそこを攻めた」と佐藤(法3=聖光学院)の好リードも響いた。5回までに積み上げた三振の数は15個。その後も「自信があった」というチェンジアップを駆使し、20奪三振。「三振の数は意識していなかったが会場がわっと盛り上がって気づいた」と20奪三振には会場も盛り上がりを見せていた。九回、甲斐野(営4=東洋大姫路)にマウンドを託すと降板する上茶谷には会場、そしてベンチから拍手が送られた。
十回裏、岡崎の適時打でサヨナラ勝利が決まるとベンチからはチームメイトが飛び出す。上茶谷は真っ先に甲斐野へ駆け寄り、互いの背中をたたき合った。
ここまで努力の連続だった。大学1年生からベンチ入りを果たすが、先に芽が出たのは甲斐野、梅津(営4=仙台育英)。二人の背中を追って上茶谷は裏で地道な練習を続けた。2年生の終わり頃から継続しているウエイトで体重は75㌔から85㌔まで10㌔増量。上半身と下半身に日にちを分けて肉体改造に取り取り組んできた。さらに、自分でフォームの改造を決意すると、納得のいくまで投げ込んだ。その熱量は「努力し続けられるのは自分も見習わないと」と主将の中川(法4=PL学園)が語るほど。たゆまぬ努力が上茶谷をここまで成長させた。
憧れの投手はダルビッシュ有(MLB・シカゴ・カブス)。「あそこまでのレベルに達していてもまだ研究心がある」と上を目指し続けるダルビッシュに感銘を受け、自分も努力を重ね続けた。
1992年、2002年に出た18奪三振の記録。上茶谷はそれを16年ぶりに更新し、東都大学野球に新しい記録を樹立した。また、ここまで積み上げた三振の数は69。歴史を塗り替えた右腕はどこまでも躍進を続ける。
▪️コメント
・杉本監督
優勝を狙うには今日のこの雰囲気を忘れないでほしい。野球には何があるかわからないから、失敗をしても勝てばいい。上茶谷はすごく良かった。最後の最後で少し焦りが出てしまったが、脱力できていたしよかった。知識を知恵にして、それをチームとして出していけたらいいと思う。試合に結果が出るので試合が鏡のようなものになっている。即戦力として送り出せるような選手たちを育てていきたい。
・中川主将(法4=PL学園)
(4回の適時打は)変化球をずっと狙っていた。逆方向への意識があったからこそ拾えた球かなと思う。(九回内野陣で集まっていたが)一個ずつ確実にアウトを取ろうという風に全員で言っていた。(下級生の活躍は)頼りになりますしつないでいこうという気持ちになった。(立大戦に向けて)全員で必死に勝ちにいきたいという気持ち。本当優勝が見えてくるのでまずは一個ずつ勝っていきたいと思う。
・甲斐野(営4=東洋大姫路)
今日みたいな展開での登板は難しかった。いつも通り、五〜六回あたりから準備をし始めたけど上茶谷の調子があんなに良かったからゆっくり準備していた。暴投した球はフォーク。落ちるのが早過ぎた。ただ、その後のバッターだったり次の回は切り替えてしっかりと投げ切れたから良かったと思う。特に十回の投球はすごい落ち着いて投げられたし、全体を通して良かったストレートで攻めれたのは収穫だと思う。
・上茶谷(法4=京都学園)
九回は自分の甘さが出てしまった。真ん中に投げてしまい、追い込んだボールよりも甘く入ってしまった。甘い球を投げてしまうと当てられるというのは1試合1試合目考えて来た。(20奪三振について)五回を終えてあと3個だとチームメイトに言われていた。中大との1回戦で16個三振を取れたが、三振を取ろうと意識はしていなかった。(八回で20奪三振を達成して)「やった」とかじゃなくて「出たな」と思った。スタンドがわーっと盛り上がって20奪三振だと気づいた。勝ち投手ではないが、チームが勝てたのでそれが一番。これで負けたら本当に申し訳なかったので勝ってよかった。
・佐藤(法3=聖光学院)
(上茶谷投手のリードについて)監督から総力戦で行くと言われたので、全ての球種を使って、持っている物を全て出すつもりで抑えに行った。相手の岡田(駒大)に対してはストレートで攻めていった。外が見えていないイメージがあったのでそこを攻めた。今日の上茶谷(法4=京都学園)のストレートなら、かわしつつ押していけると感じていた。(9回の失点について)先頭が左打者だったので、スライダーを拾われるのが怖くてストレートで攻めた。打たれた場面は打者が一枚上手だった。(救援登板の甲斐野投手について)難しい場面の登板で、緊張していたようだが、よく抑えてくれたと思う。暴投もあったが、キャッチャーの自分が後逸を恐れて変化球のサインを出せないようではいけないと思い、思い切って投げさせたので、焦ることなく、同点でもいいと思うことができた。野手陣も「気にすることはない。」と冷静に守ってくれたので頼もしかった。(十回の申告敬遠について)自分が試合に入り込みすぎていて途中まで気づかなかった。「あれっ?」と思った。岡崎(営1=帝京)が決めてくれてよかった。(再来週の立正大戦へ向けて)最近はミートポイントを前にして打とうと意識しすぎて突っ込んでしまっている部分がある。監督にも試合中に指摘された。空き週を挟むのでしっかり調整したい。
TEXT=望月優希 PHOTO=川口朋珠、望月優希