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第94回日本学生選手権水泳競技大会
9月7日(金)~9日(日) 横浜国際プール
(1日目・予選)
◆女子50m自由形
8組
4着 布施谷 26”38
→全体16位でB決勝進出
9組
4着 山本真 26”23
→全体10位でB決勝進出
10組
5着 遠山 26”43
◆女子400m自由形
3組
5着 濱田 4’16”96
→全体13位でB決勝進出
8組
5着 清水 4’22”04
◆女子200mバタフライ
2組
2着 中澤 2’18”96
5組
2着 中野 2’11”32
→全体5位で決勝進出
3着 藪 2’12”62
→全体7位で決勝進出
◆女子200m背泳ぎ
5組
1着 白井 2’12”22
→全体4位で決勝進出
4着 今井 2’14”71
→全体11位でB決勝進出
7組
3着 大久保 2’12”57
→全体5位で決勝進出
◆女子100m平泳ぎ
4組
7着 磯部 1’11”44
6組
4着 江口 1’10”39
→全体12位でB決勝進出
8着 松原 1’11”40
◆女子4×100mフリーリレー
5組
1着 東洋大 3’45”43
(白井ー岩本ー遠山ー田中佑)
→全体1位で決勝進出
(1日目・B決勝)
◆女子50m自由形
3着 山本真 26"28
5着 布施谷 26"33
◆女子400m自由形
6着 濱田 4'17"74
◆女子200m背泳ぎ
4着 今井 2'14"77
◆女子100m平泳ぎ
3着 江口 1'10"08
(1日目・決勝)
◆女子200mバタフライ
1位 中野 2'08"32
7位 藪 2'12"34
◆女子200m背泳ぎ
5位 大久保 2'12"70
6位 白井 2'12"87
◆女子4×100m フリーリレー
3位 東洋大 3'45"29
(白井ー岩本ー山本真ー田中佑)
前半から落ち着いたレースをみせ2連覇を成し遂げた中野
4年生の意地をみせ決勝に進んだ藪
ラストインカレでベストタイムを更新した大久保
白井は初日から4レースをこなした
4人中3人が1年生というメンバーながら3位入賞を果たした東洋大(左から白井、岩本、山本真、田中佑)
年に一度の学生だけの競泳の祭典が幕を開けた。3日間にわたって横浜国際プールで行われる第94回日本学生選手権水泳競技大会(以下、インカレ)。初日の女子は200mバタフライで2連覇を成し遂げた中野(文3=長岡大手)や4×100mフリーリレー(以下、4継)での3位入賞がチームへ活気をつけた。
最初の種目、女子50m自由形には布施谷(済4=墨田川)、山本真(国1=関西大第一)が先陣を切りB決勝に進出。布施谷は予選から順位を上げて「出し切ることができた」と笑顔で最後となるインカレをスタートさせた。同じく4年生の大久保は、200m背泳ぎで予選からベストで泳ぎ、念願のA決勝へ。女子400m自由形に出場した濱田(国3=須磨学園)もシーズンベストを大きく上回るタイムで初のB決勝進出を決める。大学に入ってなかなかタイムを出せずにいた濱田の好調な泳ぎに、東洋大の応援席からは喜びの声が挙がった。
決勝種目が次々と行われていく中、なかなか表彰台に登れずにいた東洋大。そんな中、「あまり流れが良くないので私の優勝で変えられたらなと思う」と女子200mバタフライに中野が登場した。昨年のこの種目の覇者だが、今年優勝することは容易ではない。今年8月に行われた第13回パンパシフィック水泳選手権大会(以下、パンパシ)、第18回アジア大会(以下、アジア大会)の日本代表である長谷川と持田(共に日大)がいるからだ。“日本代表”の二人がいることに対して思わず「3位が限界かな」とも発言した中野だったが、周りからの応援や期待の中、心の内では連覇を虎視眈々と狙っていた。スタートすると隣のレーンの長谷川に先行されたが、ここで慌てはしない。平井先生にも「落ち着いていけよ」と言われた通りにピッチを刻むと、ラストに向けてペースを上げていく。そのまま大声援の中でトップの長谷川をかわしてフィニッシュし、自他ともに認める夏女が、シーズン始まりの不調を一切感じさせない強さで東洋大メダル獲得者第一号となった。共に決勝を泳いだ藪(営4m武蔵野)も昨年は中野とワンツーフィニッシュを成し遂げたが、序盤から遅れてしまい残念ながらメダルには手が届かなかった。しかし「150mのターンをした頃に周りを見るが、その時点でもう(中野が)全然いなかった。頼もしい後輩のおかげで自分もここまでこられたので一緒に泳げて良かった」と2連覇した後輩をたたえた。
初日の最終種目は4継。予選を1位通過し、6連覇をかけて決勝に臨んだ女子の第1泳者はパンパシ、アジア大会を経験した白井(国1=宝塚東)だ。この日は個人で200m背泳ぎに出場したが「不安を抱えたままレースに挑んでしまった」と語り、6位と力を発揮できずに個人種目を終えていた。そして迎えた4継は決勝ということもあり、横一線状態を抜け出すほどの差はつけられない。そんな大混戦を飛び込んでいったのはリレーメンバー唯一の4年生、岩本(済4=京都外大西)。1年次からメンバー入りしている岩本は入学してから4継は3連覇中だ。4人の中で1番速いラップで泳ぎ、早大と同率1位で3番手の山本真(国1=関西大学第一)へつないだ。しかし、ここからは日大、筑波大に怒涛の勢いで抜き去られる。アンカーの田中佑(国1=明星学園)はラストの混戦を何とか勝利し、3位入賞を決めた。残念ながら連覇の数は5で止まってしまったものの、若いメンバー中心で組んだフリーリレーはまた来年にも期待できる。
昨年と比べるとメダル獲得の数は少なく終わったインカレ初日。しかし、予選突破者自体は決して少ないわけではなく、各々ベストや目標とするタイムで少しでもチームへ貢献しようと全力を尽くしている。残りの2日にどれだけ上位入賞者を増やしていけるか、大学対抗戦のインカレは始まったばかりだ。
■コメント
・岩本(済4=京都外大西)
優勝を目指してたので、悔しいがみんなで戦ってメダル取れたのでよかった。今までは偉大な先輩ばかりと泳いで1年目から優勝していたので優勝したかったが、私が引っ張りきれてなかった部分もあってちょっとダメだった。これから2日あるので頑張りたい。4年目で優勝できなかったのは頼りなかったが、1年生が頑張ってくれた。個人はA決に残りたい。4年生の女子が二人共ベスト出してるので私も頑張りたい。盛り上がって最終日まで頑張ります。
・大久保(国4=草津東)
最後のインカレで今まではB決勝落ちばかりだったので、初めてのA決勝でガウンを着れたのでとてもうれしい。だけど、決勝でタイムを上げられなかったのが残念。(初のA決勝は)応援もすごいし、何よりハイタッチがうれしかった。力をもらえる。(後輩たちが4年生のために頑張っているが)なかなか4年生として引っ張っていくことができていなかったけど、こうやって予選からベストを出して流れを作れたことは最後の役割としてはよかったのかなと思う。
・布施谷(済4=墨田川)
(B決勝を終えて)もう少し上げたかったけど、ベストで最後終われたので良かった。(ラストインカレが始まってみて)後輩たちが「4年生のために」って頑張ってくれていた。自分が東洋の1番初めのレースだったので、いい流れを作れるようにってやっていたらあっという間に終わってしまったけど出し切れたと思う。
・藪(営4=武蔵野)
予選の動きがそんなに悪くなかったので決勝はもっとタイム上がると思ったが、思ったよりも固くなってしまって後半の失速につながった。結構前から肩の調子が悪くて、自分の持ち味の腕のかき方とかストロークとかができないところがあった。(最後のインカレ)緊張はしていたけどみんなの応援がすごくあったので、緊張をうまくレースにつなげられるんだと思う。(隣には中野選手もいたが)なるべく周りを見ないで泳いで、150mのターンをした頃に見るがその時点でもう全然いなかったので「これはちょっとやばいな」と思った。頼もしい後輩のおかげで自分もここまでこれたので一緒に泳げて良かった。
・中野(文3=長岡大手)
(日本代表を二人抑えての優勝)予選泳いだ感じでベストは出ると思っていたので、あとはいい色のメダルが取れればなと思ったけど、やっぱり代表が二人いたので3位が限界かなと思った。だけど去年は優勝しているので連覇をして、担当のマネージャーさんが今回で引退なのでいい色のメダルをかけたいなと思って頑張った。決勝スタートしてみて意外と近くにいたので、最後に上げることができたのが勝因。(1年には負けられないなという意地はあったのか)代表に入っているので、(勝つのが)厳しいかなと思った。けどやっぱり仲間に応援されている中で、連覇っていうのに周りも期待してくれていたので、あまり人には言えなかったけど自分の中では狙ってはいた。(パンパシ、アジア大会はテレビでどのように見ていたか)4月になかなか調子が上がらなくて、悔しいとは思った。でもやっぱり自分は、周りにも“夏女”と言われているので、夏にしっかり結果を出せるように、すごいなとは思ったけど自分にできることを練習でしっかりこなしていくだけ。(表彰台第一号だが)50mフリーで同期の遠山ひかりが去年表彰台に上ったけど、今年は残念な結果に終わってしまったので、彼女の悔しい気持ちを自分が晴らすと勝手にそう思っていた。だけど、彼女も応援してくれたし同期なので力になるっていうかすごくありがたい。(100mは)厳しいけど、頑張って。1年生のときに(藪さんと)ワンツーして、去年は200でワンツーして。そこまではいかないと思うけど二人でまたA決に残れるように、同期の片山もいるので3人で2回泳げるように頑張ります。(大学としての目標)女子総合優勝を狙っているが、1日目はあまり流れが良くないので私の優勝で変えられたらなと思う。
・濱田(国3=須磨学園)
シーズンベストもB決に残れるタイムじゃなかったので、シーズンベストを2秒以上更新できてすごい嬉しい。大学3年間タイムが出てなかったのでちょっとずつ戻ってきたかなという感覚。応援の声が泳いでるときも聞こえて応援を見ながら泳いでいた。偉大な先輩が点数を取ってくれていたがディスタンスだったら私が上になったのでその分しっかり点数を取らないとと思った。(800m自由形は)自分らしく、前半ちょっと抑え気味で後半勝負したい。
・白井(国1=宝塚東)
先輩方とか卒業生の方からインカレは独特で他の試合とちがうよと言われていて、前日練習ではそういう風には思わなかったんですけど、レースが始まって緊張感がみしみしと体に伝わってきた。(決勝は)最近200m背泳ぎがあまりよくなくて、不安を抱えたままレースに挑んでしまったが、その不安がタイムにも影響してしまって申し訳ないタイムで泳いでしまった。(4継は)優勝を狙っていて、私が1番に帰ってきてそれを3人に任せるという感じになる予定だったが2番で帰ってきてしまって申し訳ない気持ちでいっぱい。(パンパシ、アジア大会を終えてプレッシャーは)代表に選ばれて、選ばれた種目ではちゃんと勝ち取らないといけないという気持ちがあるので、明日200mフリーがあるのでそこではちゃんと優勝して代表の意地を見せたいと思う。
・田中佑(国1=明星学園)
予選は後半に余裕を持って泳いだつもりで、タイムも上がる自信があったので無我夢中で泳いだ。(初めてのインカレは)インターハイのときは私の高校は部員が少なくて団体で戦ったりする余裕とか気持ちとかがあまり分からなかったけど、初めて出てみて楽しくて、今までとはちがうレースとか試合の雰囲気とかを感じられたかなと思う。
・山本真(国1=関西大学第一)
(メンバー入りは)全く決まってびっくりしたんですけど、選ばれたからにはしっかりやらなきゃなと思ったんですけど、みんなの足を引っ張ってしまったなと思って悔しい。(明日からは)切り替えてしっかりベストを狙っていきたい。
TEXT=越塚日南 PHOTO=梅山織愛、望月優希、吉留奈津、牧田のどか