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平成30年度東都大学野球1部秋季リーグ戦・国学大3回戦
10月17日(水) 神宮球場
◯東洋大8-0国学大
3回戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
東洋大 | 0 | 2 | 3 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 8 |
国学大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | × | 0 |
(東洋大)
中田、村上、藤井、◯梅津(1勝1敗)、甲斐野-佐藤
本塁打:中川(三回)
三塁打:酒巻(六回)
二塁打:岡崎(二回)、津田(二回、六回)、佐藤(三回)、竹原(六回)
・打撃成績
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 |
1 | (右) | 末包(営4=高松商) | 5 | 1 | 0 |
2 | (中) | 竹原(法4=二松学舎大付) | 3 | 2 | 2 |
打 | 山崎基(営2=愛工大名電) | 1 | 0 | 0 | |
中 | 片平(営3桐蔭学園) | 0 | 0 | 0 | |
3 | (捕) | 佐藤(法3=聖光学院) | 5 | 2 | 1 |
4 | (二) | 中川(法4=PL学園) | 4 | 2 | 2 |
5 | (左) | 小峰(営3=帝京) | 3 | 1 | 0 |
6 | (指) | 岡崎(営1=帝京) | 4 | 1 | 1 |
7 | (一) | 酒巻(営2=成田) | 4 | 1 | 0 |
8 | (三) | 津田(総3=浦和学院) | 4 | 2 | 2 |
9 | (遊) | 小川(法2=霞ヶ浦) | 3 | 1 | 0 |
計 | 36 | 13 | 8 |
・投球内容
名前 | 回 | 球数 | 安 | 四死球 | 三振 | 責 |
中田(営4=大宮東) | 2 | 26 | 0 | 1 | 1 | 0 |
村上(総2=智弁学園) | 1 | 24 | 1 | 1 | 2 | 0 |
藤井(法4=富士市立) | 1 | 19 | 0 | 1 | 1 | 0 |
梅津(営4=仙台育英) | 4 | 42 | 0 | 0 | 3 | 0 |
甲斐野(営4=東洋大姫路) | 1 | 16 | 0 | 1 | 1 | 0 |
力投を続けた梅津
ベンチから声援を送る
中川からウイニングボールを受け取った
ここからエースが優勝へと引っ張る
勝ち点をかけた国学大3戦目。先発のマウンドには中田(営4=大宮東)が上がる。その後は村上(総2=智弁学園)と藤井(営4=富士市立)がつなぐと、五回に杉本監督が投手の交代を告げる。「ピッチャー梅津(営4=仙台育英)」この一言から栄光へのカウントダウンが始まった。
「おれが渡すって決めてたんです」と語ったのは主将の中川(法4=PL学園)。試合後の写真撮影、カメラレンズの先にはこれまで渇望した初勝利を掴み、主将からのプレゼントと共に笑顔を見せる梅津の姿が。エースはようやく待ち望んだ栄光を手に入れた。
最終回、「梅津には申し訳ない。何度も機会を奪っている」と悔いてきた守護神・甲斐野がマウンドへ。その姿を梅津はベンチの最前列で見守る。最後のアウトを取るとほっとした表情でグラウンドに向かうと頼れる主将から頼りにしている副将へ想いのこもった1球が渡された。
試合開始後すぐにブルペンに入った梅津。大学に入ってから取り入れた長い距離を投げる調整や、山なりの球を放るいつも通りの様子で準備を進める。今か今かと待ち望み五回にようやく名前が呼ばれた。全日本大学野球選手権大会以来のリリーフでの登板。「初球は自分の投球の基本」と語る直球から入る。1球1球力強く丁寧に、だが着実にアウトを重ね続け投じた球は42球。最後の1球で三振を奪うと力強くガッツポーズを見せベンチへ。記念すべき初勝利にも「今日は野手が盛り立ててくれた『ありがとう』と感謝を伝えたい」と自らの初勝利を8点の援護で演出したナインを労い明治神宮野球場を後にした。
「初勝利まで本当に長かった」と振り返る4年間。思うような投球ができず、もがき苦しみ続けた下級生時代。ようやく実戦のマウンドに上がったのは3年夏のサマーリーグ。新潟の地に志願し赴いた剛腕がライバルの見ぬ場でめきめきと頭角を現した。1年前の2017年10月11日、先発として国学大2回戦に登板。途中まで完璧に思われるも悲劇が襲う。「最初から飛ばした。試合前から脚の調子が良くなかった」と語る右足内転筋を肉離れ。その後もいく度となく初勝利へ挑戦していたが叶わない。「何で勝てないのか」と同僚の甲斐野に相談するほどに、他者に見えないところで悩んできた。ここまで苦しんだ右腕。それでも上がり続けたマウンドで結果を残した。「勝てないことが自分の弱さ」と言い続けていた男から弱さが消え、チーム4連覇最後のピースが埋まった瞬間でもある。
梅津が乗り越えた苦難の日々。その試練を乗り越えた男に今後立ち向かえないものはない。「野球をやめようか」と一時思った梅津も「野球をやっててよかった」と一言。ここまで思い悩んだ分、残りわずかな大学野球人生は次なる舞台の架橋とするべく、迷わず進む。最終戦、最後に笑うのはエース梅津擁する東洋大学硬式野球部だ。
■コメント
・杉本監督
(継投は)昨日から考えていた。バッター陣は、1回戦では清水くん(国学)から打てず、結果は出なかったが、練習してきたので。1回戦でやられているので向かっていけた。(今日の継投について)最初から中田には二回まででいいと言っていた。村上と藤井も1イニングと決めていた。上茶谷は来週のこともあるので上茶谷を使わない投手リレーを考えていた。バッターも点を取って、あまりにもうまくいきすぎました。バッターの調子を信じていないとこういうことはできない。ピッチャーライナーのラッキーはあったが、大功労者は中田ですね。控えの投手も去年よりさらにいい。力がある選手がいるからこそできた継投。あの点差になった時点で梅津には3イニングくらい任せようと考えていた。梅津の今日のピッチングは良かったと思いますよ。(亜大戦に向けて)来週に希望ができた。うちはピッチャーの駒も持っているので。ガチンコで勝負できる。
・梅津(営4=仙台育英)
今日は他のピッチャーが4回までタスキを渡すような形でつなげてもらった。ピッチャーと野手に感謝の気持ち。昨日の夜は先発に備えて準備していたが、朝後からいくと言われた。ここまできたら悔しさはなかった。チームが勝つことが一番大切なので、勝ててよかった。今日は色々な気持ちが混ざっていたが、守備にも助けられてしっかり抑えられた。1戦目を終えてから気持ちが落ち込んでいたが、寮でも野手が明るくて、自分も今日の試合で全身全霊で全てを出したいと思っていた。今日の勝ちは野手と投手がもり立ててくれたおかげ。本当にありがとうと言いたい。今まで勝てなかったことなどが一瞬で消えた。中川も自分のことのように喜んでくれた。井上コーチにもブルペンでたくさん声をかけてもらった。自分を信じて、自分の投球スタイルを貫いて、まっすぐの球中心の強気なピッチングができた。初勝利までの道のりはめちゃくちゃ長かった。今日野球をやっててよかったなと思った。ウイニングボールはお母さんに渡します。
・甲斐野(営4=東洋大姫路)
今日の先発が中田なのは朝に言われた。そこからの継投の話とかは出てなかった。総力戦で行くってことなのかなと解釈して試合に臨んだ。自分自身は梅津のあとを受けてマウンドに上がったけど、そんなに力みとかはなかった。点差が点差だったんでスイッチが入るのが少し遅かったかなと。昨日は先頭の話をしましたけど、そういう意味では四球はそんなに気にならなかった。結果的にしっかり抑えられたので。来週の亜大戦で勝てば優勝という状態。ここまで来たらもう勝つ流れじゃないですか、亜大の残りを連勝で終えて4連覇を達成します。
・藤井(法4=富士市立)
バッターが打って、ピッチャーは継投で抑えて、100点満点の試合でした。自分の調子は点数でいうと50点くらいで良くない。でも1回戦で、一回やられてるので、とりあえず全力で抑えようと思っていました。(梅津投手の初勝利は)自分の後に梅津が投げるのは分かっていたので、「頼むよ」と声をかけた。初勝利はめちゃくちゃうれしい。本当にうれしくて、やっと勝たせてあげられたなと。おめでとうと言いたい。(亜大戦へ)勝つだけです。
TEXT=須之内海 PHOTO=須之内海、齋藤洋