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第102回日本陸上競技選手権リレー競技大会
10月27日(土)・28日(日) 北九州市立本城陸上競技場
日本選手権男子 4×400mリレー予選
1組
1着 東洋大(柴崎-中村-松原-吉津)3'09"91 ※決勝進出
日本選手権男子 4×400mリレー決勝
3位 東洋大(柴崎-櫻井朴-松原-吉津) 3'09"70
1走・柴崎→2走・櫻井朴
3走・松原→4走・吉津
北九州市立本城陸上競技場にて第102回日本陸上競技選手権リレー競技大会(以下、日本選手権リレー)が開催された。4×400mリレー(以下、マイル)にて大会連覇がかかる東洋大は予選を1位と順当に突破し決勝に進出するも、住友電工、中京大に僅差で敗れ3位でゴール。4年生最後の大会で惜しくも連覇とはならなかった。
予選では、1走柴崎(法1=米沢中央)、2走中村(ラ3=九州学院)、3走松原(法3=九州学院)、4走吉津(ラ2=豊橋南)と4年生抜きの布陣となる。中村の起用について「200mで走れているのと来年マイルメンバーの一人に入ってもらわなければならないということで使った」と梶原監督は語る。レースは柴崎、中村と2走まででしっかりと先頭の背中に付く。そして3走の松原が最後の直線のところで首位に躍り出る。一位でバトンを受け取った吉津は、一度も抜かれることなくそのままゴール。来年を想定したメンバーで順当に決勝進出を果たした。
予選から約3時間後、連覇がかかる決勝がスタート。予選で2走を走った中村に変わって主将の櫻井朴(総4=国学院栃木)を投入し優勝を狙いにいく。なお、絶対的エースウォルシュ (ラ4=東野)は欠場となった。1走は予選と同じく柴崎。「最初の200mで後ろの選手に抜かれてしまい戸惑ってしまった」と自分のレースが出来ず。予選よりもやや遅いタイムで2走の櫻井朴へ。バトンを受け取るとすぐさま先頭を捉える。しばらくこう着状態が続き、ラスト100mへ突入。最後は主将らしい走りで一人抜き3位でバトンリレー。3走の松原は予選のときのように首位に踊り出ようとするもやや疲れが見え、順位を上げることはできず。マイル連覇は4位でバトンを受け取った吉津に託される。バックストレートに入ると中京大の川端がスピードを上げていきレースは大混戦に。一度は放されるも勝負は吉津が得意とするラスト100mに委ねられる。住友電工、中京大のペースが少しずつ落ちていくなか吉津が猛烈な追い上げも見せる。しかし、あと一歩及ばず3位と連覇を逃す結果となった。
「来年は関カレ、全カレ、日本選手権リレーで3冠を達成してほしい」と櫻井朴主将から後輩たちへ思いは託された。ウォルシュという大エースが卒業となってしまう来年度だが「全員がエースになれるようにしていく」と梶原監督の期待は高い。今日の予選で好走を見せた中村を始め、選手層の構築とチームの底上げがカギとなってくる。新主将となった松原を中心に新たなチーム作りが始まる。
◾️コメント
・梶原監督
(予選では)2走に使った中村は高校時代、マイルでインターハイ優勝チームの一員になったり、最近では200mでそこそこ走れており、今の段階で400mがどの程度走れるのかを試した。来年は、メンバーの一人に入ってきてもらわないといけないと思ったので使ってみて実際今日はそこそこ走れていた。あとは無理をしないでとにかく順位をしっかりとって予選は通そうと思った。予選は予定通りだった。決勝では、中村を外して櫻井朴を入れた。中村はある程度走れるということが確認できたので櫻井朴を入れた。ジュリアン(ウォルシュ )を使うという選択肢ももちろんあったが、足の方は問題なかったがここで走ってちょっと違和感が出たりすると来年は4月からアジア選手権等で自己ベストを出すような仕上がりにしていかなければいけない状況である。ここで無理して足に違和感が残ったままで冬をむかえたくないのであえてジュリアンを外した。ジュリアンなしでも勝つ可能性は十分にあるというところで本当の力が試される試合となった。1走の柴崎はここで予選と決勝2本走れれば、うちの1走として確立できるのでそれを期待して1走にした。松原は今までに1日に2本走れたことがなかったが来年キャプテンにもなるし、4年生としてチームを引っ張らなければならない。2本目でどの程度走れるのか、ここで走れるというところを本人には証明して見せろというところで3走に使った。吉津は予定通り4走に置いた。(決勝では)1走の柴崎が予選よりちょっとタイムが遅くて最後伸びなかった。松原も2本目はキレがなくなってしまったというところで課題を残した。ジュリアン外してもきちんと走れれば日本一になれたと思うが、1年生から4年生まで一人ずつ使って勝てなかったのは残念。しかし、他にも使える選手というのが見つかったしそれぞれ課題は見つかったので、結果は残念だったが来年に向かって目処をつけたいと思っていたところはついた。ただ、連覇できなかったのは残念だった。(来年度に向けて)大エースがいなくなった中で、全員がエースになれるようにしていく。来年入ってくる子たちもこの秋に国体で3位になったり、日本ジュニアで優勝したりとそういう子たちが秋になって走れるような状態で冬に入って新しく来てくれる。また今までと同様、最後の4人を選ぶのにどうしようかと悩むようなそういうチームになれるかなと思う。ただジュリアンのような大エースはいないのでそれぞれが本当に底上げをしていかなければいけない。今日のレースで走った選手は感じてくれたと思うのでそういうチームを作っていきたい。
・櫻井朴(総4=国学院栃木)
3位という結果は悔しい。調整は各自だったので、そのとき自分がやれることをやってきた。(決勝振り返って)自分以外は後輩で2本目だったので、どうにか自分のところでトップに持っていければ勝機はあったと思うので敗因は自分かなと思う。大学の競技生活最後でジュリアンに今まで助けてもらった分、自分がチームを助けたいという気持ちで走った。(後輩にむけて)今年勝てなかったが、来年は関カレ、全カレ、日本選手権リレーの三冠を達成してほしい。
・松原(法3=九州学院)
(3位という結果について)全員の弱いところがでたレースだったと思う。(今日までにどんな準備をしてきたか)今回は各自調整という形が多かったので、個々として調整していく中でどのくらいパフォーマンスができるか、それが来年への指標にもなってくるので来年のためにもしっかり土台を作るのが今回のレースだったと思う。(予選、決勝振り返って)予選は特に4年生がいなかったので、新チームとしての土台というのが試されて、しっかり予選は順当にとれた。決勝で4年生で勝負するという気持ちがみんなあったので突破できた点は評価できると思う。(来年度にむけて)今回悔しかったし、1位住友電工さんで2位は中京大学で、中京大学はみんな3年生以下で走ってるので負けられない。来年への指標というのは、今回の大会でつかめたし個々の弱い部分が見えたと思う。特に今回決勝を走った3人と予選を走った中村の弱い部分はわかったと思うので、しっかりこの冬に弱いところとか決勝で負けてしまう、僅差の段階で渡せないなど悔しいところをしっかり修正していく。自分は来年主将なのでこのチームを強くする責任というのを追っていると思う。マイルもそうだが4継ともに強くなって、強い東洋を作っていくんじゃなくて継続してこれからにむけてやっていきたいと思う。
・吉津(ラ2=豊橋南)
(3位という順位について)3位じゃだめですよね。ジュリさん(ウォルシュ )なしで勝てるチームじゃないと、来年特にジュリさんと朴也さん(櫻井朴)もいないのでもっと勝負したかったというのがある。(今日までにどんな調整をしてきたか)今回監督があえて指示を出さないというやり方できてて、特にダメだったというのはない。仕上げてもっとキレをあげていかければならない。それは試合前だからとかではなくて、走り自体のキレをあげていかなければならないと感じた。(レース振り返って)スピードがないなというのを感じた。前半ついていけなくて、中京大の川端とかが前に行ってるのに速いなと思ってついていかなかったり、結局その詰まってない分ラスト詰められるかといったら向こうも耐えてくる。まあダメだなという感じ。(来年に向けて)特に来年マイルはメンバーが一気にいなくなるので、それをどうするかというのをこの冬でしっかり答えを出していかないといけない。マイルは全カレ4連覇もかかっているので選手層をあげるなりいろいろなことをやっていかなければならない。
・柴崎(法1=米沢中央)
自分は全カレで使われていなくて力不足の部分があって、そこで監督がこの大会で使ってくれると言ってくださった。なので自分はここで一位で持ってきて絶対いい流れで渡さなければならなかったが、それができなくてただただ悔しい。(調整としては)一週間前にジュニア陸上があって、それの疲労を抜くとともにこの大会に合わせてきた。(予選と決勝それぞれ振り返って)予選では、前半うまく突っ込めなくて置いて行かれれるような形だったので決勝ではそれがないようにしようと思った。決勝では、前の選手に抜かれてしまい戸惑ってしまって、走らされるレースになってしまったので次からは自分のレースができるようにしていきたい。(来年度にむけて)今大会では連覇がかかっていてそれができなかったのが悔しい。全カレは来年連覇がかかっているので、先輩たちが築いてきたものを来年自分たちが崩さないように全カレ連覇できるようにしていく。
TEXT/PHOTO=小島敦希