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第37回全日本女子学生剣道優勝大会
11月11日(日) 春日井市総合体育館
1回戦 東洋大 1ー 1関西学院大※代表戦勝利
2回戦 東洋大 1ー 2鹿屋体大
監督(中央)たちは、笑顔で選手たちを見送った
代表戦で見事勝利し、チームを勝ちへと導いた山中
住友は大将として最後まで粘り強く戦い抜いた
第37回全日本女子生剣道優勝大会(以下、全日本)が春日井市総合体育館で開催された。3年ぶりの全日本に出場した東洋大。前大会2位と強豪の鹿屋体大に、1対2とレベルの差を感じさせないほどの接戦を繰り広げた。
1回戦の相手は関西学院大。先鋒・磯(ラ1=東海大管生)は序盤から激しく攻めるが、相手も決めさせてくれない。にらみ合いが続く中、磯が一瞬の隙をつき面を奪う。しかし相手もすぐ面を決め、引き分けとなってしまう。流れを変えたのは次鋒・山中(ラ2=新潟商業)だ。「次鋒というポジションで取らなければならない」と語るように、意識を高く持ち、果敢に攻め小手を2回決め、確実に勝利を収めた。その後、お互い引かない拮抗(きっこう)した試合が続き、中堅・川良(ラ2=島原)、副将・加藤(ラ3=左沢)が引き分けに。大将・住友(ラ3=磐田西)は「苦手のタイプであり、ペースがつくれなかった」と振り返るように、うまく攻めきれず胴を奪われ、一本負けとなってしまう。大将戦が終わり1対1と引き分けになり、関西学院との勝敗は代表戦に託された。相手が大将を出してきたのに対し、代表に起用されたのは調子が良い山中だ。初太刀から勢いよく攻め、山中がペースをつくっていた。何度も攻め続け、面を奪い、接戦の末勝利を収めた。
2回戦の相手は前回大会2位の強豪校である鹿屋体大。格上相手にも選手たちは攻めの姿勢で挑んだ。先鋒・磯が奮闘するも引き分けたが、次鋒・山中がリーチを活かした攻撃で小手を奪い、一本勝ち。中堅・石井(ラ1=磐田西)、副将・加藤も流れに乗ろうと攻めるも鹿屋体大の固い守りを崩すことが出来ず、逆に取られてしまう。勝敗は大将・住友に託されるも、激しい攻防戦が繰り広げられ、両者譲らない戦いが続く中、試合終了。1対2と強豪の鹿屋体大に食らい付いた。
団体戦と言う名の通り、1試合1試合の勝利で補い合い、声掛けで奮起し試合に挑む東洋大らしい良いチームワークが見られた。今回試合には出ていないが肝付(法4=上水)を中心に4年生が引っ張ってまとめ、強くて固いチームになった。今回で4年生は引退。強豪校相手に接戦を繰り広げた選手たちは、経験を活かし再び全日本の舞台に帰ってくるはずだ。
◾️コメント
・板原監督
(全日本を振り返って)目標は大きく優勝目指していた。相手を見ながらそこにあったチーム作りをしているので7人で戦う姿勢でやっていた。相手は関西で常にトップにいるチームだったので、気持ちでまず負けないように、思い切っていかせた。鹿屋大学っていうのは一流選手の集まりではあるが、向こうはいかんせんシード、こっちは2試合目というところも活かしながら、攻撃の姿勢を忘れないでみんなで向かっていけたかなと思う。(収穫は)どんな相手でも自分達の限度、強い気持ちでやればなんとでもなると感じてくれたと思う。鹿屋大学は高校10代ベスト4以上の選手ばかり集めている大学なので、そういう大学にあそこまで出来たのでそれがみんなにはプラスになったと思う。(今年のチームは)男子もそうだが、チームワークが素晴らしいチームだった。そこを大事にやって行きます。(来月の新人戦に向けて)女子も今出ているメンバーが残っているので、経験を活かしながらチームワークで頑張っていきたい。
・藤岡主務(ラ4=淑徳巣鴨)
(今日の試合を振り返って)初戦は代表戦までいったが、2回戦の鹿屋体育大との試合が印象に残っている。みんなで後ろにつなぐという意識がとても出ていたので、とても感動した。私たち4年生の中では、肝付(法4=上水)しか選手に入ってない。今大会で一度も出ることはできなかったが、それでも肝付を中心にチームかまとまって、楽しく笑顔で試合をしていたのでとても印象に残っている。(新チームに向けて)今日の試合を踏まえて思ったことは、このチームは本当に強いということ。新人戦も絶対に上位で入賞できると思うので、ぜひ頑張ってもらいたい。
・板谷(ラ4=東海大菅生)
(3年ぶりの全日本について)関東学生からだったんですけど選手として出られなくて複雑な気持ちではあった。選手たちが「みんなの分まで背負って戦って来ます」っと言ってくれたので、上から見ていたんですけど3年前は1年生だったので、見る目線も全然違って、今日は感じるものがあった。グッとくるものがあった。(後輩に向けて)全然優勝できるくらいの力のあると思うくらいの自慢の強い後輩たちなので、来年再来年も全日本に出ることは当たり前で、上位目指して頑張ってもらいたい。
・住友(ラ3=磐田西)
(大将として挑んだが)関東Aとなったので、全日本ではもっと強い人たちと当たると分かっていたので、初戦から気持ちをつくって自分のペースでやれという風に監督から言われていた。しかし初戦の相手は今までにやったことのないタイプの選手だっので苦戦してしまった。自分が負けてしまって、後輩に代表選で勝ってもらって、やはりチームで勝つということはこういうことなんだなと。途中でいろいろな人に声掛けてもらって、プラスに考え直すことができたので、チームで戦うということはそれぞれの役割を果たすことが大事だと改めて感じることができた。(初戦を振り返って)苦手のタイプの選手だったので、自分のペースがつくれずに5分間が終わってしまった。返しにいくにも何を狙えばいいのか分からないし、相手も狙うところがすごく怖かったので、一本負けになってしまった。本当は返したかったが、返しにいって取られるのもな、というマイナスなイメージが5分間の中でずっとあった。試合の中で切り替えて、相手を上手く判別するという思考が全然無くて。焦ってたので、落ち着いてやることの大切さを学んだ。(2回戦目は強豪校の鹿屋体育大との試合で、勝負がかかった場面だったが)初戦で後輩に頼る形となってしまったので、勝って挽回して、チームの勝ちにつなげたいという気持ちで挑んだ。チャレンジャー精神でやったが、やはりあと一歩自分の足りないところがあった。自分たちはまだ来年があるので、それを後輩にも同期にも伝えて、来年は自分や加藤で引っ張っていきたい。(今年のチームは)チームワークがよくて、チームで勝つということが成り立っていた。誰かが勝つ、私が勝ちたいではなくて、チームが勝てばいいと。そのためにはどうしようという、本当に盛り上がる試合ができていて、心底楽しかった。(引っ張ってきてくれた4年生へ)4年生に励まされたことがとても多くて、「住友なら大丈夫だから思い切ってやってきな!」と背中をすごい押してもらったので、最後に4年生に何か返せたかというと、形では返せてないが、それを自分たちが後輩に引き継ぐ、経験を伝えるというのも、先輩たちの恩返しになると思う。先輩たちに教えてもらったことを大事にしていきたい。とにかく「ありがとうございました」と伝えたい。(今後は)今回のチームで学んだ、チームワークとかチーム力にプラスして、個人個人の実力とか、引き技や切りぎわの強化、技術面の強化もプラスして、さらにチーム力を付けて来年は全日本でさらに上に行けたらいいと思う。
・山中(ラ2=新潟商業)
(試合を振り返って)全体の目標としてはあまり上を見過ぎないで、1試合1試合チームで勝っていこうってことをやっていった。自分は今日次鋒というポジションで取らなきゃいけないと思ったので、果敢に攻めて1試合目も2試合目もチームのために取りにいった。試合中も自分に回ってくるかなって思っていて、その前から気持ちを作っていた。今日は会場入った時からやる気に満ち溢れているというか身体も1試合目で結構動いたなと思っていて、監督から初太刀狙っていけって言われていたので初太刀から入った。自分が次鋒は取りにいかなきゃいけないし、相手鹿屋体育大は強いので、自分の相手もインターハイチャンピオンだったので名前に負けてられないなって挑んだ。(収穫は)気持ちの問題は大事だなって思った。関東より今回気持ちが作れていたが、それを関東から最初から作れるようにしなければならないなと思った。(今年のチームは)出ている選手の7人だけでなく部員全員が愛知まで応援に来てくれて一丸となって試合ができたのでいいチームだった。(新人戦に向けて)今回見つかった課題を選手だけで収めるのではなくて、全員で共有して全員が同じ目標に向けて取り組んで優勝を目指します。(引っ張ってきてくれた4年生へ)肝付先輩も試合出られなくて選手には入れない4年生もたくさんいたので、もっと勝って賞状とかメダルを持って帰りたかったが、自分が力不足で申し訳なかった。今までチームを引っ張って来てくれて感謝の気持ちでいっぱい。
TEXT=松井美乃 PHOTO=小野由佳莉