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第92回関東大学サッカーリーグ戦 1部リーグ(後期)第22節
11月24日(土) 栃木市総合運動公園陸上競技場
東洋大2-2国士大
<得点者>
44分 小林
81分 坂元
<出場メンバー>
▽GK
松本健太(国3=柏U-18)
▽DF
坂本涼斗(国2=柏U-18)
浦上仁騎(国4=大宮Y)
土田直輝(国2=大宮Y)⇒17分 張ヶ谷知樹(国4=柏U-18)
渡辺星夢(国4=前橋育英)
▽MF
坂元達裕(社4=前橋育英)
高橋宏季(国4=FC東京U-18)
坪川潤之(国3=矢板中央)
野本幸太(国2=市立船橋)
▽FW
松崎快(国3=大宮Y)
小林拓夢(国3=帝京長岡)→79分 荒川勇気(国3=旭川実業)
先制点を挙げた小林
張ヶ谷は急な出場にも落ち着いて対応した
試合後喜び合う浦上と古川監督
勝てば全日本大学サッカー選手権大会(以下、インカレ)出場が決まる国士大戦。前半に小林(国3=帝京長岡)のゴールで先制するものの後半に逆転されてしまう。しかし81分に坂元(社4=前橋育英)が起死回生の同点ゴールを決め、2-2で試合終了。創部初となるインカレ出場を決めた。
明大を除く上位6校がインカレ出場権を獲得できる関東大学サッカーリーグ。7位の東洋大は勝てば自力でのインカレ出場が決まる。前半から先制点を取りたい東洋大だが、試合開始早々アクシデントに見舞われる。12分に土田(国2=大宮Y)が相手との接触の際に肩を負傷し、交代を余儀なくされる。急遽出場となった張ヶ谷(国4=柏U-18)だったが「最初緊張した部分もあったけれど、できると言い聞かせてやっていた」と落ち着いたプレーを披露。国士大の攻撃を跳ね返す。このまま前半終了かと思われた44分、CKの流れから高橋(国4=FC東京U-18)がクロスを上げると前線に残っていた浦上(国4=大宮Y)がキックフェイントで一人かわしてからシュートを放つ。これが小林の足元に来ると「押し込むだけだった」と左足で合わせ、先制点を挙げる。
「ワンチャンス生かせて先制できたというところはプラン通りの前半だった」と古川監督は前半を振り返った。
しかし後半、国士大の猛攻に合うと62分に右サイドからのクロスからヘディングで合わせられ同点、4分後にはエリア内で相手選手を倒し与えたPKを決められ逆転を許してしまう。他会場では8位の流経大が先制し、このままいくと順位が入れ替わりインカレ出場が断たれてしまう状況に追い込まれた東洋大。浦上を1列上げ、坂元をサイドからトップに変えるなど攻撃的に出ると81分、この采配が吉と出る。高橋のドリブルから松崎(国3=大宮Y)へパス。松崎が中に入れたボールを坂元が押し込み同点に追い付いた。
試合はこのまま守り切り2-2で終了。この結果、流経大と勝ち点が並んだものの、得失点差で東洋大が上回りインカレ出場権を獲得した。創部初のインカレ出場に古川監督も「ホッとしている」と安堵の表情を浮かべた。
「春先から攻撃的なチームを作ってきた」と挑んだ今季。しかし、先制される展開が多く開幕6試合で3分3敗となかなか勝てず、前期リーグは10位と苦しんだ。そこで「守備のバランスとかコンパクトに戦うという部分に立ち返った」と古川監督は戦術の変更を決断。すると後期リーグでは先制点を許したのは2試合のみ。失点数は前期リーグの半分の9と格段に減った。
次からは負ければ終わりのトーナメント戦。インカレへ導いた守備力がカギとなってくる。張ヶ谷は「全員でまた同じ方向を向いて日本一を目指していきたい」と大学最後の大会への意気込みを語った。
初出場の勢いそのまま勝ち上がることができるか。歴史はまだ塗り替わる。
■コメント
・古川監督
ホッとしている。国士さんも降格が決まってからここ3試合いい勝ち方をしていたので、簡単なゲームにはならないと思っていた。前半相手が前からプレッシャーをかけてくるっていうのもスカウティングで分かっていたが、なかなか前半自分たちのリズムで試合ができなくて、押し込まれた中でもしっかり我慢しながらゲームをしっかりつくってくれて、その中でワンチャンス生かせて先制できたというところはプラン通りの前半だったと思う。(張ヶ谷について)難しい任務だったが、しっかり役割を果たしてくれた。(逆転されてから)浦上を一列前にというはあったり、坂元をサイドから前に入れてゴール前に人数にかけるというのは準備していて、残り時間があった分なんとかなったという感じ。(坂元について)彼を中に入れた分、ゴールが生まれたと思うし、後期リーグのチームのバランスとしては坂元がサイドで、松崎が中っていうのが、全体の守備だとかバランスというのはとれたと思う。ただ得点を取るということでいったらやっぱりチームで一番点を取ってる選手なので、配置変えというかそういうところがうまくハマったと思う。開幕5試合終わった時点で2分3敗というスタートで、春先から攻撃的なチームを作ってきたつもりだったが、リーグ戦が始まってからは失点が先にくると前がかりになって追加点をとられるという形で自分たちがやりたい攻撃の方にパワーを注げない試合が続いた。その中で一回守備のバランスとかコンパクトに戦うという部分に立ち返って、そこからチームの安定感が生まれたと思う。前期の6節から安定した戦いができてきて、失点が減った中で得点も増えていってるというところでチームのバランスが大事だということを選手たちも認識してくれたと思う。早い段階で気づけたことでインカレの出場権にたどり着けたというかなんとか間に合ったという感じ。(インカレに向けて)改めて関東一部を戦ってみてどこも強豪だしその中で自分たちが関東の代表としてピッチに立つということを背負って関東代表の名に恥じないようにしたい。ただ、初出場というある意味怖さを知らないというところを武器にできるように思いきって、目の前の試合に集中してやりたい。
・張ヶ谷(国4=柏U-18)
率直にうれしい。今年の目標として全国を獲るというのを目標にしていた中で、前期苦しんでアミノでも苦しんで、後はインカレだけという状況になった。最後インカレもギリギリでこの1週間、先週から4年生だけでもミーティングをしてインカレに向けて全員が同じベクトルを持ってやっていこうと話していた。今日は応援の力も含めて全員の力で出場権を取れたと思う。(急な出場だったが)最初緊張した部分もあったけれど、自分の中で今までやってきたこともありますし、できると言い聞かせてやっていた。応援の力もすごくてみんなのためにもやらないといけないと思ってプレーした。(創部初のインカレ出場について)自分が入学してから1年目は初のアミノ杯出場、2年目は2回目の1部昇格、3年目は初の1部残留。今年も何か歴史を作ろうと話していて、自分たちで新たな歴史を作れて良かった。(インカレに向けて)インカレは一発勝負なので、1試合1試合すごい大切な試合になりますし、自分たち4年生にとっては最後になる。全員でまた同じ方向を向いて日本一を獲ることを目標にしているので、そこを目指していきたい。
・小林(国3=帝京長岡)
引き分け以上でインカレが決まるということですごい気合いが入っていた。なんとか前半で1点取れれば楽な形で試合を進めていけると思っていたところに仁騎くん(浦上)がいいボールくれたので押し込むだけだった。(坂元のゴールについて)エースだなって実感した。あの人の姿を見れるのも残りわずかなのでしっかり目に焼き付けて、来年自分たちが今の4年生みたいな戦い方ができるように学んでいきたいと思う。後期リーグから出させてもらって、自分的にもすごい充実した後期リーグだったし、一番成長できたと思う。(インカレに向けて)インカレでも自分の価値を示すにはゴールしかないので、貪欲にまずは1点とることを意識してやっていきたい。
[次戦試合予定]
第67回全日本大学サッカー選手権大会
1回戦 12月12日(水)vs 中国地区第1代表
浦安市運動公園陸上競技場にて 13:30キックオフ
TEXT=土橋岳 PHOTO=金澤瑞季、鶴田華穂、土橋岳、美浪健五