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2018.12.29
サッカー

[女子サッカー]大内2試合連続弾も日体大に敗れる 主将松井はチームメイトに感謝

第27回全日本大学女子サッカー選手権大会 準々決勝

12月29日(木) みきぼうパークひょうご第1球技場


東洋大1ー3日体大


<得点者>

50分 大内


<出場メンバー>

▽GK

垣内愛菜(食4=大商学園)

▽DF

出来村亜美(食1=飛鳥)→76分 澁澤光(食1=常盤木学園)

久保真理子(食4=成立学園)

山幡あや(食3=常盤木学園)

林みのり(食1=大商学園)

▽MF

常田菜那(食2=大商学園)

松井彩乃(食4=聖和学園)

斎藤麻由(食3=常盤木学園)→90分 佐々木葵(食1=花咲徳栄)

常田麻友(食2=大商学園)

▽FW

塩谷瑠南(食1=前橋育英)→HT 牛久保鈴子(食1=作陽)

大内梨央(食2=常葉学園橘)



同点ゴールを挙げた大内

主将としての責務を果たした松井

同期への感謝を語った垣内


 全日本大学女子サッカー選手権大会(以下、インカレ)準々決勝の相手は創部以来一度も勝利のない日体大。1点ビハインドの後半、大内(食2=常葉学園橘)の2試合連続ゴールで同点に追い付いたが、直後に勝ち越し点を許すと、試合終了間際にも追加点を奪われ1-3で試合終了。悲願の日本一の夢には届かなかった。

 

 2回戦からスタメンを変えずに挑んだ準々決勝。11分に松井(食4=聖和学園)のミドルシュート。3分後には常田菜(食2=大商学園)がドリブルで二人をかわしクロスを入れるが、味方には合わず。得点こそ生まれないものの、ファーストチャンスは東洋大がつかむ。しかし、その後は日体大に押し込まれると36分にFKを合わせられ失点。前半を0-1で折り返す。

 後半になると、2回戦同様に牛久保(食1=作陽)を投入。さらに「二人にしか分からないものを生かしたい」(戸田監督)と常田菜・常田麻(食2=大商学園)を右サイドに並べる。すると、その効果がすぐに結果となって表れる。50分、常田菜から常田麻へ縦パスを入れると、受けた常田麻はサイドを突破しクロス。エリア内にいた大内がDFにつかれながらも、ワンバウンドしたクロスに上手く合わせると、GKの頭上を越えネットを揺らした。大内はインカレ2試合連続ゴール。「ゴールは見えてなかったが、感覚はあった」とストライカーらしさを見せたゴールとなった。これで勢いに乗りたい東洋大だったが、この直後の53分に再度FKから失点。再び1点を追う展開となる。その後はロングボールを中心に猛攻を仕掛ける東洋大だったが、なかなかゴールを挙げることはできない。すると87分にはカウンターから痛恨の3点目を喫する。最後まで諦めない東洋イレブンだったが、最後まで得点を挙げることはできなかった。

 

 この試合を最後に4年生は大学サッカーを引退。松井は「プレー面よりも人間性を成長させてもらえた」と4年間を振り返る。松井とともに4年間を過ごした垣内(食4=大商学園)は「もっと一緒にサッカーしたかったので今日最後まで声かけて応援してくれていて、ありがとうという気持ちでいっぱい」と同期に向け、感謝の言葉を口にした。

 「終わってしまったけれど、これが新チームの始まりだなと思う」と松井が語るように4年生の引退は新体制の始まりを意味する。松井、垣内が「日本一を目指してほしい」と口をそろえた後輩への期待。夢は次の世代へとつながれる。


■コメント

・戸田監督

最初の失点というのセットプレーから入れられてしまったが、0ー1というのは想定内だった。後半、追い風だったというのもあるので、絶対1点取れるぞと選手を送り出して、いい形で大内が右サイドからのクロスを入れることができたが、大学リーグ同様に得点を取った後にすぐ失点をしてしまった、そしてそのチャンスを決めきるところが、カテゴリーが上で日々そういう試合をやってきている相手とうちの差なのかなというところは外から見てて感じた。(後半は)左サイドの選手が攻撃的な選手で守備が少し苦手な印象があったので、常田菜那と麻友という二人にしか分からないパスコースやタイミングだったり、そういうものを生かしたいなと思って、ポジションを常田菜那が右SBの常田麻友が右SHという形で通常通りにした。トーナメントとなので相手がリードしている状況であれば、パワープレーというのを創部初だが試みようということで一週間前から準備してきた。3点目の失点はパワープレーによってバランスが崩れて取られたというのがあるが、何度か決定的なチャンスもあったので、今後のチームの武器として生かしていきたい。(4年生に向けて)ピッチに立てたのは垣内と松井の2名で他の8名はピッチに立つこともできなかったし、ベンチに入ることもできなかったが、最後までチームのために準備だったり、ピッチに立つ選手のために自分は何ができるかというのを率先してやってくれたというのはすごい感謝しているし、彼女たちの器の大きさというのを改めて感じた。


・松井(食4=聖和学園)

日体大は個の能力が高いのは分かっていたので、それに対してどうやってチームで戦っていくか、少ないチャンスを決めきることをテーマに試合に入った。(HTにはどんな話があったか)昨年のインカレの早大戦で同じシチュエーションで逆の立場だった。その経験があったし、風上にも立てたので後半は勢いをもって入れたと思う。(最後の笛が鳴った瞬間は)やり切ったと思っていて、悔しいけどチームでここまで戦ってこれたことに対して感謝の気持ちでいっぱい。チーム39人が一丸となっていた。終わってしまったけれど、これが新チームの始まりだなと思う。(4年間を振り返って)プレー面よりも人間性を成長させてもらえた。入ってきた時は自分にも甘くて人にも甘かった。学年が上になるにつれて、先輩や監督が教えてくれることを受け止めて、変われたか分からないけれど、同じように後輩も感じてくれてれば、成長できたのかなと思う。(同期に向けて)みんな個性豊かで本当にバカで、でもサッカーやる時は本気でぶつかり合って、ピッチ外になると和気あいあいと仲良かった。そのメリハリが自分の学年のいいところだし、学年みんなで乗り越えてこれたチームだし、試合には私と愛菜しか出れなかったけれど、すごくみんなサポートしてくれて、プレーだけじゃないという大学サッカーの良さを伝えてくれた最高の同期だった。(後輩に向けて)今でも9人が試合に出ている。ベンチも1、2年生が大半占めているので、来年はもっと上を目指せると思うというのが正直な部分。でももっと自分たちとか1期生、2期生が残してくれたものを感じきれてない、伝えきれてない部分はあるので、もっともっとチームのために戦えるような、今以上にそういうオフの面とか、ピッチ外の面で成長して来年こそ日本一を目指してほしい。(プロへの意気込み)来月からもう始まるので、大学とは全然違う場になるし、結果を残せなければ生きていけない世界になる。この4年間で学んだこと全てを1年目出れるように合わせていきたい。出られないと意味がないと思うので、東洋大のブランドを背負って自分らしく戦っていきたい。


・垣内(食4=大商学園)

全然やれてない感じではなかったが自分のミスから失点してしまってあの1点がなかったら違う結果になった思うのであの時間に失点してしまったのが全てだと思う。(4年間振り返って)4年間試合に出させてもらったがこのチームに恩返しできなかったことと来年もこのチームでサッカーしたかったので申し訳ない気持ち。(4年間で成長した部分)4年間でメンタル的なところで1年生の頃と比べると成長できた思うし、人間的にもチームには成長させてもらったなと思う。(同期に向けて)もっと一緒にサッカーしたかったので今日最後まで声かけて応援してくれていて、ありがとうという気持ちでいっぱい。(後輩に向けて)サッカー面でも私生活でも結構お世話になったので感謝の気持ちを伝えたい。来年1、2、3年生は来年あるのでこだわるところの大切さとか、すごい感じたと思うので来年日本一取れるチームになってほしい。


・大内(食2=常葉学園橘)

悔しい。(ゴールシーンは)結構高いボールだったけれどゴール前だと思って押し込んだ。ゴールは見えてなかったが、感覚はあった。(どんな1年だったか)大学リーグはあんまり納得のいかない順位で、インカレで(悔しさを)晴らそうと思っていた。それができなかったのが悔しいし、その代わりに自分で得たものは大きい。(具体的には)プレーのオンの部分もあるし、4年生が残してくれたものが大きい。(4年生に向けて)自分にとって4年生の存在がすごく大きかったので、日本一にしてあげたかった。でもできなかったのが自分の実力不足だし、これが4年生が残してくれたものだと思うので、来年度からまた一からやり直していきたい。


TEXT=土橋岳 PHOTO=美浪健五、谷口奏生