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春季オープン戦でその日活躍した選手をお届けするスポトウが選ぶMVP。昨季逃したリーグ優勝・悲願の日本一を手繰り寄せるのは誰か。どこよりも早くリーグ戦のキーマンたちを紹介する。
寒さの残る中で行われた慶大戦は、打っては16安打９得点、投げては３失点の９対３で快勝を収めた。第12回は、第２号の酒巻翔（営３＝成田）同じく第４号の山田（総４＝桐生第一）、場外弾を放った佐藤都（法４＝聖光学院）の３名。
３本塁打の口火を切ったのは"打の東洋"の４番、酒巻だ。初回、変化球を拾う技ありの中前適時打を放ち、乗りに乗っていたこの男。四回の第３打席に代名詞の本塁打が生まれる。「カウントが３ボール１ストライクだったので狙った」と内角直球を振り抜くと、少し詰まり気味に左中間へ。打球はそのまま伸び左翼フェンスをわずかに越える本塁打となった。好調の秘訣は「考え方を少し変えた」こと。神宮球場に待望のアーチがかけられた時、新たな主砲は完全覚醒を遂げる。
打球が外野ネットを揺らすとグラウンドがざわめいた。五回に衝撃の３戦連発第４号ソロを放ったのは山田。「落ちる系を前でうまくさばけて。少なくとも凡打にはならないなと思ってましたね」と語る左の大砲。膝下の変化球に崩されながらも持ち前のパワーで本塁打にしてみせた。この日は今春オープン戦第１号となった日通戦に続き酒巻とのアベック弾に。「え、酒巻とアベックが打ちたいなんて俺は言ってない…」と試合後に主砲の近くで語り２人して笑顔を浮かべる。「オープン戦だけじゃだめ。リーグ戦で打てるようにしっかり準備したい」と大器の晩成は止まるところを知らない。オープン戦も残り５戦。この男の打棒がチームを勢い付ける。
佐藤都は昨年春の亜大３回戦以来の本塁打を放った。六回に代打として登場。「外角に目付けしていたので、少し入った球は甘く見える」と初球を一振り。グラウンド全体が静まり返るほどの飛距離を叩き出す一撃。防球ネットを越えた打球は中堅奥の道路に着弾した。観客に衝撃を与えた一発に、佐藤は「ヘッドを使えた。上手くボールがバットに乗りましたね」と冷静に分析。主将の打棒がチームに与える影響は計り知れない。「調子は上がってきた。開幕戦に照準を合わせて仕上げたい」。開幕を見据える背番号１の活躍がチームを"戦国東都"の頂に導く。
※学年は新年度のものです。
TEXT＝齋藤洋、須之内海 PHOTO＝須之内海
