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第98回関東学生陸上競技対校選手権大会
5月23日(木)~26日(日)相模原ギオンスタジアム
▼4日目
トラック総合2位 68点
男子800m 決勝
5着 坂本 1’49”34
男子3000m障害 決勝
11位 小田 9’23”65
12位 小室 9’28”20
男子5000m
5位 相澤 14’05”84
16位 西山 14’26”06
26位 及川 14’40”79
男子ハーフマラソン
2位 宮下 1:05’14
4位 蝦夷森 1:05’34
6位 定方 1:05’47
男子4×400mリレー
1位 東洋大(松原-中村-木立-吉津) 3’06”29
女子5000m
4位 和田 16’15”70
19位 田浦 17’09”89
26位 伊東 17’29”82
ゴール後喜ぶアンカーの吉津
マイル初優勝に笑顔を見せる選手たち(左から、木立、吉津、松原、中村)
宮下は日本人トップの2位でゴール
ロードで確実な力を見せる蝦夷森
定方は最初で最後の関カレで6位入賞
メダルを手に笑顔の宮下
5月とは思えない暑さの中行われた関東インカレ(以下、関カレ)最終日。ハーフマラソンでは出場選手3人が入賞し、男子4×400mリレー(以下、マイル)では悲願の関カレ初優勝となった。
予選から2走、3走のメンバーを変え臨んだマイル。1走は予選と同様、主将の松原(法4=九州学院)。梶原監督がレースのポイントとして挙げた松原は自己ベストのタイムで2走の中村(ラ4=九州学院)にバトンを渡し、主将として最高の役割を果たした。5月前半まで足を痛めていたという中村はその不安を感じさせない走りを見せた。ラスト100mの直線から追い上げ2位で3走の木立(法1=弘前実業)へ。1年生の木立はレース前「緊張していた」と話すが、意地の力走で1位に躍り出る。アンカーに世界リレー代表の伊東を配置する早大に勝てたのは木立の走りが大きかった。全てを託されたアンカー吉津(ラ3=豊橋南)は、日本代表にも選ばれる他大の選手の追い上げを振り切り、1位でゴール。見事関カレでのマイル初優勝を成し遂げた。
ハーフマラソンには、三大駅伝未経験者の定方(工4=川棚)、蝦夷森(ラ2=愛知)、宮下(工2=富士河口湖)が出場。東洋大の3選手は終始、先頭集団でレースを進める。後半、先頭が絞られてくる中でも3人は離れることなく、日大の留学生に食らいつく。終盤の日本人トップ争いになった時に一歩前へ出たのが宮下だ。「悪条件でも力を発揮できる」と言う宮下は暑さの中、ペースを落とすことなく日本人トップの2位でフィニッシュ。続く蝦夷森は4位、定方が6位と全員が入賞。この結果に酒井監督は「100点満点」と絶賛した。箱根駅伝で及ばなかった東海大にも対等な力を見せつけ、駅伝シーズンへ向けたメンバー争いも楽しみだ。
男子5000mには表彰台が期待された相澤(済4=学法石川)が出走。相澤は序盤、先頭を引っ張り好調に見えた。しかし、残り5周で留学生3人がペースを上げると、連戦の疲労もあってか付いていけず。5位に入賞したものの、表彰台には届かず悔しいレースとなった。
女子5000mで存在感を表したの和田(食3=順天)だ。和田はスタート直後は出遅れるものの、序盤からは少しずつ順位を上げていく。残り1周で表彰台まであと一歩であったが「上位3人との力の差を感じた」と振り返るように惜しくも4位でフィニッシュ。それでも和田は2週間前の日体大記録会で目標と話していた5位以上の結果と、有言実行の走りとなった。
マイル初優勝で締めくくった関カレ。入賞、表彰台が期待された種目で悔しい結果があり、昨年同様トラック総合2位となった。それでも100mの宮本(法2=洛南)、10000mWの池田(済3=浜松日体)が2連覇するなど強さを見せた東洋大。今後のさらなる飛躍から目が離せない。
■コメント
・梶原監督
マイルは昨日の結果を見て、2走・3走をどうしようかと考えた。決勝になればハイスピードのレースになるだろうということは十分予想はできた。ハイスピードの中でレースが進んだときに、そこに無理なくついていける木立と中村を考えた。ただその中で中村が、4月の後半から5月の前半にかけて足を痛めていてその時期に十分な練習ができなかった。試合に出てもいい成績が出なかったのも不安要素だったのでここは悩んだ。代わりにどうするのかと考えたときに、他の選手でも十分戦えるかと思ったが速いレースになったときに無理をすると後半が出なくなってしまうと思った。中村にしても木立にしても経験は少ないので、速いレースになったときに後半が出なくなってしまう可能性はもちろんあった。その中で途中リスクを感じながらもやはりスピードというところを重視してメンバーを決めた。(レースの最大のポイントは)1走の松原がどのような走りをしてどのような順位で持ってきてくれるかというところ。そこを4年生としてそしてキャプテンとして意地を出してくれた。自己ベストのタイムで1番で持ってきてくれてしっかり速いタイムの中での流れを作ってくれた。2走・3走の2人は、このような走りをしてくれればと思い送りだしたが、送り出した通りの走りをしてくれた。木立に関しては、最後早大の前に出てアンカーの吉津に渡すことができた。ここが勝つ上では、とても大きなポイントだった。早大の後についてバトンを渡していたら、早大のアンカーは世界リレーの代表なので少し苦しい展開になっていたと思う。わずかであっても木立が出てきて、前で渡せたときに8割は勝ったと思った。吉津に関しては、いつも前半をためすぎるくせがある。前半は無理をしないけれど今までほど前半はゆっくりではなくて、ためながらも相手にそこそこエネルギーを使わせるような前半を走った。直線に入る手前から仕掛けて、先に仕掛けて前に出て、一瞬パッと差が開いたというような走りをしてくれた。今までの吉津よりもそのような点では、進歩した走りをしてくれたおかげでいいタイムが出たし勝つことができた。今回走った4人はしっかりと褒めたいと思う。(これからに向けて)まだまだ本来走るべき選手はいるし、ハードルにしても練習でできていることが本番でできなかったということなどを含めて、精神的な部分の作り方などをやっていきたい。予選だけ走って決勝は走れなかった選手や別のメンバーがもう1つ自分の力を上げていきたい。リレーでは、メンバー争いが厳しくなってくればそれに応じて全体のレベルが上がってくると思う。みんなでもう1段階上げて日本インカレではさらにレベルアップしたチームを目指していきたい。
・酒井監督
(ハーフマラソン出場の3人は)100点満点。学生駅伝未経験者の選手たちで、しかも宮下が日本人トップ取れたことは非常に大きい。(相澤選手は)連戦による疲労がだいぶ見える。今回は1週間前の日本選手権からの連戦で、5000m1種目にしぼって、入賞を果たしたものの点数を考えるとこの悔しさを次に繋げていきたい。(関東インカレを振り返って)長距離ブロックとしてはハーフマラソンの3人入賞は非常にいい材料だが、10000m、1500m、3000m障害で点数を取れなかったことが、トラック優勝を掲げていただけに反省点だなと思う。この取りこぼしがトラック優勝を逃してしまったかなと思うが、関東インカレを通じて成長できた所もあるので、そこを駅伝シーズン、来年のチーム作りに繋げていきたい。
・松原(法4=九州学院)
(優勝の気持ちは)ずっと目標にしていたところで、目標にしていた記録。優勝を目標にして今シーズンは頑張ってきたのでそれが達成出来て嬉しいというのと去年は桐生さん(H29法卒=日本生命)が抜けて4継で優勝したんで、今年はジュリさん(ウォルシュ、H30ラ卒=富士通)が抜けてレベルが落ちると言われていたマイルで優勝するということが新しい東洋の時代を創っていくということとなったのがうれしかった。(予選から決勝へ向け)予選は監督から4年生の役割をしっかりやってくれと言われた。自分は1年生のときから1走をやっていて、やはり4年生になって役割はただバトンだけをつなぐだけではなくて色々な思いをつないで前に渡すことを心がけたのでチームを主将として、4年生としてしっかりとみんなを優勝に向かっていくような流れを掴み取るレースができた。スタートした時はやってやるぞという気持ちだった。みんなに安心感を与える面でも1走は僕しかいないと思っていた。しっかり自信も持ってスタートできた。特に前の9レーンに関カレの400mで優勝した北谷(東海大)がいたので監督からも置いていかれすぎるな、ためすぎるなと言われていたので前半から積極的にいつもよりいけたのはよかった。また、2走が同じ九州学院の中村だったので九州学院時代はインターハイも2人で優勝してそのメンバーで大学でも走った。7年間バトンをつないできたのでお互い安心して気持ちを託せたと思う。(今後へ向けて)関東インカレ初優勝は達成することが出来た。今後は特に全日本インカレ4連覇がかかっているので、予選を走った2人は悪かったのでその辺りの層の厚さをだして個々のレベルをアップしていくとおのずと4連覇の道が開れていくかなと思う。主将として最後までチームを引っ張っていけるように頑張る。
・中村(ラ4=九州学院)
監督からもよく周りを見ながらいくのも大事と言われたが、松原もいい位置で持ってきてくれたので積極的に走っていって全体的にいいレースだったんじゃないかなと思う。(レース前に監督やメンバーと何か話をしたか)最終学年なのでやっぱり最後の集大成ということでいろんな人から頑張れとか、集大成を見せてこいというふうに声掛けをもらったのでそれで頑張れた部分は多くあったと思う。(優勝した率直な気持ちを)素直にうれしいというか、来年後輩のみんなにいいつなぎができたんじゃないかなと思う。(今後に向けて)これから個人選手権に向けて個人の200mを中心にやっていきたいなと考えていて、もちろんそこで結果を出すことも大事だが全日本インカレに入るために、まだB標準しか切っていないので個人選手権で切って全日本インカレで200の上位入賞とマイルの連覇、そこをちゃんと狙っていけるようにこれから練習を頑張っていこうと思う。
・木立(法1=弘前実業)
1、2走でだいぶ流れをつかんでもらって2位でバトンを渡してもらったので、これで自分がアンカーに1番で渡したら優勝できるんじゃないかと思っていたので、その通りにレース展開を自分でつくることができたので自分的には良かった。(優勝した率直な気持ちを)1年目なので実感はあまりないが先輩たちのためにも優勝できたことがうれしくて、自分も良かった。(今後のメインの種目は)一応今は100も200も400もやっているが、軸は200だったのでそれで結果を出せない分マイルで結果を出せたのは良かったなと思っている。(レース前に監督やメンバーと話をしたか)自分めちゃくちゃ緊張していてずっと先輩とかに「緊張しすぎるな」みたいなことを言われていて監督にも励ましてもらえたので、それがだいぶ力になった。(今後に向けて)これからは400も視野に入れてできるだけチーム全体に貢献できるように、これからも練習を頑張っていきたい。
・吉津(ラ3=豊橋南)
JAPANの3人が昨日の予選でデットヒートしてたので、この3人と勝負になるんだろうなと昨日終わって、どう戦おうかとなった時に3人が前で持ってきてくれないと厳しいだろうなと思っていたら、実際3人が前で持ってきてくれたので予想通りで自分が一番楽に走れるところで持ってきてくれたので、今回勝てたのは3人がしっかり走ってくれたおかげだと思ってる。自分は最低限の仕事をしただけだと思ってる。(関東インカレマイル初優勝について)昨年四継が優勝した時に50年振りに優勝っていうのを聞いてて、マイルは優勝したことないっていうのを聞いてて、優勝するしかないよねって。全カレ3連覇してるのに何で関カレ勝ったことないんだっていうのもあったので、勝つことしかなかった。(4日間を振り返って)400mは予選がすごくよかったんですけど、決勝がダメだったので前半がやっぱりまだ出せないんで、スピードをつけてくることはできてると思うけど、それをまだ活かせれてない、監督にもやってきたことがあんまり意味を成してないと言われてるので、そこをどう修正していくかが今回の400mで格上の3人と一緒にやって出たかなと思う。マイルはよかった。完璧だと思う。(今後の目標)ユニバーシアードはなくなってしまったので、まずは日本選手権の標準を切って、学生個人は他のライバルは出てこないと思うので、次は全日本インカレに向けて今までやってきたことをレースに繋げれるような練習をしていきたいと思う。
・宮下(工2=富士河口湖)
自分の持ちタイムはもともと良くない方だったので持ちタイムの良い選手についていって集団の中であしをためて後半しっかり粘っていけたらと思っていた。トラック優勝がかかっているということや、箱根駅伝で好走した東海大の3選手を意識した。最初は東海大をどこにいるか意識しながら自分の走りやすい位置だったり日陰を選んで他の選手と重ならない位置を余裕がある時は意識していた。自分自身は暑さに強いという意識はなかったが、比較的好条件よりは全体的に風が強かったり雨が降ってたりなど悪条件のほうが100%の力を発揮できると前々から思っていた部分があった。今回の暑さになって自分がもしも良い位置を取るならこういう悪条件もひとつ有利かなと思う。2位ということで日本人トップになれたことは嬉しいが目標タイムとしては自分のベストタイムの1時間4分59秒を切ることを目標にしていたのでタイムの面では切れなかったことは少し悔しい。去年ハーフで点がひとつも取れなかったということがあったのでスタート前から3人全員入賞しようと決めていた。実際に達成できてうれしかった。今回の結果は今回で終わるので、また一から自分が挑戦者のつもりとなって夏合宿へ向けて走り込んで秋、冬の駅伝シーズンへつなげていきたい。
・蝦夷森(ラ2=愛知)
監督からもこの暑さでコースで我慢比べだと言われていたので、とりあえず先頭に付くだけだと思ってた。(レース展開は)言われた通り序盤はゆっくりで、自分も余裕があって、後半は外国人とかのペースアップでいっぱいいっぱいになってしまって最後はきつかったけど、なんとか入賞できてよかった。(順位について)最低限東洋の3人で入賞というのを目標にしていたので、それを達成できたっていうのはよかったと思うけど、チーム内競争っていうのを考えると同学年の宮下に負けたっていうのは本当に悔しい。(意識していた選手は)東海には駅伝でも勝たないといけないという意味も込めて東海をマークして、結果的に東海は2人入賞で東洋は3人入賞で、少しは勝てたかなと思う。(今後の目標)けがをしないように、強い身体を作っていって、夏の合宿でしっかり練習をこなして、出雲、全日本から最後は箱根っていう風に三大駅伝を走れるように練習に取り組んでいきたい。
・定方(工4=川棚)
(レースを振り返って)3人入賞できたのがよかった。目標にしていたのでそれがすごくうれしい。(レースプランは)暑くて、最初からそんなに速いペースでもないというのは予想していたので、10kmまではアップのような感じで気楽に走って、後半から勝負というレースプランだった。15kmまでは3人でいいペースできたが、そこから留学生についていけなかった。みんな粘った結果入賞できたというのがよかった。(暑さ対策は)帽子をかぶって、1周ごとに水をとった。飲み過ぎはよくないと思ったので水を被ったりした。(レース後酒井監督からは)何とか仕事を果たしたなと声をかけてもらった。(これからに向けて)入賞はできたが、後輩2人に負けてしまい、このままでは箱根駅伝は走れないと思っている。今日負けた2人には今後負けたくないと思っている。これから3大駅伝に向けてしっかり自分が走って、優勝できるようにチーム全員でがんばっていきたい。
・和田(食3=順天)
関カレは順位を狙ったレースになるので、とにかく最後まで粘って走ろうと思っていた。(レースを振り返って)スタートで失敗してしまい、慣れない後ろからのレースになってしまったが、少しずつ詰めていこうと思い落ち着いて走った。今の調子が自分でも分からない中でのレースだったので少し不安があったが、走っていていい感覚だったので、プラン通りに粘って、落ち着いて前に詰めていけた。余裕を持って走れてはいたが、前の3人の切り替えに対応できず、ラストに全く勝負ができなかったのが悔しい。(4位という結果について)昨年以上の結果を残したいと思っていたので嬉しい気持ちはありますが、それよりも悔しい気持ちの方が大きかった。順位では後1つで表彰台だったが、上位の3人との力の差、自分の実力不足をすごく感じた。(今後へ向けて)5000mで15分台を出したい。そして来年の関カレはラストということもありますし、絶対に表彰台に乗りたい。駅伝では、今年こそ全日本5位入賞というチーム目標の達成に貢献できるようにもっと成長していきたいと思う。
TEXT=両角あずさ PHOTO=稲村真織、長枝萌華、両角あずさ