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第31回出雲全日本大学選抜駅伝競走
10月14日(月・祝) 出雲大社正面鳥居前〜出雲ドーム
総合3位 東洋大 2:10'09(45.1km)
1区(8.0km)西山和弥 24'41(10位通過・区間10位)
2区(5.8km)大澤駿 16'20(5位通過・区間2位)
3区(8.5km)相澤晃 23'46(3位通過・区間1位)※区間新
4区(6.2km)宮下隼人 17'43(3位通過・区間4位)
5区(6.4km)今西駿介 17'59(2位通過・区間2位)
6区(10.2km)定方駿 29'40(3位・区間3位)
第1中継所 1区・西山(左)→2区・大澤
第2中継所 2区・大澤(左)→3区・相澤
宮下は三大駅伝初出場ながら力走を見せた
第4中継所 4区・宮下(右)→5区・今西
第5中継所 5区・今西(左)→6区・定方
2位まであと4秒に迫る走りでゴールした定方
エースがそろうなか区間賞を獲得した相澤
天候が悪いなか、第31回出雲全日本大学選抜駅伝競走(以下、出雲)が行われた。出雲初出場の選手を3人起用しつつ、経験者が脇を固めて挑んだ今大会。大澤(済3=山形中央)の追い上げ、相澤(済4=学法石川)の区間新と、アンカーの定方(工4=川棚)まで優勝の行方は分からない混戦となるがわずかに及ばず、3位に終わった。しかし酒井監督は「収穫は大きい」と第51回全日本大学駅伝対校選手権大会(以下、全日本)を見据えた。
1区には西山(総3=東農大二)が選ばれた。序盤から北海道学連選抜が抜け出し、西山は第3集団の先頭に位置付ける。互いにけん制しあうレースは5kmの通過タイムが16分を超えるスローペースに。その後拓大を先頭にペースは一気に上がり、ふるい落とされていく大学もあるなか西山は集団の先頭に位置付ける。最後のラストスパートで他大から遅れを取り、10位で大澤にタスキを渡した。大澤は出雲初出場。夏合宿では距離とスピードの両立を重視し、速いペースでの練習を積み重ねてきた。「入りが速くても怯まず前へという東洋のスローガンのもと前をしっかり追うことができた」と大澤。スタート直後に3校を抜き去り7位に浮上する。そのスピードは落ちることなく順位を上げ、ラスト付近で東海大を抜き5位で3区の相澤へタスキリレー。区間2位の激走を見せた。相澤はじわじわと先頭との差を縮めていく。残り1kmでついに先頭集団に追い付き、熾烈(しれつ)なスパートが繰り広げられるなか着差ありの3位でタスキをつないだ。相澤は出雲初区間賞であり、タイムは区間新記録。酒井監督は区間新については相澤の力からして驚かないと言いながらも、各校のエースがそろう3区で区間賞を獲得したことについて「主将としての役割を十分果たしてくれた」と評価した。
4区を任された宮下(工2=富士河口湖)は三大駅伝初出場。「東洋大らしい攻めの走りをしていきたい」。出雲前にそう話していた宮下はハイペースの走りで先頭へ追い付き4校がひしめく状態となる。後半には国学大と3位争いとなるが最後まで粘りの走りで3位を死守し、5区の今西(済4=小林)にタスキをつないだ。今西は3度目の5区となり、昨年は区間賞も獲得した。1週間前まで調子が上がらなかったという今西だが「前に駒澤の選手がいたので前に追い付くことだけを考えた」と前を追う。5km過ぎには青学大を抜き2位へ浮上。先頭との差を縮め、区間賞まであと5秒に迫る走りを見せタスキは6区の定方へ。アンカーを任された定方はこの夏、チームとは別に合宿を行い走り込んだ。4年間の努力が実を結び、三大駅伝初出場を果たした定方は先頭を走る駒大を懸命に追う。なかなか差が縮まらない状況のなか、後ろから東海大と国学大が追い付き、3人で駒大を追いかける。国学大が引っ張る形で先頭との差を縮める3校。7km過ぎには東海大が集団から遅れを取るなか定方は国学大に食らいつく。最後はゴール直前に駒大を抜き去った国学大に離されてしまうものの、2位の駒大まであと4秒と迫る3位でゴールテープを切った。
「十分中身はあったのかなと思う」と酒井監督はレースを振り返る。出雲初出場となった大澤、宮下、定方は区間エントリーの持ちタイムこそ劣るものの駅伝では積極的に前を追い、最後まで諦めない粘り強い走りを見せた。「区間賞を取るんだ、という気持ちで全日本へ向かってほしい」とこれからの活躍に期待を寄せた。3週間後には全日本を控えている。全日本にエントリーしている選手については「同じトレーニングをしているのでしっかり走れる。今日競り負けた駒澤さん、國學院さんには全日本では競り勝ちたい」と決意を新たにした。今回の収穫と新たな力の融合をもって挑む全日本での鉄紺の勇姿に注目だ。
■コメント
・酒井監督
(区間配置について)区間は経験者と、初めての三大駅伝経験者を織り交ぜながらやった。区間10位から始まって、しっかり追い上げていく形になったが十分中身はあったのかなと思う。ただやはり、100点ではなくて目の前で優勝テープを切っているわけなのでその悔しさはある。収穫も十分あったので全日本に今回の収穫とエントリーから漏れている選手も同じトレーニングをしているのでしっかり走れる。今日競り負けた駒澤さん、國學院さんには全日本では競り勝ちたい。(相澤選手の走りは)区間新にかんしては今日は風がなくてコンディションが非常に良かった。そこは驚かないが他大学のエース級のなかで区間賞を取ったということ、あとはトップ集団に追い付いたというのはエースとして、主将としての役割を十分果たしてくれた。(三大駅伝初出場の選手については)最後競り負けたというのは宮下も定方もあったが持ちタイムは同じ区間で来てる子のなかではテロップを見ているだけでも大分違う。やはり駅伝だったら強い、駅伝だったら走れるというのを彼らはつかんだと思う。その収穫を負けて当たり前ではなくて次は区間賞を取るんだ、という気持ちで全日本へ向かってほしい。(1年生のエントリーが多いが全日本へ向けて)箱根駅伝の前に三大駅伝、出雲か全日本、走る経験、一緒に同行しての経験が箱根にすごくつながるし、相澤がいるうちに次の育成へ向けて1年生にも期待している。
・1区 西山和弥(総3=東農大二)
(レースプランは)今日は先頭集団でいけるようにとは思っていたが、ラスト1kmでかなり離されてしまって悔しい結果になった。
・2区 大澤駿(済3=山形中央)
(出雲に向けてどのような練習をしてきたか)今年は例年に比べて長い距離というより、長い距離とスピードの両立という2つの目標をもって練習をしてきた。チームとしては駅伝で勝つという意思はもちろんだが、チーム内でも世界を目指す選手という世界と駅伝2つを目指すテーマをもとに今年の夏は頑張ってきた。(初出場の出雲駅伝での2区は)自分の役目は前が見える位置でしっかりレースをつなぐということだった。スピード練習をしてきたので入りが速くても怯まず前へという東洋のスローガンのもと前をしっかり追うことができた。しかし他大を何チームか抜いたが、先頭の青学大がもう1段階上げたときに自分がもう一つ上のスパートをできればもっと近い位置あるいは先頭に立てるかなというところが反省。最低限の走りができたかなと思うが、今一つ物足りないなと感じるところもあった。
・3区 相澤晃(済4=学法石川)
まず前半から積極的に走って区間新でトップに立つことが目標だった。國學院の浦野くん、吉田くん、駒澤大の田澤くんは力を付けていて強い選手だったので意識していた。前半結構速く入ったつもりが遅くて序盤からきつかったが、後半は下りやアップダウンを使ってペースを上げられたので良かった。(区間新については)自分の走りとしては最低限。出来れば先頭に立ちたかったし、それができなかったのは悔しい。
・4区 宮下隼人(工2=富士河口湖)
(レース展開は)相澤さんが沿ってくるかなって想定もしつつ、追いかける展開もあるかなって想像していた。実際追いかける展開となったが2番目でタスキをもらって、前の駒澤さんと数秒差だったのでまずは追い付こうと思って最初はしっかりハイペースで入った。結果的に後ろから青学の神林さんが上げてこられて一緒に追いかける展開で、想像していた以上にかなりのハイペースで入ったんですけど、4人の集団が同じくらいのスピードで入っていたのできつさは皆同じだと思っていた。前に行こうと狙ったんですけど、後半力不足で駒澤さんと青学さんに先に行かれてしまってなんとか最後の最後で國學院さんを抜いて3番目で渡すことができたが、結果的には前の駒澤さんと青学さんに離されてしまいましたし、後ろを見てみると東海大学さんの同学年の選手に詰められてしまったのは悔しい。(三大駅伝デビューについて)初めての三大駅伝ということで、正直言うと2週間くらい前から監督に走るぞと言われていて、その時からちょっとずつ緊張していて、特に出雲に来てからは大会の雰囲気があったので、緊張していたんですけど、やるからには鉄紺を背負っているのでしっかりと自分の走りをするって意気込んで走り出すことができた。
・5区 今西駿介(済4=小林)
前に駒澤の選手がいたので前に追い付くことだけを考えた。駒澤の選手を意識した。定方に少しでも楽をさせてあげたかったので、追い付いてリードをつくるというプランではいたが追い付き切らずに定方に負担をかけさせて非常に申し訳ない。優勝を目指していたので順位を上げたというよりトップに行けなかった悔しさが大きい。(区間賞まであと5秒だったが)前を追った結果がタイムになったのでまだ物足りないところはあるが、これを自信にして全日本、箱根につなげていきたい。(出雲へ向けては)1週間前まで調子が上がらなくて不安なところもあったが、トレーナーさんをはじめいろいろな方々がサポートしてくれて自信を持って挑めた。(全日本へ向けて)今回大澤や定方といった初めて出雲を走った選手がすごくいい走りをしてくれたので次につながる走りになった。
・6区 定方駿(工4=川棚)
前の選手が頑張ってくれて、5区の今西がいい位置で持ってきてくれた。自分が抜かれて3番でゴールしたことはみんなに申し訳ない。(4年間で初めての三大駅伝だったが)今までエントリーされても走れなくて悔しい思いをしてきた。その分チームに貢献する走りをしようと思い走った。(監督からレース前どのような言葉をいただいたか)後ろから青学大が来てるから抜かれないようにということと、オーバーペースにならないくらいの速いペースで入ろうということを言われた。その言葉通り最初はいい感じで入れた。レース後は、一皮剥けたけどもう一皮剥けないとまだまだ勝負はできないからこれからまた頑張って行こうと言葉をもらった。(全日本駅伝に向けて)今回3番という悔しい結果で終わって、この結果に誰1人として満足はしていないと思う。残り短い期間だが全日本までみんなで気を引き締めて直してやっていきたい。
TEXT=長枝萌華 PHOTO=稲村真織、小島敦希、両角あずさ、長枝萌華、水越里奈