記事
「なんとしても連覇を」。そう意気込み臨んだ東都大学野球秋季1部リーグ戦。昨年度の豪華メンバーをもってしても成し遂げることのできなかった偉業に挑むも叶わず。昇格後ワーストの5位と悔しい結果に終わったシーズンを振り返り、選手たちは何を語るのか。15日間連続スポーツ東洋独占インタビューでお届けする。
第8日目は今春の開幕戦でいきなり抑えを任され、その大役を全うした河北将大投手(営1=浦和学院)。充実した1年を過ごし来年に備えるゴールデンルーキーの口から出た意外な言葉とは。(取材日11月10日、聞き手=須之内海)
--まず、今季を振り返って
秋はマークと言うほどされてはなくても、自分の球筋とかは初見でない分バレていた。そう言う中で、前半戦に抑えという立場をやらせてもらっていたのに失敗してしまったのは一番の反省点です。そういう中で先発転向という転機があって違う楽しみがありましたし、また新しい自分の投球スタイルを見つけることができました。そういう形で先発として結果を残せて良かったです。
--新しいスタイルというと
中継ぎとか特に抑えってそんなにたくさん球種はいらないかなって思っていて。自分の場合は抑えの時は直球かフォークかってくらいで投げてました。短いイニングに全力で行ってたので。でも、先発になると最低5回を投げるのが責任というか仕事じゃないですか。そうなるとそれだけでは足りないんです。
--緩急を織り交ぜての投球になりますか
そうですね。自分の場合は横の変化を作るのが苦手なので、カーブが軸になっていったのが先発としての投球スタイルでした。そうすると緩急もつきますし、投球にだいぶ幅が出るので。
--心持ちの差はありましたか
先発だと自分で試合を作らないとって思いますね。中継ぎだと違うんですよ。例えば村上さん(総3=智弁学園)の後に投げるならブルペンから見て、リズムとか流れを見たりもしてました。先発の作ったリズムを見て乗るのが後ろを投げる投手、リズムや流れを作るのが先発っていうイメージです。
--それが1年を通して先発も中継ぎもで投げられた要因ですか
まぁ、上手くいったかって聞かれたら秋は上手くいってなかったんですけどね(笑)。自分にとっては抑えの方が大変で、先発より腹を括って投げてます。終わり良ければ全てよしって言うじゃないですか。だから、その締めを担うのは気持ちとしては大変でした。
--そんな覚悟が必要なポジションを初のリーグ戦から任せられていましたが、緊張はしていましたか
中大戦はそこまでしてなかったですかね。逆に投げていくごとに緊張していきました。中大戦は感覚が良くて。ブルペンではドキドキしてたんですけど、マウンドに上がった瞬間に全部抜けてましたね。そこから投げていくごとに責任が出てきて、簡単なポジションじゃないなって。
--今秋の最初も抑えを任されて、夏のオープン戦ではほぼ登板がありませんでしたが
そうですね。あまり状態が良くなかったんです。だから不安がありましたし、調子が上がりきってなくてそういう気持ちの部分があの結果に繋がったんだと思いますね。
--投げていない期間は走り込みをしていたのかなと思いますが、そういうトレーニングの実感は
正直付け焼き刃なんで。でも、中継ぎで生きなかったけど先発になった時に生きたのかなって思ってます。あの時に走っていたから、先発をやった時にそこそこのイニングを投げられたんだと思います。だから、半々ですかね。
--今年1年に点数をつけると
半分よりは上ですね。結果が出た部分と課題を見つけた部分。両方とも加点の50点の部分です。逆に減点部分は課題を潰せていないことっていうのと自分に満足してはいけないと思うので、そこに対しての減点です。
--充実した1年だったと思いますが、最終カードでは同期投手陣が出てきましたね
そうですね。ブルペンで待機してる時は、やっぱり同期が増えると嬉しいというか話して気持ち的には楽なんですけど、正直そんなことは言ってられないです。ポジションを争うライバルなので。みんな武器は違いますけど、いつでも自分の立場を脅かしてくる敵ですね。
--結果を出しても、うかうかしていられないと
はい。自分の中で春が終わったあたりは大丈夫だろうってどこかで思ってしまっていたんだと思います。だから、怪我もしましたし。だから、今はそういう気持ちをなくして油断したら来年メンバー表の中に僕の名前はないと思ってます。でも、場所は違うけど高校時代も環境は似てました。その中でしっかりやってきた自信はあります。だからこそ負けられないって気持ちが大きいです。自分は投げるためにここに来ているので、絶対に負けたくないって気持ちが大きいです。
--では、この冬は勝負の冬ですか
口だけにならないためにしっかりとやっていかないといけないですね。どうやってやっていこうか今は模索段階なんですけど。でも、そうやってオフシーズンのトレーニングを考える刺激をもらえたのは大きいです。
--来年の幹部には高校の先輩である諏訪選手(総3=浦和学院)が入りましたがどんな先輩ですか
すごい面倒見のいい先輩です。優しいですし、フレンドリーな方です…男前ですね(笑)。でも、ちゃんとするところはちゃんとしてるので尊敬してます。
--バッテリーを組む山崎選手(営3=愛工大名電)が主将となりましたがここまでの印象はいかがですか
そうですね。基輝さん(山崎)も今年1年、上も下も結果として見たと思いますし、チームを勝たせるためにっていう風に動いてくださるのかなって思います。
--今年はプロに進んだ佐藤選手(法4=聖光学院)と組みましたが
配球が基輝さんと根本的に違うのは当たり前です。どちらが良い悪いとかじゃないじゃないですか。配球って。基輝さんも都志也さん(佐藤)もピッチャーの良さを全力で引き出しに来てくれるキャッチャーです。でも、そこに甘えちゃいけないなって思います。
--甘えてはいけないというと
引っ張ってもらえるのはすごいありがたいことなんですけど、そればかりじゃだめだと思うので。自分が引っ張るとまでは言わなくても、一緒にやっていく意識を持って臨んでいかないといけないなって思ってます。
--勝負の冬に向けてのトレーニングはもう考えてますか
まだ、具体的なところは組んでないんですけど、トレーナーさんの話を聞いたり高校時代のコーチに話を聞いたりしてます。情報が多いことに越したことないので。たくさん話を聞いて取捨選択していって見つかったら着手って感じですね。
--最後に来年の目標をお願いします
先発にこだわってやっていきたいです。終盤に先発したのは決して僕だけじゃないので、他の投手に負けたくない。ライバルは今いる投手だけじゃなくて次の1年生もです。第2先発として自分のポジションを確立すること、そして先発完投が一つの目標です。大きく出るなら村上さんから第1先発を取りたいですけど。そこまでの実力は自分にはないので、来年安心して卒業してもらえるように1年間かけてしっかりと実力をつけていきたいです。
◇プロフィール◇
河北将大(かわきた・しょうた)
身長・体重/175㎝・79㎏
生年月日/2000・6・14
好きな食べ物/すき焼き
嫌いな食べ物/なす(主に食感がNG)
オフに行きたいところ/遊べるならどこでも
趣味/映画・ドラマ鑑賞と漫画を読むこと
最近見たドラマ/PRIDE(内池投手が録画していたもの)
好きな漫画/君が僕らを悪魔と呼んだ頃、約束のネバーランド(漫画とかを読む時はどちらかと言えば書籍で買って置いておきたい)
~連続インタビュー一覧~
第1日目:杉本泰彦監督〜「主役は選手たち」日本一の野球部に〜
第2日目:小峰聡志外野手「やり残したことはない」〜副将が振り返る大学野球〜
第3日目:7季連続無失策だった男。最高の守備職人が語る未来 津田翔希内野手
第4日目:木村翔大内野手〜「存在感がある選手に」高みを目指し戦う〜
第5日目:松本渉外野手〜「もっと結果が出せる」スーパールーキーが振り返る1年目〜
第6日:次のステージへ。未来を見据え、積み上げた努力 山下雅善投手
第7日目:むらなく活躍できる選手になるために 小林直輝内野手
11月24日小川翔平内野手
11月25日村上頌樹投手
11月26日納大地外野手
11月27日松澤海渡投手
11月28日諏訪賢吉内野手
11月29日山崎基輝新主将
11月30日佐藤都志也捕手