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東洋大学陸上競技部桐生祥秀 公開練習
4月5日(日) 東洋大学川越キャンパス
「お互いの思っていることがわかってきた」という土江コーチ(左)と桐生
シーズン到来を告げる桜の咲いたグラウンドで練習を公開した
18日から行われる第49回織田幹雄記念国際陸上競技大会を前に、桐生(法2・洛南)が練習を公開した。アップを終えると雨天のためウェイトトレーニングを行った後、記者会見で今季にかける思いを語った。
今まで日本人が誰も見たことのない世界へ。集まった約60人の報道陣を前に桐生が力強く宣言した。「織田記念(第47回大会で日本歴代2位の10秒01をマーク)から自分の陸上もいろいろ変わっていったので思い入れのある場所。しっかり走ればタイムもついてくると思う」。
先月28日にテキサス州オースティン(米)で行われたテキサス・リレーの100mでは、追い風参考記録ながら電気計時で日本人初の9秒台を記録した。故障と向き合いながら2月から練習を再開した今季、スタートブロックの両足の幅を広げるなどの工夫が結果として表れている。「走りが変わったなと。これまでもも上げの延長だった縦ばかりの走りが、今は進む感覚がある」。
前人未到の9秒台突入へ、期待は高まるばかりだ。「期待されて出さないとトップアスリートという感じがしない。期待されているぶんそこで出したらすごいと思う」。思い出の地で、今度は歴史にその記録を刻む。
以下、桐生会見内容(一部抜粋)
――集まった多くの報道陣を見て
今回追い風参考記録といえども9秒台が出たので、たくさんの人たちに来ていただいてうれしい。
――9秒台(追い風参考記録)の走りはどうだったか
焦りがなかった。10秒01のときは後半足がもつれた感じがあったので、9秒台に耐えられる体ができてきたと思う。メンタル面でも後ろから大きい選手が来ても焦らなくなった。
――今後はどんな走りをしていきたいか
織田記念はまだ通過点でやはり今年の目標は世界陸上なので、織田記念だけに懸けるというよりもテキサスのように通過点として捉えて、変わらずにトレーニングしていきたい。
――日本中が期待する9秒台への思いは
織田記念は高3のときに出場し、そこから自分の陸上もいろいろ変わっていったので思い入れのある場所。今のところタイムも出ているので、そこでしっかり走ればタイムもついてくると思う。
――9秒台を出すために、今一番必要なことは
試合で毎回9秒台と言われると思う。そこで期待されて出さないと、トップアスリートという感じがしない。期待されている分そこでタイムを出したらすごいと思う。リラックスして一試合、一回、一本を楽しめばタイムはついてくる。9秒台を狙うというよりは、自分の走りをすれば出ると思っているので楽しんで走りたい。
■コメント(一部抜粋)
・土江コーチ
先週9秒台を出したときの歩数は47.0。48.5歩が平均で一歩縮めようとやってきた。ピッチは風の影響を受けづらいが、ストライドは受けやすい。風を受けているから広がった。(風がない状況だったらどうなるか)47.0より歩数は多くなると思う。(冬季に取り組んだ走り方は桐生だったからできたものか)桐生が持っている部分に、東海大の選手たちのような走り方をプラスした。今やっている背中を使う走り方は、股関節よりも高い位置で足をコントロールすることで結果的に骨盤を動かすというもの。(桐生は他選手と比べ何が優れているのか)あまりよくわからないが、全部が平均的に高い。ただ、出力は本当に大きく、短時間で出す力はものすごい。出力の部分はセンスを感じる。
TEXT=浜浦日向 PHOTO=西川諒、浜浦日向