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4年間、鉄紺女子を引っ張ってきた和田美々里(食4=順天)が2020全日本大学女子選抜駅伝競走(以下、富士山女子)で大学最後のレースを迎えた。1年時から駅伝を走り、最終学年では主将を務めた和田の4年間をたどる。
入学当初から鉄紺女子を引っ張った。駅伝デビュー戦となった第23回関東大学女子駅伝対校選手権大会では、1年生ながら1区を任される。大学記録を更新する走りを見せ、東洋大の初優勝に大きく貢献した。和田はその後の駅伝でも毎回重要区間を任される。後輩から尊敬される先輩としても名が挙がる和田は、鉄紺女子にとって不可欠な存在であった。
1年生ながら1区の大学記録を更新した
そして迎えた4年生。新型コロナウイルスの影響により、普段の練習もままならない状況のなか、主将としてチームを率いる存在となった。例年行われていた関東女子駅伝は中止となり、今シーズン初めての駅伝となった第38回全日本大学女子対校選手権大会(以下、全日本女子)。シード権獲得を目標に挑んだレースでは、1区を任された田浦(食3=ルーテル学院)が6位でタスキを渡すも、後続が続かず総合16位に終わった。和田も区間15位に「10年間陸上をやってきたが、こんなにも悔しい思いをしたのは初めてだった」と課題が残るレースだったという。それでも最後の駅伝となる富士山女子へ向け、もう一度チームを立て直した。大会前日に田浦の欠場に伴い区間変更があるなど、万全のスタートとはならないなか迎えた富士山女子。和田は昨年と同じ5区を任され、「1つでも順位を上げてチームに貢献したい」と走り始める。「最後という実感がなかった」と、普段通りのレース感覚のなか、15位でもらったタスキから順位を1つ上げ、学生生活最後のタスキリレーを終えた。最後の駅伝を終え、寂しさを見せながらも「幸せだった」と感謝の言葉を口にした。
今年度和田が作ったチームは思いやりがあり、あたたかいチームだ。仲間と互いに助け合いながら、困難な状況を乗り越えてきた。4年間を振り返り、「東洋大に入って陸上ができて本当に良かった」と話す。和田は同学年の中で唯一の駅伝経験者であり、重圧も大きかったはずだ。そんななかでも4年間全ての駅伝に出場しチームの中心として駆け抜けた。鉄紺女子の歴史を語るとき、和田の存在は必要不可欠だろう。
鉄紺女子を背負ってきた和田は、「全日本女子でシード権を獲得して、監督・コーチ、そして応援してくださる方々に喜んでもらえるように頑張ってほしい」と後輩に思いを託し、東洋大での歩みに終止符を打つ。こうして先輩から受け継がれる思いが、新たな鉄紺女子を強くするはずだ。
TEXT=長枝萌華