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今回の箱根駅伝(以下、箱根)で4区を走った?川(ラ4=那須拓陽)、7区を走った西山(総4=東農大二)は1年生の時から主力メンバーとしてチームを支えてきた。同級生が活躍するその裏で悔しい思いをしてきた選手がいる。8区を任され箱根初出場となった野口(工4=松山)だ。
2年生の川越ハーフマラソンでは大学初タイトルを獲得
毎年冬の時期に調子が上がるという野口。1、2年次も箱根の16人のメンバーにエントリーされるものの、当日の出走はかなわなかった。3年生の冬には陸上競技が嫌になってしまい、思うように練習ができない期間があったという。それでも最後のチャンスをつかむべく最終学年となった今季は一つ一つの練習を大切にこなしてきた。その成果が実り、ついに箱根出走を実現させた。
西山から4位でタスキを受け取った野口は、序盤は慎重な走りで前を追う。10kmの通過タイムは予定より遅くなってしまったというが、8区のポイントとなる遊行寺坂の手前で前を走る東海大を抜かし、3位に浮上。坂を登り切った後もペースダウンすることなく8区を駆け抜け、9区・小田(済4=浜松商業)へのタスキリレーでは思わず笑みがこぼれた。惜しくも区間賞は逃したが、区間2位と大健闘し後続の選手にも勢いをもたらした。8区の歴代記録でも5位に入る活躍ぶりであった。
今回野口は、7区の西山、9区には小田と同級生に挟まれてのタスキリレーとなった。同期へ向けては「本当にお世話になった」と、調子が悪いときも支えてくれたメンバーに感謝の気持ちを口にしていた。また、3、4年次のほとんどの期間では自宅生となり、食事などの生活面を家族にサポートしてもらったという。多くの選手が家族と離れて寮で生活するなか、近くで家族にサポートしてもらいながら競技に取り組めたことは、野口にとって大きな支えとなっていただろう。
同学年の野口(左)と大森
最初で最後の箱根を全うした野口。「最終学年の意地を見せられる走りをしたい」。その言葉を体現させた走りで、最後まで1秒をけずりだした東洋大らしい攻めの姿勢は、後輩たちに受け継がれていくだろう。
TEXT=両角あずさ