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2021.04.04
水泳

[水泳]最高の形で終われるように〜男女主将対談インタビュー〜

オリンピックイヤーとなる2021年。そんな中、全国屈指のトップスイマーが属する強豪・東洋大学水泳部に更なる期待が高まる。今回は、今年度の主将に抜てきされた白井璃緒選手と井手上新主将兼チーフマネージャーに主将としての自覚や最後の年への意気込みを伺った。(取材日3月25日、聞き手=中嶋千聡)



(井手上→井、白井→白)

ーーコロナでの自粛期間中はどのように過ごしていましたか


白:泳げない期間が結構あったので、朝早い時間にランニングしたり、公園で体操したりして、最低限できることは一人でやっていました。

井:僕はマネージャーなので、選手が泳げる環境を早くつくれるようにということだったり。地元に帰ったときに、お世話になっていた高校やクラブに練習参加が可能かどうかを聞いたりとか。あとは、ミーティング開いてどういう練習ができるか、水中に限らず陸上でどういうことをやっているのかをみんなで共有し合いました。できることを見つけて、選手がやっていていい練習があったら、全員で取り組めるような形にするだったり。マネージャーとしてはそんな感じで、コロナの泳げない期間を乗り越えようと考えていました。



ーーコロナ禍の中でチームメイトとコミュニケーションを取ることは難しかったと思いますが、コミュニケーションはどのように取っていましたか


白:やっぱりLINEとかzoomという形になってしまっていたんです。今も全員揃っている訳ではなくて。zoomでミーティングを開催して、グループごとに別れて親交を深めあったりして、今どういった状況で練習ができている、できていないかの確認とか。みんなが揃った時は、zoomで顔合わせしているので、そんなに久しぶり感もなく、普通に過ごすことができているので。zoomやLINEのオンライン上で会えることはすごくありがたいことだなと思いました。

井:男子は全員寮に住んでいて、練習以外の生活の部分で関わることが多かったんです。コロナ禍の中で、部屋移動を抑えたり、人数少なくして活動するとか。普段取れていた深いコミュニケーションがなくなってしまったことが男子の中ではすごく大きかったかな。ただ、今までそういうふうにやってきたものがあるので、zoomなどのオンラインでミーティングを開くってなった時も、あんまりオンラインだからという感じではなくて。結構いいコミュニケーションが取れたんじゃないかなと思います。ミーティングの回数を今まで以上に増やして、行えたことはよかったと思います。


ーー主将になった経緯を教えていただけますか


白:私は、学生全員に発表される2ヶ月前に先生から聞いていて。とうとう、自分が任される立場になるんだなと徐々に意識し始めました。先生や先輩たちからも、そういう立場で見られていたということは光栄に思います。一緒に学生と練習する機会があまりないので、難しいかなと思っていたんですけど。新体制となって動いていくうちに、主将としての仕事は全然何もしてないんですけど、自分が一番上の立場になったんだなということを改めて実感します。

井:僕は入学当時からずっとマネージャーで、あんまり前例がなくて。今までマネージャーで主将やった方も初めは選手で泳いで、怪我でマネージャーになって、主将をやられているという前例はあったんですけど。マネージャーで主将になるという前例がなかったので、それこそ考えてもいなかったという部分があって。監督の方からも総務的な感じで、色々取りまとめてもらうような役職をやってもらいたいという話は、一ヶ月前ぐらい前からあったんです。そこから、どう転んで主将になったかは分からないんですけど。卒業された4年生の話し合いや推してもらったという話も少しあったり。白井は、圧倒的に競技力が高くて、競技面でしっかりと学生をトップに導いてくれる存在。女子が競技力が高い分、練習には学生と一緒に練習する機会が少なかったり、合宿でチームを離れたりすることが多いので。そういう部分では、僕がマネージャーとして全体的にチームのことを見れる立場なので、バランスが取れているんじゃないかなと思います。



ーー主将になった時の気持ちを教えて下さい


井:主将になるって聞いたのは、昨年のインカレの最終日でした。大会が終わった後に、全体に発表されるんです。その前日に前主将の健志さんから、「主将をやってもらおうと思っている」というふうに伝えてもらって。そこでは、自分がやっていけるのか分からなかったです。見本となるような人が今までいなかったので、どうやっていけばいいのかという不安が一番強かったです。


ーーどんな主将になりたいですか


白:自分は、選手として主将をしているので、結果でチームを引っ張って行きたいというのが一番にあります。自分について行きたいって言ってくれる後輩がたくさんいるといいなと思っているので。それは、結果だけじゃなくて、練習に対する姿勢や水泳に対する考え方であったり。そういう部分で、ついてきて欲しいなと思っています。それを学生全員に共有できたらいいなと。一番は水泳に対して尊敬できる主将になりたいなと思います。人として存在してほしいですけど(笑)。

井:僕はマネージャーなので、競技面で先に立ってリードしていくことは、立場的にできないんで。その分、みんなの目標が自分の目標だと思っています。そこをどのような形でサポートするか。みんなの目標をしっかりと達成することができるようなサポートだったりとか。部の運営全体を含めて、サポート業務をまずはしっかりとやっていきたいなと思います。同時に、僕らの代の今年の水泳部はいつもと何かが違うなだったりとか。今後続いていく水泳部の歴史の中で、この代が残したものがあればいいなと。東洋大学水泳部のこれからにつながっていくような代にしたいと思っているので。ただ、それは僕一人でできることではないです。同期や後輩含めて、一丸となってやっていきたいっていう中で、自分は先頭に立ってできればなと思います。


ーー主将としてどんなチームをつくっていきたいですか


白:このチームで戦うのはインカレになるので、女子としては、総合優勝目指して強いチームにしていきたいです。それは、男女ともにチーム力やタイムをあげたりとか、そういう些細な積み重ねで強くなっていくと思う。もっとレベルの高いチームにしていきたいなと思っています。

井:インカレがチームとして戦う大会としては一番大きな大会となるので、男子だけで言ったら、昨年リレーで3種目決勝に残ることができなかったです。東洋は、リレーが強い大学として知られていると思うので、もう1回3種目とも決勝に上がって戦うこと。メドレーリレーとかになってくると、男子は優勝狙える位置にいるので。そこで、しっかりと目標達成していけるように。リレーだと、それこそ誰か1人が速かったら、という話ではなくなってきます。総合力の高さをリレーで示したいなと思っています。女子は、総合優勝目指していて。僕らが入学してから毎年、女子総合優勝が目標に掲げられてきていて、まだ1回も達成できていないんです。最後の年に、しっかり優勝して終われるようにというのが大きな目標かなと思います。


ーー主将としての心構えは何かありますか


白:今まで主将になるまで、自分が良ければいいやっていう考えだったので。それが180度変わった。主将になって、周りを見なきゃいけなくなりました。まだ、全然見渡せてない部分はあるんですけど。一人一人の考え方や、水泳に対する向き合い方とか、そういうのを理解して、もっとチーム力を上げていきたいなというのもあります。正直、自分だけの大学水泳ではなくなったので。そこで、自分に負担をかけるつもりはないですけど。主将になったから、みんなの練習タイムであったりとか、そういうのも気にするようになりました。自分を含めて、チームで強くなっていきたいなと思うようになりました。

井:僕は、マネージャーをする上で「無関心と無関係を捨てる」ということを大切にしています。今までそんな感じでやってきて、いろんなマネージャーとしての仕事も積極的にやってきました。選手との関わりという部分も、自分の中ではしっかりとコミュニケーションとってきたと思っているので。それが買われて、主将やチーフマネージャーといった、ある程度信頼がないとできない役職に就かせていただいています。そこは変えずにやっていきたいです。いろんなことが一番上で、後輩のみんなが色々やってくれるんですけど。そういった中でも、自分から積極的に動いていく。いろんなことに挑戦していきたいです。部員全員、先生たちスタッフも含めて、コミュニケーションとか、関わりをしっかりと持ってやっていくことが主将としても自分としても大切にしていること。それを継続してやっていきたいなというのが心構えとしてあります。


ーー今年のチームの特徴や強みは何でしょう


白:男女で比べちゃう部分はあるんですけど、女子の方は結構レベルが高いかなと思っていて。2年生になる酒井夏海(法2=武南)や3年生の今井月(法3=豊川)であったり、オリンピック経験者がいるチーム。それは、他の大学に比べたら強みになります。やっぱり、世界と戦っている選手なので。東洋大学女子のプライドもあると思う。その他の選手もベストタイムだったら、表彰台に上がったり、決勝に進む選手もたくさんいる。そこは、東洋大学の女子は総合優勝を狙っているだけあって、他の大学よりも勢いのあるチームなんじゃないのかなと思います。

井:男子で僕が思うのは、この新体制になってから同期でミーティングをしたんですけど、その際に、なんせマネージャーが主将で頼りないんで(笑)。役職ではないですけど、これは中心になってやっていこうっていう担当みたいなものを軽く大雑把に決めました。それは、例年にはなかった形です。やっぱりどうしても東洋の歴代の主将とか見ていくと、競技力高い選手だったりとかが任される機会が多いので、主将頼りになっていた部分がちょっとあると思うんです。今年は、僕たちの学年全員でチームを動かしているなという感じで、一人一人が積極的にチームを良くしようと動いています。まだ足りない部分は結構あるんですけど。意識は結構変わったと思います。その辺は、例年とは違う部分なのかなとは思う。下の代にも、役職を持っている人たちもいるので。そういったメンバーも中心に、一人に頼るんじゃなくて、全体でチームを動かせるチームになっていくんじゃないのかなと思っている。そういったチームにしたいというのもありますし、そういうところが良さというか、特徴かなと思います。



ーーチームとしての雰囲気は新体制になって変わりましたか


井:正直12月くらいから、コロナの影響で練習が全員揃ってできなくて、それが今も続いています。全体で練習する機会が本当に少なかったので、自分もチームがいい方向に動いているのかは分からないんですけど。ただ、コロナだったからこそ、例年よりミーティングの回数を増やしています。全体で話す機会っていうのは多くしているので。今までは、みんな近くにいる分、全体で話すっていう機会が本当になかったんです。そういった部分では、みんなとコミュニケーションをする。あとは、グループごとのミーティングや種目ごとのミーティングをします。多い時は3つのミーティングを動かしたりするので。そういったところを見ると、まだ実際みんなで集合して練習をしていないから分からないんですけど、新入生も含めて、コミュニケーションは例年よりも取れてるのかな。比べようもないかもしれないですけど。(新入生を)迎える準備だったりとかもできているので、その辺はいいのかなとは思います。


ーー今年お二人が注目している選手は誰でしょう


井:女子は白井。やっぱり主将なんで、もちろん白井。マネージャーなんで、みんなに期待しているんですけど(笑)。特に、それこそ今年はオリンピックの選考だったり、あとはユニバーシアードだったりとかもあるので。そこにかかってきそうなのは、男子で言えば阪本祐也(国4=三重)や花車優(文4=丸亀)。女子で言ったら白井、今井、酒井とかですね。役職上みんなに期待してます(笑)。

白:今言ったメンバー以外で考えると、女子なら次2年生になる何澤由衣(国2=京都外大西)と、男子は次4年生の宝田康平(営4=東福岡)。何澤はタフで、何でもかかってこい!っていうタイプ。本当に毎試合コンスタントに良いタイムで、ベストに近いタイムで泳いでいます。去年のインカレでも全部点を取ってくれたすごい選手なので、そこは私も期待していきたいです。宝田も年々、徐々にタイムを縮めて、日本のトップレベルでも戦える選手になってきているので。日本選手権で、はユニバーシアードのリレー候補としても期待したいですし。彼は、多分インカレで優勝を目指してくると思うので、期待したいと思います。


ーー最終学年としての1年、どんな年にしたいですか


白:日本選手権からそうですけど、もっと飛躍した年にしたいなと思いますし。オリンピック選考会なので、ちゃんとオリンピックを決められるように。選考会までは残り少ない日数なんですけど、もっと気を引き締めて、水泳に集中していきたいです。インカレに対しても、東洋大学としてチームで戦う最後の試合なので、女子総合優勝であったり、今まで達成することができなかった部分を達成していきたい。この新体制で、最高な結果を収められればなと思っています。

井:今シーズンは日本選手権、オリンピックの選考会やユニバーシアードの選考会であったり、夏にはオリンピックもユニバもあります。いろんなイベントがある中で、マネージャーとしてこうやって競技に携われているので。そういった部分では、水泳っていう競技をもう1回違う角度ではありますけど、楽しんでいきたいなというのはあります。こういったオリンピック選手やユニバの代表の選手と関われる機会って本当にありがたいと思う。そういった部分を大切にして、人生の中で大切な一瞬、瞬間だったなって思えるような1年にしたいと思います。最後は、インカレで多分終わりなんですけど、そこではしっかりと目標を達成する。男子も総合4番で、少し高いレベルの目標を掲げています。全員が意識しないと、達成できない目標なので、そこに向けてチーム一丸となって戦っていけるように。女子の総合優勝に男子は少しでも、何か力を与えられるようなレースを選手はしていきたいと言ってくれている。自分は、そこのサポートを一生懸命頑張ってやっていきたいと思います。


ーー最後に今年の目標、意気込みを教えてください


白:目標は、シンプルにオリンピックに出場して、200m背泳ぎでメダルを獲得すること。あと、日本選手権でバックの日本新を出せたらなと思っています。インカレに関しては、女子総合優勝できるように。また、そこでも自己ベストを縮められるように頑張っていきたいなと思っています。

井:僕の目標はありきたりな感じしますけど、日本一の主将っていうところですかね。みんなの目標が僕の目標なので。みんなの目標が、それぞれ叶っていけば、自然とインカレの総合優勝だったりとか、そういう部分につながってくると思う。僕の目標は、目標を達成して、日本一の主将になることです。





白井璃緒主将、井手上新主将兼チーフマネージャーありがとうございました!!




第97回 日本選手権水泳競技大会 競泳競技
兼 第32回 オリンピック競技大会(2020 / 東京)代表選手選考会
FISUワールドユニバーシティゲームズ(2021 / 成都)代表選手選考会

開催日時 4月3日(土)〜4月10日(土)

場所 東京アクアティクスセンター


放送予定 全日の全競技予選はYouTube(公益財団法人日本水泳連盟チャンネル)よりご覧いただけます。また、全日の全競技決勝はNHK総合にて17時から生中継されますので是非ご覧下さい。

ジャパンオープン2016
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