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平成27年度東都大学野球春季2部リーグ戦・東農大戦2回戦
4月26日(日)東洋大グラウンド
東洋大3x-2東農大
(イニングスコア)
2回戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 計 |
東農大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 |
東洋大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1× | 3 |
(東洋大)
梅津、増渕、富岡、○原(4勝)-後藤田、小野田、森
打安点
(6)阿 部 500
(9)木 村 400
(4) 林 410
(7)笹 川 500
(3)鳥 居 531
(D)中 川 410
RD 宝 楽 111
(5)冨 澤 410
(8)大 川 421
(2)後藤田 000
H 原 澤 100
2 小野田 000
H 久 保 100
2 森 100
計 3993
回 打安責
梅津 3 1221
増渕 1 5 10
富岡 3 1110
○ 原 4 1721
サヨナラのホームを踏み仲間に迎え入れられる宝楽
公式戦デビューを飾った先発・梅津(営1・仙台育英)
2点を追う九回2死と完封負けの雰囲気が漂う中、ようやく打線が奮起。本塁打と連打で同点とし延長戦へ。十一回に宝楽(営2・PL学園)のサヨナラ本塁打で、立正大戦に続き勝ち点を挙げた。
劇的なラストが待ち受けていた。延長十一回だった。八回から登板したエース・原(営4・東洋大姫路)の連投と、土壇場で飛び出した大川の同点適時打に胸を熱くした宝楽。「自分が決めようと思った。ただそれだけを考えていた」と人一倍闘志を燃やしていた。2ボールと続いて3球目、狙いを定めていたやや高めに浮いた直球を完璧に捉える。打球は右翼手の頭上に大きな弧を描き、フェンスの向こう側へ吸い込まれていった。公式戦初安打がなんとサヨナラ本塁打。球場は大きな驚きと歓声に包まれる。そして、数少ないチャンスをものにしたヒーローは、ガッツポーズと無邪気な笑顔を光らせた。
終盤まで横手投げの一年生投手に苦しんだ。外角の変化球に翻弄(ほんろう)され、八回まで無得点に抑えられる。このまま試合終了かと思われたが、鳥居(営3・愛工大名電)の右翼場外へ飛び込む公式戦初本塁打で1点を返す。さらに打線はつながり、大川(営4・PL学園)の中前適時打で1点を追加し延長戦へ望みをつないだ。
昨春1年生にして開幕メンバー入りを勝ち取るも出番はなく、ベンチに入ったり外れたりの日々が続いた。勝ち取ったはずの1ケタ背番号「4」も今季から後輩に譲った。そんな男が放った意地の一撃は、貧打という深刻な問題を抱える打撃陣に希望の光を射した。試合後、次戦に向け「たとえ自分が出れなくても、勝てたらそれでいい」と自分の立場を冷静に見据え、チームの勝利を最優先に考える姿勢を見せる。しかし高橋監督は「すごい。バッティングがいいことはコーチ陣からも聞いている」と評価しており、出場機会も増していくはずだ。少なくとも宝楽にとってこの本塁打が大きなターニングポイントとなることは間違いない。さらなる活躍に今後も目が離せない。
■コメント
・高橋監督
苦しかったね。野手がもっと冷静に攻めてくれればもう少し楽な展開になった。相手のサイドハンド(の投手)の外の変化球に苦しんだ。特に右打者はだめだった。(八回は)チームの雰囲気を変えるために、カンフル剤になればと思って原を投入した。やっぱりエースが投げると違うね。(九回は)2死からよく粘った。大川は殊勲打ですよ。初回からこんな攻撃をしてほしかったね。(サヨナラ本塁打を放った宝楽は)すごいですよ。バッティングが良いということはコーチ陣から聞いていた。守るポジションがなくてなかなか出番がなかったけれど、2ボールからしっかり待って、よく打った。慶應戦(2011年全日本選手権決勝。小田が優勝を決めるサヨナラ弾)を思い出したよ。
・原(営4・東洋大姫路)
今日は野手のおかげで勝てた。最初から登板する予定だった。必死に追い付いてくれて、勝てて良かった。いつも打ってくれると信じて自分たちは投げているし、野手もピッチャーは抑えてくれると思っている。信頼関係が出来ている。粘り強く勝てた。これがチームだと思う。今日は上手くかみ合った。最初の立ち上がりに1点取られてしまったのは反省している。0点に抑えていればあれほど苦しまなかったし、9回で終わっていた。他のみんなが頑張ってくれた。監督からはお前しかいないと言われているが、自分はそう思ってない。他のピッチャーも頑張ってくれている。投手みんな頑張っているし、今日は本当にみんなで勝てた。まず一つの山場の立正大戦、それを越えて今日勝って、次は日大だと思っている。自分たちは挑戦者。全力で勝ち点を取りにいきたい。
・宝楽(営2・PL学園)
立正大戦では代打で出て初球を打ち損じてしまい、すごく悔しかった。今日はランナーもいなくて自分がつくろうと思って、ただそれだけ考えていました。(調整は)一球集中で一本一本スイングの形を確認していた。(監督からは)スイングしていてその形で打てば、いけるからっていう風に言われていた。なので、特に気にせずに打席に入ることができた。(打った球種は)ストレート。インコースのやや高め。ストレートだけを張って打った。(気持ちでは)やっぱり原さんのピッチングと、土壇場の大川さんのタイムリー二つの場面が熱くなった。(チームは)終盤になってから焦らずにスタメンの方もみんな打席に入っていたので、それが最後のつながりになったのだと思います。(今後にむけて)やっぱり今立正と東農大に勝ち点を取れたので、このまま勝ち点を一つも落とさずに2部で優勝して、1部復帰できたらいいなって思います。
TEXT=山下華歩 PHOTO=二俣士隆、星川莉那