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秩父宮杯第63回関東大学アイスホッケー選手権大会
4月26日(日)ダイドードリンコアイスアリーナ
東洋大3-4中大
[ゴール・アシスト]
06:11 今野(武尾、今村)
18:30 今野(田中)
23:32 人里(古川、出口)
3試合連続で得点したFW今野主将
好セーブを連続したGK脇本
今季初ゴールを決めたFW人里
先制点を奪い勢いに乗ったが、3ピリに2失点し逆転負けを喫した。ここまで順調に勝ち上がってきたものの、惜しくも決勝進出を逃した。
「フィジカルなプレーは続けていきたい」。試合後のインタビューで鈴木監督は悔しそうではあったが、東洋大のプレースタイルを貫くことに迷いはなかった。
昨シーズンのインカレでもペナルティの多さが響き、あと一歩のところ優勝を逃した。しかし、今シーズンもペナルティを恐れないチームがそこにはあった。爆発的な攻撃力を持つフィジカルプレー。1回戦、2回戦では大量得点で示してきたが、準決勝では歯車は噛み合わなかった。
序盤から東洋大らしい当たってパックを奪いに行くプレーで、攻勢をかける。最初のPP(パワープレー)でFW今野主将(社4・清水)が転びながらシュートを放ち、見事先制点を奪った。その後もFW今野主将が追加点を上げ引き離しにかかる。しかし、その10秒後に失点。2ピリはFW人里(社3・白樺学園)が今季初ゴールなどで1点を取る。しかし中大も1得点し差は縮まらない。1点リードで迎えた3ピリは、SH(ショートハンド)で失点すると、残り10分の場面でも一瞬の隙をつかれ逆転を許し、そのまま試合終了。1点差に泣いた。
フィジカルプレーという最大の強みであり、最大の弱点を露呈する試合となった。あまりにペナルティが多く、5人対5人で試合をする時間が少なかった。中大のペナルティが5回に対して東洋大は3倍の15回だ。「激しいプレーとペナルティは紙一重」と言われているが、今季初めての4人制審判に対応できなかったことも敗因である。だが、決して選手、スタッフはフィジカルなプレーに迷いはなく60分間走り切り、強豪・中大を苦しめた。ディフェンスでは守護神・GK脇本(社4・苫小牧工)が驚異の40セーブと存在感を見せた。3位決定戦は、明大相手に好ゲームを見せ勢いに乗った早大との対戦だ。しかし、どんな相手にも東洋大らしいフィジカルなプレーで勝利をつかみ取る。
■コメント
・鈴木監督
全体的に良いところもあったが、やっぱり精神的弱さ、自分たちはペナルティで一気にくずれてしまった。メンタルのコントロールが足りなかった。脇本を中心に良い守りだったが、やはりペナルティの数が多すぎて、集中が切れてしまった。(1ピリ、2ピリの間で声をかけたこと)ペナルティしたら勝てないと言ったが、自分たちはフィジカルなプレーを大切にしているので、それは続けようと言った。(4人制審判について)レフリーのコールは素晴らしかった。その基準がユニバーシアードにあるのか、世界選手権にあるのか、基準がどこにあるかを掴んで、フィジカルなプレーを続けていきたい。ペナルティの基準を自分たちで掴まなければいけない(今野主将の好調の理由)去年から好調を維持しているし、彼のこの大会への思いが数字に出ているのだと思う。
・FW今野主将(社4・清水)
反則が多く、キルプレーの時間が多かった。そこを反省して次に切り替えてプレーすることができずにそのままズルズルいってしまった。精神的に弱かったのかなと思う。(よかった点)相手に走り負けしてなかったこと。それだけ。(自身のゴールは)FWなので点を取ってチームに流れを持ってくることが仕事なので相手に負けないようにゴールに向かった。それが結びついた。(次の試合に向けて)今日は今日で切り替えて、3位という目標に向かって練習していきたい。
・GK脇本(社4・苫小牧工)
内容は全然良くなかった。反則も多かったし、もっとみんな冷静になれれば良かった。今シーズンの試合の中で1番悪いピリオドだった。(具体的には)足が止まってスティックを出して反則取られたり、数的不利な状況が続いた。5人対3人の状況も2、3回あったし、それだけでピリオドが終わってしまった。得点力という点では良かったが、最後に粘り強さが足りなかった。(この1週間のチームの調子は)良かった。だが今日は反則が良くなかったというのが全てで、どんなに攻められても僕自身は4点入れられているので5点入れないと勝てないし、僕を含むディフェンスの課題にもなったと思う。(3決に向けて)東洋は3位が多い。去年より下にいくわけにもいかないし、1年生も良いプレイヤーがたくさんいるので、ここで次負けるのと勝つのでは秋に向けても全然変わってくる。また気持ち切り替えて、しっかり頑張って勝ちにいく。
・FW人里(社3・白樺学園)
全体的にペナルティが多かった。(試合前どんなこと声をかけられたか)とにかくシンプルなプレーでと言われた。(ゴールについて)前2試合ゴールしてなくてチームのために何も出来ていないと思ったので、試合前もシュート練習を集中してやれた。同じセットの古川も良い動きだったし、出口も良いパスくれたのでシュート打つだけだった。(足りなかったものは)チームのためにみんなプレーしなければいけないと思うし、ペナルティも減らさなければいけない。人数がイーブンな状態なら全然負けていなかった。(次の試合に向けて)もう優勝はないが、どうせなら勝って3位で終わりたい。
・DF田中(国3・Rockridge Secondary School)
立ち上がりから反則が目立ち自分たちの流れにできなかったことが大きい。先制点を取ったことで流れに乗りたかったが、自分たちのホッケーではなく中大の流れになってしまった。(反則について)ビッグゲームだったので気持ちが出てしまった。早くから審判の基準に対応できていればもっといい試合ができたと思う。(守備の時間が多かったが)DFは守ることが仕事なので、そういうシチュエーションになればなるほど守備に徹して、キーパーがなるべくシュートを受けないようにその前に体を張ってチャンスを少なくしていた。(中大のプレイは)PPに押されてしまい、反則後の5対5では相手がテンポを作っていて、大事な場面で反則も取らない。上級生が引っ張っていて個々で見ると自分たちより完成していると思う。(次戦に向けて)切り替えて、いい練習をしてしっかり調整して臨みたい。
TEXT=星和典 PHOTO=坂口こよみ、中田有香