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東都大学野球春季1部リーグ戦・中大2回戦
4月21日(水) 神宮球場
○東洋大1-0中大
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
東洋大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
中大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
二塁打:加藤響(三回)、松本渉(三回)
○細野(1勝)ー廣岡
・打者成績
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 |
1 | (左) | 松本渉(営3=龍谷大平安) | 4 | 2 | 1 |
2 | (三) | 瀬川(総4=聖光学院) | 3 | 2 | 0 |
3 | (右) | 佐々木(営4=帝京) | 2 | 1 | 0 |
4 | (一) | 小口(法3=智弁学園) | 4 | 0 | 0 |
5 | (遊) | 木村(総4=霞ヶ浦) | 4 | 0 | 0 |
6 | (指) | 岡崎(営4=帝京) | 3 | 0 | 0 |
打指 | 宮本(総2=大阪桐蔭) | 1 | 1 | 0 | |
7 | (中) | 橋本吏(総2=花咲徳栄) | 1 | 0 | 0 |
8 | (捕) | 廣岡(総3=拓大紅陵) | 4 | 1 | 0 |
9 | (二) | 加藤響(総1=東海大相模) | 4 | 1 | 0 |
計 | 30 | 8 | 1 |
・投手成績
名前 | 回 | 球数 | 安 | 四死球 | 三振 | 失 | 責 |
細野(総2=東亜学園) | 9 | 155 | 3 | 6 | 14 | 0 | 0 |
圧巻の投球で完封勝利を飾った細野
先制につながる二塁打を放った加藤響
(写真提供:東都ベースボールWeb)
打線爆発で大勝した1回戦の勢いそのままに連勝したい中大2回戦。序盤は押せ押せムードで三回に加藤響(総1=東海大相模)と松本渉(営3=龍谷大平安)が連続で二塁打を放ち先制するも、その後は決定打に欠け追加点を奪うことができない。昨日とは打って変わってロースコアの緊張感あふれる試合となったが、先発の細野(総2=東亜学園)が九回を無失点で投げ抜き初勝利。チームとしても今季初の完封となり1対0で中大を撃破した。
今季3度目の先発マウンドに上がった細野は初回から140㌔台を連発。古賀(中大)に中前打を許すも続く4番森下(中大)を145㌔の直球で空振り三振と3つのアウトを全て空振り三振で奪う。
援護したい打線は三回、先頭の9番加藤響が三塁線を破る二塁打でチャンスメイク。1番に戻り松本渉も左翼への二塁打で続き2人で1点を挙げる。加藤響はこれが大学初得点。うれしそうにホームベースを踏みしめると先輩たちが待つベンチへ。まずは佐々木(営4=帝京)に迎えられ、最後に木村(総4=霞ヶ浦)と両手でハイタッチを交わした。1年生の活躍に奮い立ち瀬川(総4=聖光学院)が右前打、佐々木が四球で無死満塁の好機に。しかし中大バッテリーも黙ってはいなかった。前日3安打の小口(法3=智弁学園)は併殺打に打ち取られ追加点を挙げることはできない。
一方の細野は伸び伸びとしたピッチングが続く。三回には宮井(中大)に初球を左前に運ばれるもすぐさまけん制でタッチアウト。続く中川(中大)には四球を与えてしまうが、今度は誘い出して一塁に送球しこちらもタッチアウトに。杉本監督が「他のチームはリードしない方がいい」と語る巧みなけん制でこの日は4度も走者を刺した。
三塁を踏ませぬ好投にバックも好守で応える。七回、先頭森下の鋭い打球に三塁の瀬川が飛びつき素早く一塁へ送球。続く高橋隆(中大)の打球も三遊間を襲うが今度は遊撃の木村がファインプレーで盛り立てる。前日は守備で精彩を欠いた2人が本来の力を見せつけた。
1点リードのまま九回裏のマウンドにも上がった細野。ここまで120球を越える熱投にも関わらず、147㌔をマークし1番からの好打順を二者連続空振り三振に切って取る。そして迎えた古賀に対する7球目、ここで決めるとばかりに放られた直球は自身神宮最速タイとなる149㌔を記録。終盤になっても衰えぬ球速で完封へ王手をかけたところだが惜しくも四球となる。森下にも死球を与えてしまい、この日最大のピンチに。ストライク判定に東洋大ベンチが、ボール判定に中大ベンチが沸き、細野の一球一球に球場全体が熱視線を送った。148㌔の直球で最後も見逃し三振。155球を投げ抜き14奪三振で完封勝利を飾った。
圧巻の投球で存在感を示した。「今シーズンはとにかく点を取られないようにすること」と目標を口にした細野。ここにきて防御率0.40でリーグトップに躍り出た。残り3カード、さらなる自信を手にした左腕が4連覇への道を切り拓く。
◼️コメント
・杉本監督
(細野くん素晴らしいピッチングでした)はい、そうですね。言うことなしですね。(けん制も上手いんですね)それはもう、天性なんでしょうからほかのチームはリードしないほうがいいですよ(笑)。最後の古賀(中大)みたいなリードが正解ですよ。だからもう、一塁ランナーはよっぽどのバントか完全にスタート重視の奴しかいないんと思うんだけど、やっぱその時に特徴として、足上げてそこから見て放れるらしいんですよ。それは自分がけん制というふうにそこから分かると言っているので、ちょっと僕らには次元が違うんだろうなと思いますね。(三振の数は14だがそれについてはどのように思うか)上茶谷(H30年度法卒=横浜DeNA)には及ばないなと(笑)。でも、これって三振のところでいうと、あいつ(細野)の場合、見逃しっていうよりも空振りの三振が多いので。細野の場合はですね、そんなもんだと思うんですけど、だからあんまり審判に左右されない。審判との相性がよかった時にはこの前の上茶谷のようになるのではないかなと思いました。やっぱりそういう相性があるんでしょうから。でもそうじゃなくて、バットの空を切らすというところについては彼の球質だと思います。(オープン戦で完投はあったか)いや、ないです。こちら(春リーグ戦)へ来て、2試合投げましたよね。結果的には、練習でいくら投げても、試合で投げる肩はできないということで、1試合目も2試合目も100球、今日本当は120球の予定で代えるつもりだったんですけど、次は150球くらい投げれる感じの肩の作り方優先で肩を作っていこうという話をしていたんです。今日こういう展開になって「いけるか」って話し合った結果、「いけます」という話だったため。本当は120球から130球で終わる予定だったんです。(攻撃の最初は松本君からランナー出ましたが)最初は絶叫調だったんですけど、そこからだんだん気持ちが泣いていってしまいましたね。(細野は肩痛めたのか)いや、脇腹を痛めて。絶好調できて、さあっていったら脇腹痛めて、去年ずっと前半、秋のリーグ戦もイニングを少なくしてやっていたんですけど、今日はそんなに全力投球していないと思うので。(八回に出てくるの遅かったが)あれは、靴紐がね。ここ(神宮球場の土)が固いんですよね。靴紐が切れちゃってそれを変えてたんです。(1対0だとなかなかメンバー変えるのは監督としては難しいですよね)変える度胸がないです(笑)。(いい投球内容でしたしね)本当は昨日今日と1年の岩崎(総1=履正社)を投げさせる予定で、岩崎は投球練習だけで終わっちゃったんですけど、順当にいけば2番手岩崎で3番手は羽田野(法3=汎愛)という予定だったんですけど。2点取ってくれれば八回、九回で出てきたのかなとは思いますけど。(攻撃の方で古賀(中大)くんのリードについては)昨日と全く変わらないです。だから、昨日は完全にうちの術中というか、みんなに言っているのは古賀捕手は素晴らしい捕手なので、そして中央のピッチャーもちゃんとコントロールのいいピッチャーなので、打ちやすいはずだからなっていう話をしたんですけど、自分が思い描いたところに来るはずなんで、前半はやはり同じような形で決まったんですけど、後半はインコースをすごく上手に使われたのでさすがいい配球してます。やっぱり審判との相性の中でいろいろジャッジできるし、なかなかアウトにならないんですよね。今日フォアボール4つですもんね。古賀くんだけに3つですね。
・松本(営3=龍谷大平安)
(あのタイムリーはどんな感じで)バスターのサインだったので、とにかくゴロをつぶして打った結果、たまたま飛んでいった感じです。(今シーズン本来のバッティングできない感じで今日だいぶ乗ってきたんじゃないか)そうですね。前半はダメだったんで、自分の中で焦りというものがあったんですけど、低めの見極めができなかったり。まあそこは割り切って、ストライクで取られたら仕方ないという気持ちで今日はやって、まあ少し良くなったかなと思います。(もう少し援護してあげたかったか)そうですね。
・細野(総2=東亜学園)
(今日のピッチングについて自分では納得がいったと思うが)そうですね。前回よりはいい形で試合に臨めたので、そこは良かったのかなと思います。(三振14、そのくらいは取れるか)いや、九回投げるということがなかったので、14取れたのは良かったです。
ーー杉本監督
三振取るピッチャーじゃないですもんね。
ーー細野
(高校時代最多奪三振は)15ぐらいですかね。(今日は何がよかった)今日は真っ直ぐが狙われているときに小さく動かして芯をずらしたりできたのがすごい良かったのかなと思います。(球種の中心は)スライダー、カーブ、直球と、横の小っちゃい変化球。(なんかチェンジアップっぽいというか135㌔のストレートが出ていたが)たぶん真っ直ぐが死んでる(笑)。(落ちるのがスプリット?へこむのがカット?)たぶんそうです。(けん制が上手いと思うんですけどいつ頃から)小学生のころからある程度できていました。(ランナー見ていたら分かるのか)大体サインもらってから反応の仕方は見るようにしています。(足上げてからビビッと来るものがあるのか)そんなことはないです。(コツはあるか)まあ、クイックのフォームに投げる時のフォームは極力近づけるようにはしてます。(Maxは)神宮では149㌔、(ブルペンでは)152㌔。(すごく冷静ですけど、初勝利をそれだけいいピッチングで収めた感想は)冷静にうれしかったです。(今年から先発ということでやってきたことは何かあるか)手を抜くということはないですけど、中継ぎみたいに全部思いっきり投げるんじゃなくて、バッターをちゃんと見て、力を入れたり入れなかったりっていうのは勉強中っていうか研究してます。(背番号34というのは)監督さんが金田(正一)さんみたいになってほしいという意味で34になりました。
ーー杉本監督
古いでしょ?山本昌でもいいんですけどね。
ーー細野
(金田さん知ってますか)知ってます。(金田さん何勝したか知ってるか)600勝くらいですか(笑)。
ーー杉本監督
こんなやつですよ(笑)。
ーー細野
(ご自身の目標は)目標としている人は杉内俊哉選手。(リーグ戦今日で1勝だが何勝したいか)チームが勝てばいいと思っているのであんまり考えたことはないですね。(今シーズンの目標は)今シーズンはとにかく点を取られないようにすることです。
TEXT=小林夏実