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2021.05.02
硬式野球

[硬式野球]細野初回7失点 必死の反撃も勝利は掴めず二連敗 国学大二回戦

東都大学野球春季1部リーグ戦・国学大2回戦

4月30日(金) 神宮球場

●東洋大7ー8国学大


東洋大
国学大×


二塁打:牧(七回)、加藤響(八回)

細野、岩崎、石上祐、大宮、●河北(2敗)、羽田野ー廣岡、後藤聖、芦名


・打者成績

打順守備名前
(左)松本渉(営3=龍谷大平安)
(三)瀬川(総4=聖光学院)

三田(営1=智弁学園)
(右)佐々木(営4=帝京)
(一)小口(法3=智弁学園)
(遊)木村(総4=霞ヶ浦)
(指)宮本(総2=大阪桐蔭)

打指牧(法4=帝京三)

打指矢吹(総3=聖光学院)
(中)橋本吏(総2=花咲徳栄)
(捕)廣岡(総3=拓大紅陵)

後藤聖(営2=京都学園)

岡崎(営4=帝京)

芦名(総4=木更津総合)
(二)加藤響(総1=東海大相模)


3511


・投手成績

名前球数四死球三振
細野(総2=東亜学園)  2/344
岩崎(総1=履正社)3 1/338
石上祐(法2=東洋大牛久)1 2/334
大宮(法4=鳥取城北)  1/3
河北(営3=浦和学院)1 2/329
羽田野(法3=汎愛)  1/3



 1回持たず降板した細野


今季初打席で二塁打を放った牧 


八回に5点獲得し喜びを爆発させる


(写真提供:東都ベースボールWeb)



勝ち星を挙げて2位復帰を狙う国学大2回戦の先発は細野(総2=東亜学園)。しかし、初回にまさかの7失点で追いかける展開に。このままでは終われない東洋大は終盤に追いつくも、八回に1点を勝ち越されてルーズベルトゲームをものにできず。国学大に対し2連敗を喫(きっ)した。


 前回の好投で細野に注目が集まる中始まった試合は一回裏から揺れ動く。先頭打者の山崎晃(国学大)への四球、木村(総4=霞ヶ浦)の失策、暴投と悪い流れが続き先制を許してしまう。その後も福永(国学大)、安里(国学大)、青木(国学大)と国学大勢の出塁が続いて3点を奪われ、常に満塁状態が続く。必死にストライクを狙うも制球が定まらない状況に細野は徐々に自信なさげな表情に。その後も三者連続で四球を与え、押し出しで2点を献上。次世代のエースは3分の2回を投げ44球で降板することとなった。続く大ピンチでマウンドに上がった岩崎(総1=履正社)も四球で押し出し、もう1点失う。初回から計13人の打者に対し3安打にも関わらず7点を失った。ベンチに不穏な空気が漂う東洋大に対して、国学大からは威勢のいい声が無観客の球場に響き渡る。


 初回で失った7点の重みが徐々に降りかかってくる終盤。もう同じ戦い方はしない。そういう思いからか簡単に諦めモードに入ることはなかった。七回表、ここまで抑えられていた彼らが突如試合を動かし始める。木村の四球、今季初打席となった牧(法4=帝京第三)の左安打、橋本吏(総2=花咲徳栄)の四球で満塁に。今まで苦戦してきた国学大に対しようやくチャンスを掴み取る。続く後藤聖(法2=京都学園)のニ邪飛で木村がタッチアップ。ヘッドスライディングでホームインし、1点への執念をみせる。加藤響(総1=東海大相模)の打席では国学大の失策により牧も本塁に生還。2点を奪い取る。


 2点詰め寄るもまだ「5点差」という大きな壁が立ち塞がる。しかし、彼らには前回とは明らかに違う自信のある表情が浮かび上がっていた。この大きなビハインドに選手たちは立ち向かっていく。八回、瀬川(総4=聖光学院)、小口(法3=智弁学園)、木村が次々と出塁し満塁に。続く矢吹(総3=聖光学院)の四球、橋本吏の右犠飛で2点を獲得。瞬く間に差を縮める。流れを掴んだ東洋ナインの加速は止まらない。ベンチにも明るい声が戻ってきた。岡崎の内野安打と加藤響の二塁打でさらに3人生還し計5点を獲得。この日の強風も追加点を後押しし、ついに同点に追いついた。


 息を呑む展開が続く中、八回裏に国学大に1点を返され迎えた九回表。両大学の必死の思いがベンチから力強い声でぶつかり合う。しかし、あと1点を掴み取ることはできずに試合は幕を閉じた。


 七回、八回の反撃にベンチが喜びで溢れる中、拳を握りしめて俯き、涙を拭うような素振りを見せていた細野。仲間が取り返してくれた7点にどんな思いを抱いたのだろうか。試合後も一人でマウンドを見つめる姿は哀愁に帯びていた。今まで好投を披露してきた細野にとっては課題の残る一戦。この敗北を胸に今後も細野は神宮に挑戦し続ける。




■コメント


・杉本監督

(向こうの守備が乱れて追いつきましたが、追いつけた原因は)やっぱり、そこは徹底したところなんじゃないかなと思います。本当にあの形でやっていったら、あのまま7対0とか7対1で負けてしまったら、チームとしては全く何も機能してないっていうようなことなので。そこについては、しっかりピッチャーは一生懸命粘ってくれてバッターのほうはもう少し早ければもっとよかった。まぁ、あれだけやれれば僕としてはいい感じかなって。負けは負けですけど。でも、その負け方っていうところについては次につながるかなって。(細野が投げてる時にアクシデントがあった場合誰が)もう岩崎に伝えていたので。それは全然岩崎OKですっていうところがありましたので。(もう少し早くっていうことですが、8人目か9人目かは監督の頭の中では)いや、それは多分無理でしょ。あそこのところで。あの3点4点っていうところで代えるっていうのも2アウトで。それは多分無理だと思います。それがね7点までいってしまって、ストライクが入らないっていう状況っていうのがそれが想像できなかったので。(3連続押し出しの経験は初めてか)社会人の時にあります。そこも含めてちょっと考えなきゃいけないところなんでしょうけど、ストライクが入らないので仕方ないですね。チェックポイントもちゃんと分かってるし、それでもストライクが入らないんだってなると…。彼がどういうふうな精神状態なのかっていうところも含めて次につなげていかなきゃいけないので。これが、本当にずっと今まである程度いいピッチングをして、こういうふうな状況になって、じゃあ次どういうリカバリーをしていくかっていうのが本当の大学野球のエースと言われるピッチャーの責任だと思いますので、1週間ないですけども彼がどういうふうにしてどうやって立て直していくのかっていうのをそばでちゃんと見たいと思います。(集中力が難しい部分もあると思うが五回に監督から声掛けは)いや、こっちのベンチの裏でいつも通り五回の時は話をしました。どうでもいいからついていこうっていう話と、絶対に集中力を途切れさすなっていう話をしました。(残り2カードですが)まぁ本当に最下位もありますし、入れ替え戦にいくこともあると思いますんで。そこのところについては、しっかりそれは選手もちゃんと分かっていると思いますので。ピッチャー陣を立て直してっていうか噛み合わせが悪いところですかね。そこは今日最後ああいった粘りが出たっていうところについては良しとして、いい材料としてつなげたいところですね。(キャッチャーを代えたのは流れを)そうですね。この間もそうなんですけども、やはりキャッチャーの考え方っていうのを、どうしても押されちゃって打たれてばっかりのキャッチャーって国学大に対してのイメージがあまりにも悪すぎるような感じがするんですよね。だから細野のストライクが入らなかったとかっていうのもそうなんですけど、もっと攻めていきゃ良かったんじゃないのっていう感じもしないでもないですけど、それを警戒しすぎてる。そこについては、本当に一生懸命勉強して、一生懸命そういうふうにして経験してやってくれてるんですけども、そこが逆につぼに入っちゃうようなところもありますけども。そこは変えて、もう少しフラットにして、単純に考えるのがいいんじゃないかなと。僕もキャッチャーなんで、キャッチャーの理想通りにくるかというと、そうじゃないっていうのをちゃんと考えながら研究しないといけない。



TEXT =宮谷美涼