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2021.06.19
硬式野球

[硬式野球] “怒涛の春を振り返って” 入替戦注目選手・細野晴希投手

「なかなか調子が上がらず、パッとしない形で終わってしまいました」細野晴希(総2=東亜学園)は波瀾万丈で終えた春リーグ戦をこう振り返った。


 春リーグ戦で様々な試合を展開してきた細野


(写真提供:東都ベースボールWeb)


 今季、細野は初戦の青学大1回戦から登板。2部から上がってきた青学大に対して、94球を投げ8奪三振無失点で見事な初先発デビューを飾った。


 なんといっても細野の魅力は出塁を許した選手を自らアウトにするけん制だ。細野のけん制ショーは青学大1回戦の初回から始まった。長い左腕から繰り出されるこの技で8試合で8度ものアウトを奪い、他大の走者の活躍を阻んできた。


 そんな細野が大爆発したのが中大2回戦。それまで無敗だった中大に対し149㌔のストレートを何度も投げ込み14奪三振。4つものけん制死を奪い完封勝利を果たし、細野が主役ともいえる試合を作り上げた。細野自身も一番印象に残った試合として挙げるも「内容は全くダメだった。ただ大学初勝利だったから印象に残っただけ」と結果に満足はしてない模様。それでもこの好投でプロ野球のスカウトや大学野球ファンから多くの注目を集めることとなった。


 中大戦での好投から期待が寄せられるが、その後は細野に暗雲が立ち込める。国学大戦、亜大戦では四球を多く出し、押し出しで点を奪われることもあった。「神経質になりすぎた。打たれたら負けという考えが頭にあり、その結果四球や失点につながってしまった」というように中大戦からの好調をキープできず、2勝目には届かなかった。


 投手陣の不調が響くようにチームの勢いも落ち着き始め、最終週の駒大戦で入替戦行きを占うことに。細野は1回戦に登板。夏の訪れを知らせるような眩しい太陽の日差しを受けた細野は今までの不調から脱したように2つのけん制を浴びせ、マウンド上で輝きを放つ。しかし、途中でピッチャーライナーが細野の左手の甲を直撃し降板することとなった。


 打撲を負った細野だったが2回戦にも中継ぎとして登板。有観客試合再開となった神宮で観客たちに見守られる中、149㌔を連発するも打撲の影響から50球ちょうどでマウンドを降りた。「投げるのは全然平気。だからもう試合では投げることはできる」と前向きな様子だ。



(写真提供:東都ベースボールWeb )

 

 中大戦での2連勝を最後に勝利の陽を浴びることはできないまま春リーグ戦は幕を閉じ、約1ヶ月。そしてついに入替戦を迎える。「初めての経験なので不安もあるが、楽しみでもある」と入替戦に対してそれほど怖気付いていない。最後に「21日にいい状態に持っていってチームを勝たせられるように頑張ります」と意気込んだ。


 梅雨空の神宮で細野は今までの無念を “晴”らす投球を魅せ、 “希”望の光を仲間たちに照らすことができるか。2連勝を飾り、何としても1部に踏みとどまりたいところ。きっと細野の “晴”れ渡った笑顔をもう一度見たい人も多いはず。この左腕の長身から繰り出される高速ストレートとけん制に注目だ。


TEXT=宮谷美涼