Article

記事


2021.09.02
コラム

第750回 2年分の夏 執筆者・青木智哉

みなさまこんにちは。2年の青木智哉です。気がつけば9月。夏でもなければ、秋でもない、"夏の終わり"といったところでしょうか。ひと夏を越えた安堵と、終わりゆく寂しさ。大学生になっても変わらぬ感情が、少しばかり嬉しいような気もします。秋はすぐそこに。季節の移ろいを楽しみたい近頃です。


さてさて、2回目のコラムとなります。秋も真っ只中の時期に回ってくると踏んでいたのですが、それこそ、ひと夏を越えての執筆。今回は、その"夏"を中心にお伝えできればと思います。ちなみに、ここまで丸2日。やはり難しいものですね。どうぞ、最後までお付き合いください。


2021年、夏。前回(#740)のコラムで、感染状況の改善を願ったのも虚しく、事態は深刻さを増すばかりでした。しかしながら、一方で、"2年ぶり"や"1年遅れて"といった言葉もよく耳にしました。つまり、昨年できなかったことを何とか形にできた夏でもあったのです。当然ながら賛否の声はありますが、大切なものを失うばかりではなく、ちょっぴり光を、さらには逆に大切なものを目にできたような気がします。


スポーツで話を進めるのであれば、やはり東京五輪・パラリンピックは欠かせません。これだけで、この先のコラムの話題に心配はいらないほどです(笑)。残念ながら、ほとんど無観客での開催になってしまいましたが、それでも白熱したシーンの連続であり、挙げればきりがありません。あまり注目してこなかったからこそ魅力に気づく競技、これまでの道のりや背景を知っているからこそ思うものがある競技、経験してきたからこそ深い見方ができる競技、それぞれに楽しみ方がありました。そうはない自国開催の五輪・パラリンピックを、今できる形で、どうにか目に焼きつけようとする一方、さまざまなシーンに出会うほど、この状況が悔しくてたまらないのも事実です。そんなこんなですが、パラリンピックが今週末で閉幕します。「スポーツの力、価値」を見せてくれた選手の方々、背中を押してくれた選手の方々、そして大会を支えてくれた方々、みなさんに感謝したいと思います。


もう一つ、個人的には「高校野球なくして夏なし」と思っております。毎年、地方大会から甲子園を楽しみにしているのですが、これこそ2年ぶり、待ちに待っていました。いつの間にか年下、だけれども変わらぬ大きな背中。一球一球にかける想い、勝負はもちろんのこと、こういう状況にも立ち向かい、感謝をもってプレーする姿は、高校野球の魅力そのものだと思います。高校時代を経たからこその尊敬が募るばかりではなく、今年はスポトウの硬式野球班として、選手の方々が進む道も楽しみになりました。いつか東洋大学でお会いできたら嬉しいものです。


五輪・パラリンピックも、高校野球も、もちろんスポーツ、勝負事として共通する部分は多くあります。ただ、そのなかでも、日々の積み重ねに対して本番は一瞬でしかない、負けたら終わり、といった点に重なりがあるように思えます。その一瞬のために、一度きりのために努力を惜しまない姿、そして持っている最大限の力を尽くす姿、すべての選手にそれぞれの輝きがあり、そこに大きな魅力を感じるのです。


しかしながら、私たちは、その一瞬の、一度きりの舞台が奪われていく現実を目の当たりにしました。ご存じのとおり、昨年から猛威をふるう新型コロナウイルスによる影響です。それこそ、昨年の夏には、東京五輪・パラリンピックの延期、甲子園の中止、その他の大会やコンクールの中止など、数多くの舞台が失われました。当たり前のように訪れると思い込んでいたからこそ、毎年、はたまた4年に1度、大会などが開かれることの有り難みに気づかされたように思えます。それとは別として、また、選手の方々が味わった苦しみや無念さも計り知れないものでしょう。そのように考えると、この夏、多くの舞台が戻ってきたことは、大きな意味があり、感謝も忘れてはいけないように感じます。


個人的な話になりますが、この東京五輪・パラリンピックの夏、やはり開催が決まったときから楽しみにしていました。当初は2020年。この前、中学時代に担任の先生とやりとりした日記を見つけました。

「東京五輪開催決定から今日で1年。6年後の夏は東京に…。絶対にみにいきたい。このころの世の中はどうなっているだろう」-2014年9月7日

もちろん未来のことなど分かるはずがありません。改めて思い知らされます。そして、最後の一文が気になりますね(笑)。


ものすごく余談でしたが、五輪・パラリンピックに限らず、今年も思うようにいかない夏でした。仕方がないとはいえ、大1に続いて大2、苦しいですね。ただ、昨年よりは充実していた、と、信じたいです。いや、信じます。さすがに光は見えているはず、次こそは、と思うこと何度目でしょう(笑)。


次回の担当は年明けごろでしょうか。もちろん未来に"絶対"はありませんが。今のところ、よいお年をお迎えください。


最後になってしまいましたが、前回のコラムでお伝えできなかった担当の部会について紹介しておきます。私は、硬式野球、陸上、アイスホッケー、ラグビー、準硬式野球の5競技に携わらせていただくことになりました。こういった状況が続いており、スポトウとして活動できている競技があれば、そうでない競技もありますが、関係者のみなさま、よろしくお願い致します。


拙い文章ではありましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。次回のコラムでお会いしましょう。



青木智哉




さきほどの日記。先生からは「みんな大学生かー!五輪堪能できるね」とありました。やっぱり悔しすぎる。その"未来"とは、その"夏"とは、どんな世界だったのでしょう。