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2021.11.10
硬式野球

[硬式野球]佐々木主将最後は三振も笑顔 両親が見守った引退試合

東都大学野球秋季2部リーグ戦・立正大2回戦

11月8日(月)  神宮球場

東洋大2-2立正大


三振で最終打者となったが笑顔を見せた


後輩へのサポートも欠かさなかった佐々木(右)


(写真提供:東都ベースボールWeb)



今年度のチームをけん引したのは佐々木俊輔主将(営4=帝京)。今季は4年生野手で唯一、試合に出場し続け、ベンチの真ん中でチームを鼓舞し続けた。この日は今季最終戦にして最終打者に。最後まで大好きな野球に打ち込む姿を両親も球場で見守った。

 

 昨年の主将就任時、「当たり前のことを当たり前にできるチーム」を目標に掲げた。今季は好守交代時にチームメイトとのハイタッチより先に相手打者のバットを拾い、返す姿、そして自身の代打となった後輩を笑顔で送り出しベンチから声援を送る様子も見られた。この日はスタメンから外れたが、チームのサポートにも抜かりはない。一回表終了時には自身に代わって右翼につく水谷(営2=龍谷大平安)の打席準備を手伝った。「試合に出れないこともある。それでもチームをまとめて引っ張ってやってほしい」という両親の願いにも応えた。

 

 試合には七回に代打で登場。初球を振りぬくと打球は鋭く上がったが、レフトフライに倒れた。勢いよく走り出していた佐々木は三塁ランナーコーチャーを務める井上コーチに「すみません!」と会釈。野球を存分に楽しむ笑顔を見せた。

 

 八回、九回と右翼の守備につき、應援指導部の声援を直に背中で受け取った。同点で迎えた九回裏、1死から帝京高校からの同期、岡﨑(営4=帝京)が中前打で出塁。瀬川(総4=聖光学院)が犠打を決め、4年生が主将を前にチャンスを演出する。一打サヨナラの場面で、佐々木は「よっしゃ!」と気合を入れて打席に立つと「帝京で1点!」とベンチから声援が飛んだが、最後は空振り三振。東洋大背番号1のアウトで今年度の東都大学野球リーグ戦は幕を閉じた。


  両親は「インコースは苦手。あそこで打てないのが…(笑)」と話すも、主将として全力で戦い抜いた息子に誇らしげな表情を見せた。「まだ、野球できるので。今日は今日で一区切りと思って、これからも頑張って」と父はエールを贈る。目に涙を浮かべる4年生もいたが佐々木の表情は晴れやかだった。最終戦、主将に贈られた餞(はなむけ)の最終打席。この経験、そして大学での4年間を胸にこれからも佐々木の野球人生は続く。


TEXT=小林夏実