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2021.12.08
硬式野球

[硬式野球] 〜実力を知った秋、1部目指して正念場の冬へ〜13日間連続インタビュー第1日目・杉本泰彦監督

活動停止という異例の夏を乗り越え、1部昇格という目標を失いながらも臨んだ秋季リーグ戦。万全の態勢ではない中、全勝を目標に掲げた東洋ナインだったが2部3位と悔しさを味わうこととなった。彼らは地固めといえる今季をどう捉え、1部昇格を目指す来季に向けて何を得たのだろうか。13日間にわたって彼らの思いをお伝えする。

(写真提供:東都ベースボールWeb)


第1日目は杉本泰彦監督。前代未聞の今年度を指揮官はどう受け止め、どのような戦術を立てて今季の試合に挑んだのだろうか。初の2部での手応えや交替が目立った投手の起用方法、チームの統率者として来季への思いを明かした。(取材日・11月27日、聞き手=宮谷美涼)


ーー今季を振り返ってみていかがでしたか

今季は、うちのほうはクラスターが出て、1カ月まったく動けませんでした。動き出して1カ月でリーグ戦だったので、試合ができるだけでめっけものだったんです。あとそのところでけがをしないでリーグ戦を終了することを主眼に考えました。


ーー活動停止の際に選手に話したことはありましたか

自分たちでやらかしたことというわけじゃないんですけど、結果的には自分たちには責任を取らないといけないことだったので、そういうような意味では我々には社会的には責任があったはずです。感染を拡大させることだけは絶対にしない。大変不自由な生活を強いられましたけど、それは自分たちに降りかかってきたことなので、そこは通常、社会性をもって生活をしようという話をしました。


ーー大学からはどのような指示が出ましたか

ルール通りに閉鎖じゃなくて、封鎖ですね。誰も帰さない。誰も出ていかない、野球部の中ですべて完結させるということでしたね。


ーー入替戦がなくなったことに対する心情は

現実の話、うちは何も言える状況じゃなかったので、しっかり受け止めて、自分たちができることをしっかりやろうと思いました。僕は野球ができることって、言い方おかしいんですけど、コロナで強いられた中で生活をしていたはずなんですね。野球なんて社会のほんの一部ですから、自分たちに波が寄せてくるのは当然なので、しっかり受け止めようという話はしました。選手たちは理解してくれたと思うんですけどね。


ーー入替戦がなくなったことで起用方法は変わりましたか

当初は変わらないつもりだったんです。実力のところで4年生も使ってという話になったんですけど、練習の中であまり集中力が感じられなかった4年生がいたもので、それならば4年生にリーグ戦で戦ってもらう必要がない。だから、そこはしっかり切り替えていこう。佐々木(営4=帝京)キャプテンをはじめ4年生出た選手もいますけど。そういう感じでしたね。


ーー2部3位という結果をどう受け止めていますか

練習が全然できていないですから、逆によく戦えたなとは思っています。


ーー初めての2部はいかがでしたか

野球としてというか、いろいろな経験があるのでね。いい経験でしたと言っていいか分からないんですけど、本当にレベルという風な部分についてはすごい選手がいるなという風に感じました。


ーー1部と2部で力の差は感じましたか

正直、力の差というか、ポテンシャルというところに関しては全く感じてないです。ただ、試合の戦い方というところで言うと、1部のほうが勝利に対しては厳しいかなという感じですかね。ポテンシャルはまったく遜色ないと思いますけどね。


ーー下級生主体のオーダーが多かったですね

下級生主体というよりも下級生の方がポテンシャルが高い、ただそれだけです。


ーー試合に出られない4年生に何か伝えたことはありましたか

今残っている4年生ほとんどの選手は、社会人であったり、軟式野球、硬式野球は違いますけど野球を続ける選手が秋のリーグ戦に残っていたので、そこのところについては、自分たちのいい経験になる。そうして野球をやってほしいという話はしました。


ーー最終戦は来季を見据えるオーダーに見えました

確かにそういうことは考えてました。最終戦だけは最後、神宮のスコアボードのところに7人4年生が入っていました。ただ赤木(営4=いなべ総合)っていうピッチャーだけは入れることが出来なかったんですけど、「4年生は最後は試合に出すからね」という話はしていました。


ーー4番の小口(法3=智弁学園)選手を外す機会もありました

うちでいうと、オープン戦とか、そういう部分についてはいいか悪いか分からないですけど、戦力的にかなり戦力を持っているんですよ。ひょっとすると、五回までと六回までと全然選手を入れ替えて試合をすることがあったので、いっぱい選手を使いたいということもあったのかも分からないですね。


ーー今季、矢吹(総3=聖光学院)、加藤響(総1=東海大相模)、石上泰(営2=徳島商業)選手をフルスタメンで使用し続けた理由を教えてください

来季中心選手になるだろうなという意図で使いました。春は加藤響がずっとセカンドを守っていて、本当は石上泰がセカンドを守る予定でしたが、けがをしてしまい、加藤響がセカンドに行かざるを得ないといけなかったので。今季は加藤響のサードのポテンシャルと石上泰のセカンドだったんですけど、来春はショートに回ってくると思います。その適応力を見たいなという風に思っていました。


ーー今季の投手の起用方法を教えてください

今季はもう全体的にけがしないというところです。羽田野(法3=汎愛)を抑えというところよりも、羽田野の持っているものの大きさはあるんですけど、やはり試合で数多く投げないと覚えないことがあった。今シーズンは何があっても9試合全てを最後投げるということにしていたので。それ以外はもう、ピッチャー12、3人いて2チームで形成していました。1試合目の5人と最後の羽田野と何かあった時の1人、それで7人、次の日は違う5人と羽田野と予備の1人という形でやっていました。


ーー河北(営3=浦和学院)投手も登板機会が多かったですよね

河北については彼が一番苦しんでいると思います。下の選手の力がかなり出てきているので、ひょっとしたら彼が本当にベンチに入れるかどうかこちらは見させてもらった、それだけです。


ーー羽田野投手の四球の多さについて

羽田野はもともとそうなので、力もないのにコースを狙うからフォアボールばっかりになるんです。あれだけのボールを持っているんだからど真ん中というふうな気持ちになればいいんですけど、彼は高校の時に成功体験がないので、そういう意味では早く成功体験をさせてあげたい。抑えること、投げることはどういうことなのかを身に着けてもらえればなという思いでした。


ーー今季は先発として多くの選手が登板しました。試合によって先発決めていたのでしょうか

順番で試してみようというところと、それと申し訳ないんですけど、入替戦がなかったので現実の話は今の3年生の就職活動です。河北、渡邊(総3=報徳学園)、松澤(営3=帝京)を先発させて、最後に羽田野が出る。この4人が3年生なので、この秋で就職活動としてしっかり見ていただいて、プロ、もしくは社会人の方にリクルートしていただきたいと思いました。


ーーその中でも松澤投手が苦しんでいるように見えました

悩んでましたからね、ずっと。この春の出だしはすごい良かったんですね。そこからコロナで練習が出来ずに、リーグ戦に入って、途中で頭がパニックになったくらい調子がおかしくなって、それを引きずったまんま秋に入ってしまったんじゃないかなと思います。


ーー今季は一條(総1=常総学院)投手が中継ぎを経験してから先発として登場しましたが計画を立てていたのでしょうか

そうですね。彼は完全に他の選手とステージが違うので。彼は細野(総2=東亜学園)もそうですけど、細野と同じくらいのポテンシャルは持っているので、最終的には大事に経験をさせてというところですかね。


ーー実際に登板を見ていかがでしたか

もう悪いところは分かってますからね。それをこの秋に年を越して徐々に直していくというところです。通常、あれだけのスピードがあって、あれぐらいのコントロールがあってそれでもバットに当たってしまうっていうのは、そこの欠点を直さなければならないということは分かっていますので。


ーー今のところ先発要員はどのように考えていますか

細野、渡邊、一條、もし調子が良かったら松澤というところですかね。


ーー投手陣はフォアボールの多さが克服出来ませんでした

彼らは打たれたくないというところと、投手起用の方法が1イニングとかって限定されていくじゃないですか。そうすると「打たれちゃだめだ」とかっていう話になって力で投げてしまうという風な状況になってしまうので、それはこちらも気を付けてあげなきゃいけないかなという風に思います。


ーー今季経験してみて出てきた今のチームの課題は

絶対的に勝ちにこだわるというということじゃないですか。本当にポテンシャルはどこのチームよりはあると思います。ただ、そこの部分についての一球、ワンアウト、「1」ということに徹底的にこだわっていかないといけないという風に思いますね。


ーー佐々木主将はどういった主将でしたか

彼、高校の時キャプテンやったことないって言ってましたし、自分で選手の方からそう上がってきた外野手ですし、難しかったんじゃないかなと思いますね。


ーー小口新主将に期待することはありますか

自分の成績だけじゃなくて、チームを統率するというキャプテンシーについては僕はないわけじゃないと思っています。高校の時にもキャプテンをやっていますし、そういうところについては来春勝って入替戦勝って秋1部というところのベクトルを合わせて、チームを一つにすることについては小口にすごい期待しています。


ーー冬の強化ポイントはどこですか

さっきも言いましたけど、絶対的に勝ちにこだわるということ。勝つために、抑えるために、打つためにということを準備をして、打つためにどのようにバッターボックスで準備をするか、ベンチの中で準備をするかということをアプローチしていきたいなという風に思います。みんな「打ちたい、抑えたい」という思いはあるんですよね。でも気持ちだけでは抑えられないし打てないので、打つためにどのような思考をするか、準備をするかというのを徹底的にアプローチ、プレイベースボールしたいと思います。


ーー最後に来年への意気込みをお願いします

1部に上がることです。今は春のリーグ戦と入替戦を含めて12連勝で春を乗り切るという風な目標で挑みます。



※感染症拡大予防のため、オンラインでの取材をもとに作成しています。



◇連続インタビュー一覧◇

12月9日:一條力真投手

12月10日:加藤響内野手

12月11日:石上泰輝内野手

12月12日:細野晴希投手

12月13日:後藤聖基捕手

12月14日:渡邊友哉投手

12月15日:松本渉外野手

12月16日:矢吹栄希外野手

12月17日:羽田野温生投手

12月18日:小口仁太郎内野手

12月19日:木村翔大内野手

12月20日:佐々木俊輔外野手