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2021.12.19
ラグビー

[ラグビー] 29年ぶりに1部へ 入替戦を制す

2021年度関東大学リーグ戦 グループ1部2部入替戦

12月11日(土) 熊谷ラグビー場

○東洋大 26(2部2位) {19-14、7-7} 21 中大(1部7位)


番号選手出身校学年
松田  新之介日向
谷名 樹延岡星雲
山口 泰雅目黒学院
葛見 達哉千葉経済
斎藤 良明慈縁目黒学院
タニエラ・ヴェラ目黒学院
田中 翔Colorado State University
梅村 柊羽関商工
神田 悠作東筑
10土橋 郁矢黒沢尻工業
11杉本 海斗東京
12繁松 秀太札幌山の手
13大島 暁目黒学院
14田中 康平土佐塾
15大内 錬佐野日大
Reserve Member 
16廣田 篤史長崎海星
17石山 愁太日本航空石川
18石川 槇人日本航空石川
19北村 聖国学院栃木
20小熊 甲斐佐野日大
21清水 良太郎東京
22中島 羅王大村工業
23田邊 淳之介Shirley Boys


※ 掲載が遅れまして、大変申し訳ございません。 


1部昇格が決まり、歓喜にわくチーム


決勝点となった逆転トライ


終盤の5分を耐えたディフェンス



 関東大学ラグビーリーグ戦2部(以下、リーグ戦)を2位で終え、3年ぶりに入替戦の舞台に立った。相手は、リーグ戦55年の歴史の中で一度も降格していない中大。気迫がぶつかり合う一戦を、東洋大が26対21で制し、1993年度以来29年ぶりの1部復帰を決めた。


 開始早々、試合が動いた。立ち上がりから積極的に攻め、ゴール前まで迫ると、激しい攻防の中でタニエラ(総2=目黒学院)がゴールラインに飛び込む。わずか2分で先制点を得る幸先いいスタートから序盤を優位に進めていく。その勢いのまま、12分、相手のディフェンスをかわす左サイドへのパス回しから、最後は杉本(ラ2=東京)が全力で駆け抜けトライ。さらに5点を加えた。完全に東洋大ペースかと思われたが、徐々に中大の勢いも増してくる。15分、ディフェンスの隙に攻め込まれると、ボールを一気に運ばれてしまう。しかしながら26分、相手陣地でのスクラムから神田(済3=東筑)が抜け出すと、パス回しのフェイントをかけて集団を突破。最後には、正面からの相手ディフェンスを華麗にかわし、引き離しに成功する。このまま前半を終えたい東洋大だったが、ロスタイムで得点を許すことに。リードも5点差となり、少しばかりの不安を残して後半へ向かった。


 後半の立ち上がり、前半終了間際の失点を感じさせない気迫とベンチからの声援で、チャンスをつくっていく。しかし57分、ゴール前の攻防からうまくボールをつながれ、ついに逆転を許してしまう。この試合で初めて追うことになった東洋大は、得点のチャンスをつくるが、なかなかゴールラインに辿り着くことができない。64分でのプレーも同様、あと少しのところでボールが相手に渡ってしまう。しかしながら、直後、中大が自陣インゴール内のパス回しで落球のミスを犯す。そこですかさずボールを押さえ込んだのが杉本。これが判定の結果、トライに。相手のわずかな乱れを見逃さない一瞬の判断で逆転を呼び込んだ。5点差を大事にしたい東洋大だが、終盤となる75分、ゴール付近で中大の猛攻に遭う。トライ1本が互いの運命を分ける状況で、約5分間、執念のディフェンスを見せた。昇格をかけて必死に守り抜いた。その結果、中大にノックオンがとられ、絶体絶命のピンチを脱することに成功。昇格へと大きく前進し、我慢の時間帯、ロスタイムに入る。


 そして、ついに87分53秒、そのときが訪れた。清水(ラ2=東京)から受け取ったボールを、土橋(総3=黒沢尻工)がメインスタンド方向へ高く蹴り出す。東洋サイドの大歓声と同じくして、ノーサイドの笛が鳴り響いた。まさに歴史が動いた瞬間である。選手たちはピッチ上で喜びを爆発させ、分かち合った。昨年、22年ぶりに2部での優勝を果たすも、新型コロナの影響によって入替戦は中止。その思いも晴らす見事な勝利だった。実に28年にわたる2部と3部での生活を後にし、待ち受けるのは1部という舞台。当然ながら、景色も変わるだろう。すぐに戻ってくるわけにはいかない。東洋大にとって、ここからが勝負である。



■コメント

・福永監督

(入替戦はいかがでしたか)
昨年の事があったため試合当日は、この日を無事に迎えられたことが本当に嬉しかったです。様々な規制が多い中、我慢をして過ごしてきた学生を誇りに思います。またその我慢がゲームにも表現され、我慢比べに勝てたのだと感じています。

(勝因はどこにありますか)
情熱です。選手の表情、発する言葉、日々の取り組む姿勢から伝わってきました。

(入替戦のためにどのような分析と調整をしてきましたか)
この試合では分析をほとんどしませんでした。なにより自分たちがこれまで取り組んできた事にフォーカスして、自信を持ってフィールドで表現することが重要でした。

(29年ぶりの1部が決まった瞬間はいかがでしたか)
選手の情熱が伝わり、試合前から込み上げるものがありました。一つ一つのプレーからも伝わりました。会場にいるすべての皆様と繋がりを感じることができました。感謝の思いが一番強かったです。

(1部に向けた目標は何ですか)
試合後、選手からもすぐに次に向かっている言葉を聞けました。とても心強いです。さらに大きなチャレンジが続く事になりますが一歩一歩確実に進めていきます。いよいよ大学選手権、日本一というステージに入っていきます。皆様に喜びをお伝えできるように精進致します。


・松田(総4=日向)主将

(入替戦はいかがでしたか)
最後までみんなで体を張り続けて勝利をつかむことができた試合でした。

(4年生として、主将として、どのような思いで試合に臨みましたか
去年、入れ替え戦が無くなり悔し涙を流した四年生に恩返しをするという気持ちで試合に臨みました。

(中大の印象はいかがでしたか)
1部でプレーしていたチームで、経験値としては中大の方が上だとは思いました。

(1部昇格への気持ちを聞かせてください)
本当に嬉しかったです。ベンチのチームメイト、応援してくれた方々の、前に立ち挨拶をした際に、1部に昇格したんだと実感が湧いてきました。

(大学ラグビー生活はいかがでしたか)
本当に濃い4年間を過ごさせていただきました。ラグビー部で過した時間はいい思い出になりました。辛いこと、楽しいことも一緒に乗り越えてきた同期には感謝しています。

(仲間にメッセージをお願いします)
仲間のサポートもあり、無事主将を務めることができました。本当にありがとうございました。

(感謝を伝えたい人はいますか)
主将に推薦していただいた福永監督はじめスタッフの方々に感謝の気持ちを伝えたいです。何もわからない私に、様々なことを教えていただき、この1年で更に人として成長できました。ありがとうございました。

(後輩たちにどのような言葉をかけたいですか)
チームメイト、スタッフを信じて、ワンチームで頑張ってください。自分にフォーカス!


・杉本(ラ2=東京)

(入替戦はいかがでしたか)
試合の入りがとてもよかったのでその勢いのまま行きたかったのですが、結局トライを返されてしまって1トライ差のまま前半が終了したので精神的にまだ落ち着くことができませんでした。後半は敵陣でプレーしてる時間が長かったと思うのですが、なかなかトライを取ることができず逆転されてしまい少し不安と焦りがありました。そんな中、自分の目の前にボールが転がってきて逆転トライを決めることができたので、自分もチームも残りの時間、全員が最後の力を振り絞り中央大学の攻撃を防ぐことができたと思いました。1部昇格することができてよかったです。

(自身のトライはいかがでしたか)
1つ目のトライは今までやってきた得意なサインプレーでチームのみんながパスを繋いでくれたのでボールをもらった時に絶対にトライが取れると思い全力で走りました。2つ目のトライは相手がインゴールでミスしてボールが目の前に転がってきたので、これで逆転できると思いボールに飛び込みました。トライの笛が鳴った時は嬉しい気持ちでいっぱいでした。

(リーグ戦から入替戦までの期間はどのような練習をしましたか)
去年からずっと無観客試合が続いていて有観客で試合するのが久しぶりだったため有観客での試合に慣れるためにメンバー以外の人たちがグランドの周りを囲んで応援や野次を飛ばすなどいろんな言葉が聞こえる中で練習をしました。後は、リーグ戦の時と同じように自分達がやってきた細かいところや試合の入りから全力を出せるように練習でも入りを意識してやっていました。

(1部昇格への気持ちを聞かせてください)
去年の4年生と今年の4年生に1部昇格という結果を残すことができてよかったと安心した気持ちと心の底から嬉しい気持ちでいっぱいです。また、試合に出ることができなかった仲間たちが応援してくれている前で勝つことができて本当に良かったです。

(来年から1部で戦うが、来年に向けての意気込みをお願いします
1部で通用する身体を作り、チームのために得意のランでトライを量産できるよう頑張ります。



TEXT=青木智哉