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活動停止という異例の夏を乗り越え、1部昇格という目標を失いながらも臨んだ秋季リーグ戦。万全の態勢ではない中、全勝を目標に掲げた東洋ナインだったが2部3位と悔しさを味わうこととなった。彼らは地固めといえる今季をどう捉え、1部昇格を目指す来季に向けて何を得たのだろうか。13日間にわたって彼らの思いをお伝えする。
(写真提供:東都ベースボールWeb)
第12日目は4年間チームの中心選手として走り続けた木村翔大内野手。3年秋にはベストナインを受賞し、ラストイヤーとなる今年は副将を務め、学生野球を全うした。4年間の思い出や今後の野球人生への意気込みを打ち明ける。(取材日・11月27日、聞き手=浅野琴美)
ーー今季を振り返っていかがですか
自分はドラフトがあったので、いつも以上に個人的な緊張感がありました。今までにないような経験ができたシーズンになったかなと思います。
ーードラフトまではプレッシャーを感じていましたか
そうですね。気にしないようにしていたんですけど、試合に入って結果が出ないことが続くと、ドラフトに響いてしまうなと試合数を重ねるたびに思っていました。
ーー実際ドラフトに臨んでみていかがでしたか
ドラフト当日は、かかるかかからないかという状況で、かかると思っていなかったんですけど、ドキドキしながら見ていました。いい緊張感で臨めたので、そこはいい経験になったかなと思います。
ーードラフト後、気持ちの切り替えはできましたか
落ち込むということはなかったので、すぐ社会人野球に向けてというふうに気持ちの切り替えはできました。
ーーその後、ショートを松本憲(営1=成田)選手が守りましたが何かアドバイスはしましたか
監督からも「松本憲のことを見てやってくれ」とお願いされたので、練習からずっと自分の考えを松本憲に伝えていました。その中で練習を重ねるたびにどんどんよくなっていったというのは感じていましたね。実際、このシーズンはほとんど松本憲がショートで出場して、ノーエラーで終わってくれたのは自分もうれしかったです。
ーー久しぶりに試合に出たのが最終戦でしたが、どんな思いで臨みましたか
最後っていうのと4年生が全員いたっていうのもありますし、スタメンじゃなかったけど、緊張感を感じることはなく楽しく野球ができた試合かなと思いました。
ーー投打のMVPを挙げるとしたらどなたですか
ピッチャーは満遍なく全員が同じくらいのイニングを投げた中で、一條(総1=常総学院)かな。先発として、すごく高いポテンシャルを持っている選手なので。これから先発できるんじゃないかという可能性を見せてくれた面ではMVPかなと思います。打の面ではやっぱり矢吹(総3=聖光学院)ですね。いいところで打ってくれたり、打率も残していますし、打点もたくさんあげてくれたので、打の面では一番かなと思います。
ーー以前期待していると仰っていた小口(法3=智弁学園)選手が主将になりましたが、どんな主将になってほしいですか
元々キャプテンシーとかチームの先頭に立ってやる力はある選手です。キャプテンになったからといって、気負わず今まで通りやってくれれば、自然といいチームになっていくかなと思います。今までの小口らしさを出してくれればいいかなと。
ーー他の新幹部の印象はいかがですか
自分たちの1個下の学年は誰がキャプテンをやってもおかしくないような選手が多いです。全員がチームの先頭に立って引っ張っていける選手がそろっているのが1個下の幹部だと思います。全員が全員、キャプテンという気持ちを持って、これからチームを引っ張ってくれればなと思います。
ーー来年期待している選手はいますか
誰が来年ショートを守るか決まってないですけど、これまで自分も気にかけていた松本憲ですね。今、ちょっと苦しんでいるかもしれないですけど、ショートとして頑張ってレギュラーを獲ってくれたらなと。あと、同じ高校の後輩に山本雄(総1=霞ヶ浦)っていうピッチャーがいます。本人もけががあって、思うような1年ではなかったと思うので、来年からは主力として、チームを引っ張っていけるピッチャーになってくれればなと思います。
ーー木村選手から見て、新チームの雰囲気はいかがですか
あんまり一緒に練習に参加しているわけではないですけど、端のほうで見させて頂いていて感じることはこれから個々の能力が高いチームになると思います。野球のワンプレーに対するこだわりが強いチームになると思うし、結果に対してどうやったら結果が出るかなと考えながら、貪欲にプレーするチームなのかなと思っています。
ーー4年間を振り返って一番思い出に残っている年はいつですか
3年生の年が自分の4年間の1年としては印象に残っています。春は思うようにいかなくて、結果を残せない中でリーグ戦も無かったし。一番悔しい思いをしたのが3年春だったので、焦りも感じていました。その中で臨んだ3年秋で今までで一番いい成績を残せたと思います。悔しい面もよかった面も両方経験できたのが3年生だったので、一番印象に残っています。
ーー楽しかったことは何ですか
野球をずっとやっていたので、あんまり遊びに行く機会もなかったです。でも、自分が上級生になって部屋長っていう立場になってからはいろんな人が自分の部屋に遊びに来てくれました。部屋でみんなと話したりご飯を食べたりする時間が楽しかったなと思います。
ーーどなたが遊びに来てくれたんですか
基本は瀬川(総4=聖光学院)、佐々木(営4=帝京)、牧(法4=帝京第三)ですね(笑)。最近は小口とかで、そのメンバーはほとんど毎日のように自分の部屋に来ていました。
ーー逆に大変だったことはありますか
昨年からコロナが流行り始めて、思うように野球ができなかったっていうことが今までに経験したことがなかったので。野球ができることが当たり前だと思っていたので、やりたかった野球ができないことが一番大変でしたね。野球ができないもどかしさがあって、大変だったなって思います。
ーー4年生との思い出はありますか
明るい学年で、いい意味で野球と私生活の差がない学年でした。私生活も楽しみながらっていう学年でやれたのがすごくどっちの面でも楽しかった4年間でした。
ーー副主将として今年を振り返っていかがですか
自分たちの幹部も自分以外のメンバーはチームを引っ張る力がある人たちがそろっていました。自分はそこに甘えというか、その人たちに任せている面があったので(笑)。それで、思うような結果を残せなかったので、佐々木を中心とした幹部には申し訳ないことをしたかなと。もう少し頑張れたのではないかなと思います。
ーー東洋大に入ってよかったと思った瞬間はありましたか
大学に入って、憧れの先輩だった小川(R2年度法卒=鷺宮製作所)さんがいたのもあります。大学1年の春から試合に出させてもらって、全日本大学野球選手権のベンチに入れたりいい経験をさせてもらったので、東洋に来てよかったなって思える瞬間はありました。
ーーどんな選手になりたいですか
自分は守備を評価してもらう選手だと思うので、守備を安心して見てもらえるような選手になって、ホームランバッターというよりは打率を残せるような好打者になりたいですね。守備と攻撃のどちらでも活躍できる選手になれればなと思います。
ーー今まで応援してくれた方にメッセージをお願いします
ドラフト間近や前後にたくさんの人からメッセージを頂いて、応援してくれている人もいるんだなと再確認できたので、そのお陰で頑張れました。感謝しかないです。
◇プロフィール◇
木村翔大(きむら・しょうた)
生年月日/1999・4・16
身長・体重/178㌢・77㌔
サンタさんから欲しいもの/身長(あと2㌢ほしい。物は自分のお金で買えるから、買えないものが欲しい。)
※感染症拡大予防のため、オンラインでの取材をもとに作成しています。
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