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2021.12.30
陸上競技

『スポトウ×TKDプロジェクト』完全版

 12月23日に発行した『スポーツ東洋』第93号の2、3面では、陸上系YouTuber「TKD PROJECT」として活動されている東洋大陸上部OB武田脩平(H28年度法卒)さん(以下、TKD)と神永よしき(H25年度済卒)さん(以下、よしき)へのインタビューを掲載。オリンピックイヤーが終わり、第98回東京箱根間往復駅伝競走(箱根駅伝)を数日後に控えた今、東洋大が誇る陸上競技について、紙面に載せきれなかったお話も加えた「完全版」をお届けする。(取材日・12月6日、聞き手=松本考史)


(写真提供:TKD PROJECT)


◇長距離部門/箱根駅伝◇

――現在の長距離部門の印象は

TKDさん(以下、TKD):アクシデントはありましたが、やはり安定した強さがあるなと感じます。上位に入り込んでくる“The強豪”という感じです。大学に入るとアップダウンがあると思うのですが、上位に行き続けていることがすごいです。強い選手ばかりを集めたからといってそのような結果になるとは考えていないので、素晴らしいご指導と環境があるのだなと感じています。

よしきさん(以下、よしき):優勝はしていなくても、安定して強豪校の枠に居るような感じがします。1㌔3分で走ることができる選手層がいちばん分厚いんです。華は無いのですが、職人感がすごく強いというイメージが在籍時からずっとあります。大学によってはスター選手や知名度の高い選手が活躍しているシーンをよく目にしますが、東洋では「この選手は誰だろう」と思いながらも、しっかり力走しているというようなパターンが多いと感じています。それはやはり、1㌔3分で走ることができる安定感や選手層の厚みがあるからこそだと思います。


――主力を温存していても安定感がありますよね

よしき:酒井監督の見極めの強さも要因の1つだと思います。指導者にとって、まだ結果が出ていない選手を起用することは勇気のいることだと思うのですが、「この選手は今回しっかり走ってくれる」という見極めがうまいです。自分が主務を務めていたときも「この選手を起用して大丈夫か」みたいに思うことはありましたが、その選手もしっかり結果を残しているんですよね。さすがだなと感じました。


――2022年箱根駅伝の展開予想をお願いします

よしき:出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)も全日本大学駅伝対校選手権大会(全日本大学駅伝)でも同様なのですが、結論から言ってしまうと今年の東洋にも優勝できる選手と走力がそろっていると思っています。よくハマれば優勝できるのではないかなと思っています。そういう意味ではとても楽しみにしています。

TKD:正直、長距離については詳しくないですが、よしきさんの言葉でいう「ハマらない」というか、普通のレースをしていては厳しい感じですかね。

よしき:他大学も選手の層は厚いですし、すごく仕上がっているチームもあるので。

TKD:今の話を聞いて、展開と運なども含めてハマる必要があるというのは悔しいですね。

よしき:ただ、優勝できるというスタートラインに立っていることでは変わりないですし、なかなかそのラインに立てる大学というのも少ないですから。宮下(理4=富士河口湖)くんもいますし、優勝はあり得ますね。


――石田洸介(総1=東農大二)選手について

よしき:東洋の1年目は寮生活が始まり、環境などの面から馴染めずに走れなくなる選手が多いです。そういった中で石田選手は1年目から結果を出しているため、走力だけでなくメンタル面も強い選手だと思います。2、3年になると、寮生活の自由度も変わってきますし、精神的にもいい意味で羽を伸ばせる場面が増えます。さらに勢いがついた結果が出てくるのではないかととても楽しみです。


――松山和希(総2=学法石川)選手について

よしき:前回(2021年)の箱根駅伝の2区で知りました。2区を力走することはただ速いだけでなく、メンタルも強くないと難しいです。そこを1年生で成し遂げたということは評価すべき点だと思います。速い選手ではなく、強い選手みたいな感じです。速いということは当たり前ですが、大舞台で最大限のパフォーマンスを発揮できるという他の選手はなかなか持っていない強さを松山選手、また、石田選手は持ち合わせていると思います。


――宮下隼人選手について

よしき:柏原(H23年度済卒)さんに憧れて東洋大に入ったようなので、今回の箱根も5区で、それくらい印象づける走りをしてほしいと思います。


――どのような展開であれば東洋の強みが発揮できるでしょう

よしき:2区までに3位以内に入って欲しいと思います。宮下くんが5区に起用されれば、その安心感もあって良い方向に行くのではないかという気がします。駒澤の2区は今いちばん勢いに乗っている田澤選手が起用されると思うので、他の大学の独壇場にさせるのではなく、射程圏内でタスキを渡すことができれば東洋が(勢いに)乗れると思います。トップに気持ちよく走らせないということが大事だと感じます。


 TKD:正直優勝しているところが見たいです。自分たちが在籍していたときの優勝が最後になってしまっているので…。あと、優勝すれば、自分たちのチャンネルの登録者数も増えると思うので…!(笑)


(写真提供:TKD PROJECT)


◇元東洋大長距離部門の選手◇

――服部勇馬(H27年度済卒=トヨタ自動車)さんについて

TKD:ある日トレーニングルームでの練習が終わって、勇馬さんが着替えているときに足の裏を見たんですよね。そしたら見たことないくらいボロボロで、まめがつぶれていて。もちろん素質もある選手だと思いますが、それ以上に近くにいても分からないくらい大変な努力をしているんだということを感じました。社会人になってまた新たに活躍されているのをお聞きするので、とてもうれしいですね。

よしき:ある年の箱根駅伝で勇馬が2区を走ったんですけど、自分がサポートをさせてもらっていて。ジョグ1つ、ペース1つとっても常に考えていて、本当に細かいところまでストイックにやるような気の遣える選手だったと思います。


――相澤晃(R1年度済卒=旭化成)さんについて

よしき:相澤くんとは代が被っていないのでテレビや大会などを通じての印象になりますが、走るときのフォームのしなやかさは日本トップレベルだと思います。この前、駒沢公園で走っていたら相澤くんも走っていて。だいたいのペースを把握しようとついて行ったら、(1㌔)3分15秒くらいだったので、ジョグじゃないと感じましたね。(笑) 彼にとっては速いくらいの気持ちいいジョグみたいな感じで。ジョグも競技力もすべてにおいて一流と言えるんじゃないですかね。


――山本修二(H30年度済卒=旭化成)選手について

TKD:遊ぶときも自分に練習報告とかしてくれて、(彼は)本当に強いんですよね。やっぱり競技に対しては本当に一途で、旭化成に行けるだけの力はあるなといったところではあります。

よしき:僕は代が被っていないので、動画で初めて携わって、どういう感じの距離感で来るのかなって思ったんですけど、初っ端から「おい、よしき!」みたいな感じで。武田とかを見ての感じだとは思うんですけど、そういうところが憎めないというか、こいつとはすごく仲良くなれそうと思ったのが、第一印象ですね。


――池田向希(R2年度済卒=旭化成)選手、川野将虎(R2年度総卒=旭化成)選手について

よしき:僕らの時代は競歩ブロックにコーチのような大人の方がいなくて、みんなで考えてやるというスタイルでした。それでもずっと東洋は強かったですね。その強さを途絶えさせていないというか、むしろこれまでの選手をさらに上回っていく結果を出しているイメージなので、本当にすごいですし、今どういう練習をやっているのだろうと気になっちゃうくらいです。競歩こそもっと注目されるべきだと思うくらい、東洋のレベルは本当に高かったです。

TKD:あとは、入ってきたときにインカレ、関カレトップが普通、オリンピックに出ることが普通、世界陸上に出ることが普通っていう、「普通って何?」みたいな。そういうところが、自分の中で覆されて、陸上の価値観というものを。あれだけ近くで見ていた(同期の)五輪選手より、あの2人は速いわけじゃないですか。競歩の選手たちが練習しているところを少しは見ていましたが、何をしているということがよく分からなかったので。やはり練習の中にも強さの秘密が隠されていると思うので、そういうところは気になりますよね。


 ――たくさんのOB選手が活躍されていますね

TKD:みんないろんな実業団に行っているので、東洋の選手を(大会などで)ぎゅっと一気に見られる。OBの人たちが戦うドリームマッチみたいな。いちばん東洋が多いような気がするので、みんなの戦いが楽しみになりますね。


(写真提供:TKD PROJECT)


◇元東洋大短距離部門の選手◇

――桐生祥秀(H29年度法卒=日本生命)選手について

TKD:高校3年生のときから10秒01で走っていて、やっぱり大学に入ってきて、自分たちには考えられないプレッシャーがとんでもなかったと思うんですよね。桐生も速いですけど、すべてがすべて成功レースではない。やっぱりよくないレースも年間を通して何本かあるじゃないですか。そのとき寮に帰ってきて何を言うのかなって思ったんですよ。ズーンと沈んでいる感じなのかなって思ったら、全然違くて、「いやー、負けましたわ!」みたいな。いい意味で切り替えが上手だなって思っていて、それは競技で駄目だったときの切り替えもそうですし、私生活の中でもオンとオフの切り替えが上手だなと見ていました。やっぱり彼の強さというのはそういうところにもあるのかなと何となく感じていました。

よしき:正直、あまり面識がなくて。武田が短距離でずっと騒いでたんで、桐生が陰に隠れている感じがすごいあって。長距離(部門)から見ると、武田も桐生も仲良くやってるなみたいな感じでしたね。


――ウォルシュ・ジュリアン(H30年度ラ卒=富士通)選手について

TKD:僕がYouTube活動をするにあたって、最初に動くきっかけになった人物なのかなってところがあって。僕が大学3年生で、彼が1年生のときに、距離が一気に縮まった瞬間があったんですけど、それが陸上でも何でもなくて、面白い動画をSNSに上げようってことで、2人の感覚がマッチして。たぶん、よしきさんからもこの言葉は出ると思うんですけど、単純にバカですね、いい意味で。本当にバカ。いい意味でクレイジーだったのは、本当にありますね。そういう動画から受けた影響っていうのもありましたし、陸上に対する考え方というのも学ばせてもらうところが結構ありました。なので、大学の後半にかけて、あいつはかなり僕に影響を与えてくれた存在だったので、今も活躍していて本当にうれしいです。本当に数えきれないくらい思い出があるので。あいつが僕を変えてくれたというのがいちばん大きいですかね。

よしき:武田とジュリアンがそういうのをきっかけに動画を始めたという話だったんですけど、僕はそれの一ファンとして観ていた側だったので。この2人面白いなみたいな感じで、武田のことをTwitterフォローして。その光景を見て、僕がファンにならなかったら、武田にコンタクトとっていないので、ジュリアンがいなかったらTKD PROJECTはなかったのかなって。ある意味、ジュリアンのおかげでもあるし、ジュリアンのせいでもあるんですよ。それくらい僕らにとっては大切な存在ですね。


――津波響樹(令和1年度ラ卒=大塚製薬)選手について

TKD:あいつも東洋大に入ってめちゃくちゃ強くなった選手なので、いい言い方をすると、東洋大にハマったってことになるんですけど。そういうやつが、オンオフ切り替えられることが多くて。練習は超本気でやれますし、だからこそ多少のいじりはむしろ可愛くて仕方ないところがあります。響樹は上からも下からもみんなからの愛されキャラみたいな。性格がキャラクターみたいなので。東洋のみんなはうれしかったんじゃないかな、響樹の活躍っていうのは。

よしき:動画でしか話したことないですけど、安定して結果を出しているなって印象が強くて、そういう選手はずっと強いのかなって。本当に安定感がすごくて、どの舞台でもパフォーマンスを発揮しているイメージが強いですね。


(写真提供:TKD PROJECT)


◇短距離部門◇

――鈴木碧斗(法2=大宮北)選手について

TKD:東洋大って、桐生が来てからはジュリアンや宮本大輔(法4=洛南)といった主軸がいて、選手たちがまとまっている流れがあったんですけど、実は今、絶対エースがいないじゃないですか。全員が速いという中で、底から来た選手みたいな。もちろん元から速いんですけど、下から這い上がってきて、今の地位を確立している選手の1人だと外から見ていて感じていて。やっぱり100、200、400(m)全部できちゃうっていう、これから日本の短距離界を引っ張っていく選手の1人なのかなと。走り見てても、まだまだいけそうですもんね。楽しみです、これからの彼の活躍が。

よしき:憶測の話になるのですが、今年、(東京)オリンピックに東洋勢が多く出るっていうことで、僕の動画に取り上げたときがあったんですね。動画にして、「碧斗くん、頑張れ!」みたいな。だいたい僕らの動画って19時に上がって、同時にTwitterとInstagramでも拡散するんですね。そのときに碧斗くんからすぐ反応があって、フォローも返してくれたんですよ。なので、彼はめちゃめちゃいい人です(笑)。


(写真提供:TKD PROJECT)


◇注目の選手◇

――在学生の中で注目している選手は

TKD:(中島佑気)ジョセフ(総2=城西大城西)くんが筆頭です。ジュリアン2世。噂聞くと、面白いらしくて。もちろんジュリアンってすごく恵まれた身体能力とその体つきというのもあるんですけど、ジョセフくんってさらにすらっとしてて、ジュリアンより速いタイム出すんじゃないでしょうかね。それくらい、素質と動きの感じ、まだまだいけそう。筋肉も全然ついていないですし、めちゃくちゃ楽しみですね。断トツで楽しみです。

よしき:去年、箱根2区を走った松山くん。箱根の2区って相当なメンタルと、走力がないと走れない区間だと僕は思っていて。それを2年生で走ってしまう、しかも、ちゃんと力走したっていうのが、本当にこれ強くなるぞって。箱根でも松山選手はすごい注目しています。


(写真提供:TKD PROJECT)


◇TKD PROJECT◇

――TKDさんとよしきさんはいつごろからご親交があったのですか?

TKD:卒業した後、よしきさんは福島の方にいて。僕が東洋大で埼玉にいたとき、「埼玉に用があるんだけど時間ある?」と言われて、「はい」みたいな。美容室に行った後だったと思うんですけど、(よしきさんが)「お前、面白いな」みたいな感じで話して。よしきさんは2つ上の先輩なので、タメ口なんて絶対に使えなくて、イケメンの主務みたいな、優しい、挨拶をすれば返してくれる先輩ではあったんですけど、結構ぐいぐい来てくれて。「今度、一緒に動画撮ろうよ」みたいな感じで、僕が大学卒業するまで一緒に動画を2、3本くらい撮ったかな。そのときはまだ結成していなくて、コラボみたいな感じでした。そういうのってYouTubeに上げているものも1個や2個はあるんですけど、僕Twitterにずっと上げていて。でも、さかのぼってみたら、今消えるんですね。(ウォルシュ・ジュリアン選手との動画なども)ほぼTwitterに上がっていたんで、あれは全部なくなっちゃいましたね(笑)。


(写真提供:TKD PROJECT)

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