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2022.06.19
硬式野球

[硬式野球] “2枚看板のそれぞれの思い” 入替戦前特集〜松澤海渡投手・細野晴希投手~

最終日は、松澤海渡(営4=帝京)投手と細野晴希(総3=東亜学園)投手。昨春から先発として試合を作ってきた2枚看板の戦国東都に対する思いとは。


・松澤海渡投手



今季は2戦目に登板する機会が多かった松澤。ラストシーズンをかけて、初の入替戦のマウンドに上がる。


 松澤は最初からマダックスを達成すると、その後は順調に勝ち星を積み重ねていった。拓大戦では疲労の影響で唯一の黒星をつけてしまったものの、結果4勝1敗。「一回負けてもズルズルいかなかった」と後半失速してしまった昨春から、確実に自信を取り戻したシーズンとなった。


 自身の投球に関しては「無失点に抑えた試合は三塁を踏ませなかった」と分析。そのため「走者を二塁までにとどめる」ことを強く意識し、相手の攻撃時間が短いピッチングを行ってきた。


 今回対戦相手の中大に対して、「自分自身、打たれるイメージが湧かない」と笑みをこぼした。実際昨年の対戦では、その時まで無敗だった中大打線を見事7回2失点に抑え、相手に初めて土をつけたのが松澤だった。相性のいい中大との対戦で、再び松澤の右腕が相手を沈黙させる。

 

 昨春の入替戦では登板なし。ベンチから眺めていた当時を「残留しなきゃといった受け身の状態で、攻めの野球が出来なかった」と振り返る。今度は果敢に攻撃を仕掛け、1部昇格を決める。最後のシーズンを神宮でプレーするために。勝利を掴み取るしかない。



・細野晴希投手



今季も先発として大いに躍動した細野。誰もが認めるエースだが、今の自分に決して満足はしていない。そして、昨春神宮から立ち去った悔しさを胸に、リベンジに挑む。


 今季を「調子の波が激しかったな」と開口一番振り返った。細野にとっては不完全燃焼なシーズンだった。相手に無双する展開を作った一方で、国士大戦では4失点を浴び、悔しさを見せる場面も。最優秀投手を受賞したが、「ありがたいけど、自分でいいのかな」と戸惑いを見せた。


 もちろん収穫もあった。専大戦では1戦目と3戦目に登板。疲労の残る3戦目では勝利をあげ、「中1日で投げられたというのはすごい自信になった」と笑みを浮かべた。加えて今季は負け知らず。「一回も負けなかったのは良かった」と昨年から大きな進歩を遂げた。


 昨年は1部残留をかけたマウンドに先発として上がった。調子が上がらない中、9回2失点。「よく抑えられたな」と評価したものの、肝心の味方の援護はなく敗北し、そのまま2部へ転げ落ちた。当時は降格の実感は湧かなかったが、今振り返ると「何やってんだろう」と自責の念に駆られることも多い。

 

 あの日ちょうど一年。再び神宮球場のマウンドに立つ。「最後は4年生たちと神宮でやりたい」。小口主将を前に照れながら語った細野の雪辱を晴らす戦いがついにやってくる。





◇入替戦前特集◇

第1日目:2部優勝を振り返る

第2日目:「打率3割超・3年の覚悟」〜橋本吏功外野手・石上泰輝内野手〜

第3日目:「1年で1部復帰へ、幹部の決意」 〜松本渉副主将・小口仁太郎主将〜


TEXT/PHOTO=宮谷美涼