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2022.06.21
硬式野球

[硬式野球] 「楽しみで仕方なかった」中大のミスを逃さず、1部昇格に王手

東都大学野球春季1部2部入替戦・中大1回戦

6月20日(月) 神宮球場

〇東洋大8-4中大



中大0000002024
東洋大00005030×


二塁打:後藤聖(五回)

本塁打:石上泰(五回)


〇細野、一條、羽田野、島田ー後藤聖


・打者成績

打順守備名前
(指)松本渉(営4=龍谷大平安)
(右)水谷(営3=龍谷大平安)
(遊)石上泰(営3=徳島商業)
(一)小口(法4=智弁学園)
(左)矢吹(総4=聖光学院)
(二)宮下(総1=北海)
(三)加藤響(総2=東海大相模)
(捕)後藤聖(法3=京都学園)
(中)橋本吏(総3=花咲徳栄)


3110



・投手成績


球数四死球三振
細野(総3=東亜学園)6 1/3121
一條(総2=常総学院92/317
河北(営4=浦和学院)14
島田(総1=木更津総合91/3



先発を務めた細野


先制の適時打を放った橋本吏


久しぶりの登板となった羽田野


決戦の時がついにやってきた。試合前から笑顔で溢れていた東洋大ナイン。「最高な場所」である神宮を舞台に戦えるうれしさを噛みしめながら、中大との久しぶりの対戦に挑んだ。


 昨春と同じく細野(総3=東亜学園)が入替戦の先発のマウンドへ。初回から150㌔を計測し、三者凡退に抑える順調な滑り出しを見せた。その後も150㌔を連発し、ついに五回には自己最速の155㌔を叩き出す。しかし「身体の状態が上がらなかった」と本来とは異なる投球でスコアリングポジションに何度も足を許す。だが、味方の好守も重なり、上手く相手の攻撃を交わし、なんとか0で踏みとどまる。


 野手陣が試合を掌握しようと攻撃を挑む中、先制のきっかけを作ったのは後藤聖(法3=京都学園)。左中間を破る二塁打を放つと、この日初のチャンスに笑みが止まらない橋本吏(総3=花咲徳栄)。投手への強撃的な内野安打で試合の均衡を打ち破る。それでも先制の1点だけではまだ足りない。コントロールがきかない西舘(中大)から2四死球を貰うと、石上泰(営3=徳島商業)が相手の戦意を喪失させる本塁打を放ち、この回5点をもぎ取った。七回には矢吹(総4=聖光学院)の適時打とボール先行の相手から5四死球を誘い込み、3点を追加した。


 8点の援護をもらった細野。100球を迎えたものの、七回もマウンドに立つ。しかし、初球から二塁打を放たれると、思わず不穏な表情に。不安は拭えぬまま2四球を与え満塁とすると、複雑な表情でマウンドを降りた。このピンチを託されたのは、久々の登板となった一條(総2=常総学院)。こちらも151㌔を計測し、即座に2死とするも、四球と暴投で2点を献上。それでも最後は二ゴロに仕留めると、細野から「よく2点で抑えてくれた」と肩に手を置かれた。


 最終回には、リーグ戦の初戦ぶりに羽田野(法4=汎愛)が登場。けがからの復帰舞台だったが、「力が入ってしまった」と2連打と暴投で2点を与えてしまう。杉本監督が「空回りしている感じ」と判断し、3分の2で降板させると、試合の締めをルーキー・島田(総1=木更津総合)に託した。島田は期待通り、わずか一球で相手を仕留め、相手に流れを渡しかけたこの戦いを終わらせた。


 1部昇格についに王手をかけた。「油断せず、明日勝って1部昇格を決める」(小口主将)。たくさんの山を乗り越え、あと1勝というところまできた。最後は全員で勝利を勝ち取り、絶対に1部に這い上がる。



■コメント

・杉本監督

(勝利した今のお気持ちは)1勝。あと1勝。勝ててよかったです。(細野選手は)東洋大学はあまり練習しないので。へばっているんですよね。100球くらいでいう風に思ってたんですけど、六回終わったところでちょうど100球だったので、もう1回いったほうがいいかなと思っていったら、ああいう風な感じになってしまって。本当に一條には申し訳ない。ああいう難しい場面で出ていくのもなかなか大変なもんで。こういう風な野球をずっとやってきているんで、ある程度ピッチャー陣も考えてやってきているんですけど。(五回までは打てませんでしたが)西舘くんを見てると、3イニングくらいまでは抑えに来てもあのボール、変化球を打てるわけがないので。五回まで投げたんですけど、そこのところは彼自身も限界。こっちのほうも球数を気にしながらやっていたので。追い込まれてもなんとかファールを打っていく形でやっていたので。どうしても四球を出す確率が1試合で70㌫ぐらいいただけるので、ヒットを打てなくても、チャンスをもらえるかなと思っていたので。これをチームとしては徹底としていたということですね。(その中での満塁本塁打は)交通事故です(笑)。(羽田野選手は)けがからということで、あれだけ期間が空いていたので。最後羽田野が抑えで使うことができるのか試したんですけど、細野がマウンドで着地が滑ると言っていたので。羽田野を見てると硬いというのもあるのでしょうけど。空回りしてるみたいな感じ。振っているのに、ボールがビューンといかない。今日は点差があったので、彼がどういう状況なのか、見ることができました。ああいう競った状況で使っても、試合ぶち壊す可能性があるので。あそこのところは今日でよかったかなと思います。(ここまでやってきたことは)自分たちでやってきたってことで、あと1勝すればよかったので、そこから流れ負けしてしまって。精神的なところじゃなくて、僕は技術的なところ、守り切れなかった、フォアボールが多かったところだと思うので。守りを徹底的にやってきました。でも、今日細野が必死こいてやっているのに、矢吹がツーベースにしてしまって、細野がしぼんじゃうんですよね。レフトライナーだったら三者凡退でラッキーって終わるんですけど、回っちゃうんでね。そこの甘さ。技術がないっていったらそれだけなんですけど。それを徹底的にやってきたつもりだったので。守り勝ちたいんだということです。


・細野(総3=東亜学園)

(今日の投球を振り返って)リーグ戦が終わってから、身体の状態が上がらないままここに来たんですけど、練習含めて悪いなりにどうやって抑えるかをテーマにしてやって、それを実行できたのでよかったです。球数というより、こういうジメジメした気候に弱いので、これから鍛えて改善していきたいと思います。


・杉本監督

今頃から?遅いわ(笑)。


・細野

(昨春は被弾に泣いたが)あの1球というよりも、あの試合のせいで2部で戦うことになったので、1試合の大切さを学びました。(変化はあったか)そんなに大きく変わったことはないんですけど、あの時よりは自分が先頭に立ってやろうという気になりました。(まっすぐに関して)球速は155㌔が初めて出たんですけど。いつもは150前半出てます。でもいい時に比べて、力入れて投げてるなという感覚なので、そういうところがあまり良くなかったと思います。軽く投げたら、まっすぐ投げて150㌔出るけど、最近は力んじゃってるなって思います。(やってきたことは)小口さんとずっとその話してて。去年はガチガチでやっていたんですけど、今年はガチガチになってもいいことないから、楽しんでやろう。だから、そんなに力むことなく、試合を引っ張ってやっていこうと思いました。



・小口主将(法4=智弁学園)

(試合前、笑顔が見られましたが)楽しみで楽しみで仕方なかったんで笑っていたんだと思います。緊張もあったかもしれないです。(最初は点が入りませんでしたが)自分の中で悔しさがあっただけで、チームとしては焦りはなかったです。(久しぶりの神宮は)最高な場所です。他の球場とは雰囲気が違うのでとてもいい緊張感があります。(細野選手の投球が定まりませんでしたが)暑い中、すごく頑張って投げてくれました。ナイスピッチャーです。(石上泰選手の満塁本塁打は)すごく嬉しかったです。痺れました。でもそれと同時に負けてられへんなと思いました。(明日に向けて)油断せず、明日勝って1部昇格決めます。全員で勝ち取りにいきます。



TEXT=一ノ瀬志織 PHOTO=宮谷美涼