Article

記事


2022.06.24
硬式野球

[硬式野球] 「あと1勝」が遠かった サヨナラ負けで1部の夢消え去る

東都大学野球春季1部2部入替戦・中大3回戦

6月22日(水) 神宮球場

●東洋大1-2中大



東洋大
中大2×


三塁打:松本渉(一回)


細野、●河北、島田ー後藤聖


・打者成績

打順守備名前
(指)松本渉(営4=龍谷大平安)0
(右)水谷(営3=龍谷大平安)4
2
0
(遊)石上泰(営3=徳島商業)3
1
1
(一)小口(法4=智弁学園)4
0
0
(左)矢吹(総4=聖光学院)3
0
0
(二)宮下(総1=北海)2
0
0
(三)加藤響(総2=東海大相模)3
0
0
(捕) 後藤聖(法3=京都学園)3
0
0
(中)橋本吏(総3=花咲徳栄)3
0
0


2941


・投手成績

名前球数四死球三振
細野(総3=東亜学園)105
河北(営4=浦和学院)29
島田(総1=木更津総合)


サヨナラ負け後の島田(中央)と崩れる小口(右)


試合後、泣き崩れる小口(左)と細野


号泣する島田(右)を松澤(左)が慰めていた


まさに、天国から地獄に落とされるとはこのことだろう。再び神宮に立つことを夢見てきた東洋大ナインを最後に待っていたのは、悲惨な現実だった。


 初回から先制するも、二回以降は西舘(中大)を前に、打線は沈黙。一方で先発・細野(総3=東亜学園)も七回まで0で抑え、マウンドを降りる。「あとはよろしく」と味方の援護を望み、「頼むよマジで」とポツリ。八回は、前日唯一無失点の河北(営4=浦和学院)が三者凡退で切り抜けた。


 1点リードのまま、1部昇格まであと3アウト。2部優勝のラストも任された河北は、細野から笑顔で力水をもらうと、マウンドへ向かう。神宮のバックスクリーンを眺め、大きく深呼吸。しかし、戦国東都は一度転落した者に決して甘くなかった。初球から大きくコースを外すと、1部の座を死守してきた中大サイドは大盛り上がり。そのままストレートの四球を与えてしまう。杉本監督と後藤聖(法3=京都学園)がマウンドに向かうも、強張った面持ちは消えることはなかった。


  もう限界だった。ストライクゾーンに投球を入れられず、スコアボードには3つ緑のランプが点灯。2つ目の四球を与え、1つもアウトを取れないまま、冴えない表情で降板した。


  この窮地に指揮官は1年の島田(総1=木更津総合)を起用。ここまで選手が必死に掻き消していた中大の力強い応援が神宮を覆う。今後の運命をかけたこの修羅場に島田は耐えられなかった。初球からバントを悪送球し、二塁走者を生還させてしまう。小口(法4=智弁学園)が笑顔で島田に声を掛けるも、その場を掌握していたのは中大。こちらも負けじと声援を送るも、なお一、三塁で続く石井(中大)が放った打球は、無情にも二塁宮下(総1=北海)の横を抜けていった。 掴みかけていた1部への望みがポロリと零れ落ちた。まさかのサヨナラ負けに内野手陣は呆然。グラウンドに倒れこみ、なかなか立ち上がれない。ラストシーズンへの希望を失った4年生たちは言葉を失い、ただひたすらに泣きじゃくった。


  最後までベンチから神宮の景色を眺めていた杉本監督。今季は選手に積極的に声をかけ、昨年見られなかった笑顔を何度も浮かべた。「選手のみんなには申し訳ない。勝ちたい熱は分かっていた。それを実現させられない自分の未熟さを感じた」と最後は無情にも嘆き、俯きながら神宮を去った。


 この日のために、2部優勝という大きな壁を乗り越え、再び神宮までやってきた。しかし最後に勝負を決めなければ、全てが水の泡。これが戦国東都の真骨頂なのだろう。また2部からのスタートを切ることになる。「次の秋、絶対に上がりたい」と決意を示した小口主将。ここから再生し直すしかない。



■コメント

・杉本監督

(非常に投手戦の末、こういった結果になったがどの辺が1番ポイントだったか)初回に1点取って、そこから追加点が取れなかったっていうのと、やっぱり最後。本当に選手のみんなには申し訳ない…。みんなの勝ちたいっていう熱は分かってました。それを実現させてあげられなかったっていうのは自分の未熟さ。(選手に対してはどういう声をかけてあげたいか)本当に選手は精一杯やったと思います。圧倒して優勝して秋にリーグ優勝するっていうのがチームの目標だったので、それを実現させてあげられなかったっていうのは…。それが一番高いハードルですから、一つの2部での優勝のハードルは超えたし…。選手はいろいろなことがあると思いますけど、技術的な所、それからメンタル的な所で考えるとすれば、やっぱり技術で補えないきれないところもあるかもわからないですけど、1点差で九回の裏っていう風なところでどうやって守り切っていくかっていうのは…。それは突き詰めていければいいかなと思います。



・細野(総3=東亜学園)

(自分自身のピッチングを振り返って)0で抑えてたのは良かったと思うんですけど、ああいう難しい形で後ろに回してしまったのは少し申し訳ないなと思います。(七回に四球が2つ出ましたが)若干体が重くなってきてて、ちょっと不安があったんですけど、みんなが声をかけてくれてすぐ修正できたと思います。(入替戦に臨むにあたって代表の合宿を辞退しましたが)もちろんレベルの高い人と一緒にやりたいなって気持ちはあったんですけど、優先順位は全然こっちの方が上なんで、そんなに気にすることなく入替戦に入ることができました。(この結果を踏まえて)今回の自分の力不足という未熟な部分がたくさん出たので、チームとして強くなるのも、もちろんなんですけど、まずは僕自身がレベルアップしてまた来年入れ替え戦に来てチームで笑いたいなと思います。


・小口主将(法4=智弁学園)

(この結果をどう受け止めていますか)自分達の力不足で。そして自分の力不足で負けたと思います。(今後に向けて)やっぱり、強い選手がいる中で、1、2、3年生に1部でやらせてあげたかったですけど。次の秋、絶対上がって来年にはやらせてあげたいです。


TEXT=宮谷美涼  PHOTO =青木智哉・宮谷美涼