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第55回関東大学バスケットボール新人戦
6月14日(日)国立代々木競技場第二体育館
東洋大69―65慶大
17|1Q|19
23|2Q|15
15|3Q|16
14|4Q|15
総合成績 7位
スタートメンバー
7 大野太聖(文1・市立柏)
31 榎雄大(済2・市立船橋)
33 平孝介(済2・東海大菅生)
35 杉田涼(済1・市立船橋)
54 マッカーサーエリック(国1・デイナ)
けがの中でも出場した岩淵の存在はチームの支えとなった
大野は今大会攻守にわたって成長を遂げた
常に積極的に得点を狙った杉田
「勝って実力を示したかった」。ベスト8進出が組み合わせの運ではないことを証明するために、選手たちは1部チームを相手に気持ちのこもったプレーを見せる。試合を重ねながら成長を遂げた個々の力やチーム力で白星を勝ち取り、再延長の末に突破した初戦から5日間走り続けてきた新人戦を7位で終えた。
立ち上がりは相手ペースでゲームを進められてしまう。何とか流れを変えるきっかけがほしい東洋大。そこへ投入されたのは主将を務める岩淵(済2・新潟商)だった。岩淵は今大会2試合目で足を負傷し、戦線から離れていた。しかし最後の新人戦への思いから出場を決意すると、的確にボールをまわしてシュートをアシストしていく。するとチームは勢いに乗り、選手たちは個々の力を発揮し始める。
2Qでは大野が厳しいディフェンスから相手のターンオーバーを誘い、カウンターで得点を挙げると、続けて川上(済1・市立船橋)がスリーポイントを沈める。さらにエリックがリバウンドをゴールへ押し込み、ずば抜けた身体能力を披露するとベンチからも歓声が上がった。そして今大会チームを支えてきた榎が巧みなドリブルでインサイドへ切り込むと、平がしっかりと得点につなぐ。「ローテーションがうまくいった」という監督の言葉通り選手一人一人が自らの役割を果たし、まさに総力戦でリードを広げていった。
しかし1部・慶大もこのままゲームを終わらせてはくれない。終盤は猛攻を受け、みるみる点差は縮まり苦しい場面に陥る。残り45秒で1点差まで迫られた。それでも「勝ちたい気持ちが強かったので疲れはなかった」と大野が振り返るように、今大会を粘り強く戦い抜いてきた選手たちの集中力が切れることはなかった。これまで徹底してきたディフェンスで相手の攻撃をねじふせると、最後は岩淵のフリースローで勝利を決める。最高の笑顔で大会を締めくくった。
初戦の立ち上がりでは「緊張して動けなかった」と話していた選手たちであったが、強豪校との対戦を経験したことで得たものは大きいだろう。今試合では終始自らのプレーを繰り広げる姿が見られ、確かな成長を感じられた。今後はいよいよリーグ戦へと向かうが、杉田は「個人の武器や特徴をしっかり監督にアピールして、使ってもらえるようにしたい」と語った。主力である上級生と共に、秋のリーグ戦でも下級生の躍進を見ることができそうだ。
■コメント
・目(さっか)監督
よくディフェンスのシステムを守った。(一人一人の良さが出ている印象があったが)岩淵が戻ってきたのが大きくて、ローテーションがうまくいった。今大会は1年生が大活躍だったが、最後に2年生の岩淵や榎が頑張ってくれた。(監督の中でMVPは)全員頑張っていたので決められない。今後はリーグ戦に向けてやることはたくさんある。2部はどのチームもディフェンスが強くてレベルアップしないとこのままでは勝てないので、頑張っていきたい。
・岩淵(済2・新潟商)
自分たちがやってきたことが発揮できた。最初のミーティングでの作戦が徹底してできた。特に2ピリからがうまく機能したのでそこが勝ちにつながったと思う。(勝因は)ディフェンスが機能したこと。そこから自分たちのアーリーなバスケットができたことが良かった。(主将として成長した部分は)まとめる立場になり、責任感もついた。チームの雰囲気が良くないときなども立て直そうと努力した。ディフェンスも、練習から後輩に徹底させ、そこが試合で生きたのでうれしい。(後輩の成長について)佐久間と渡邊(浩平)が特に成長した。佐久間は以前はミスなども多かったが、ゲームを重ねる中で本来の自分の力が出せたのかなと思う。渡邊はシックスマンとして使われることが多く、起用される場面も勝負どころが多かったが、ベスト8の試合からは目立ったミスも少なくなり、大きい舞台で緊張せず自分のバスケができていた。(今大会を振り返って)一戦一戦で個々がどんどんと成長していって、ゲームを通じチーム全体も良くなっていき、まとまりも出た。(秋季リーグに向け)リーグで1位、2位になり入れ替え戦を勝って1部に上がりたい。
・大野(文1・市立柏)
「組み合わせが良いからベスト8に進んだ」と言われていたので、今日勝って実力があるところを示したかったしチームでも勝とうと話していた。(ディフェンスは)ダブルチームでいくのが作戦だった。オールコートからガードについてダブルチームでいくのは体力を削られたが、勝ちたい気持ちが強かったので疲れはなかった。(新人戦での収穫は)今まで経験がなかった分、緊張したりアップ不足もあったが、この大会でスタートから使ってもらえて、気持ちを高めていくことの大切さがわかったりリラックスして試合に臨むことができたのは成長したかなと。(リーグ戦に向けて)まずは自分のできることを努力して、入れたら自分の仕事をしっかりやりたい。
・杉田(済1・市立船橋)
大東大、青学大に負け続けて悔しかったので今日勝ててうれしい。監督から指示されたディフェンスのフォーメーションをみんな共通理解で意識できて、ディフェンスが機能していたので勝ちにつながったと思う。(個人としては)点数を取ることが求められていたので、積極的に点を取りにいくことを考えていた。(リーグ戦では)今大会は1年生が頑張っていたが先輩たちもいるので、自分たちも一人一人個人の武器や特徴をしっかり監督にアピールして、使ってもらえるようにしたい。試合に出れたら全力でやりたい。頑張ります!
TEXT/PHOTO=石田佳菜子