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2015.06.15
ボクシング

[ボクシング]接戦を制せず 涙の敗北

第68回関東大学ボクシングリーグ戦

6月13日(土)後楽園ホール


東洋大4―5日大
 

【LF】●福井(判定)⚪︎坪井

【F】    ●馬場(判定)⚪︎村田

【B1】●中村一(判定)⚪︎小林

【B2】●鵜沢(判定)⚪︎佐々木

【L1】⚪︎秋山(判定)●木本

【L2】⚪︎齋藤(TKO)●上原

【LW】●原田(判定)⚪︎李

【W】  ⚪︎金城(判定)●鈴木

【M】  ⚪︎高江洲(判定)●血矢


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強敵を倒し笑顔でガッツポーズをする秋山

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斎藤は体格差ある相手にも果敢にボディを攻めた


 東農大戦を落とし、リーグ戦初制覇に向けもう負けは許されない。絶対王者・日大との戦いは土壇場での秋山(営3・淀川工科)の番狂わせで持ちこたえるも、その後原田(営1・崇徳)が倒れ負けが確定。優勝の可能性は薄くなった。


  前回まで2戦2勝で好調だった福井(営1・駿台学園)が、敗戦。その後の軽量級3連敗で絶体絶命の状況となってしまう。嫌な流れが立ち込める中登場した秋山。相手は国体チャンピオンかつ、ライト級ランキング2位の木本(日大)だ。「相手が待っていたから、自分から攻めていこうと思った」と話したように1ラウンドから足を動かすことを意識し、手数をかせいでいく。格上相手にも引けを取らず、冷静にパンチを当てる。確実にポイントを積み重ね、判定勝ちを収めた。「とにかく勝ちたいと思っていた」と話した秋山はリングを降りると客席に吠え、喜びをあらわにした。予想外の下剋上に観客とベンチは最高潮の盛り上がりに達し、勝利への望みをつなぐ。三浦監督も「今年は本当に秋山がのりにのっている。次期エースでもある」と称賛した。  

 「秋山が勝って、自分が負けるわけにはいかない」。次期エースに肩を叩かれ、齋藤(営3・習志野)はリングに上がる。長身の相手に対し、「ボディから攻めることを意識した」という言葉のとおりにボディを中心に狙い攻撃を組み立てる。2ラウンド終盤、偶然のバッティングで相手がまぶたから流血しドクターストップ。貴重な勝ち星を上げた。

  前回、苦いデビュー戦となった原田がプレッシャーを一身に受け試合に臨んだ。秋山、齋藤に続けとチーム一体となり声援を送る。だが、日大は簡単に王座を譲ることはなかった。「基礎体力でついていけなかった」と振り返ったように、途中疲れが見え始めパンチを受ける場面が増え0-3と大差の判定負けを喫する。そしてここで東洋の黒星が確定。負けてしまったものの「すぐに改善できるところは追い込んで絶対勝てるようにして、信用して出してもらいたい」と原田は前向きに次の試合に対する思い語った。


  その後、金城(営4・那覇)と髙江洲(済4・沖縄尚学)が制勝し4-5で試合終了。またしてもあと一歩届かなかった。三浦監督は「秋山までの流れをうまくつくりたい」と今試合4連敗してしまった軽量級の強化を課題に挙げる。だが、うつむいている時間はない。「全部プラスに変えて勝つ」。東洋大の順位を一つでも押し上げるために、収穫と反省を次戦への勝利につなげていく。 


■コメント

・三浦監督
軽量級でいくつとれるかが勝負だったが、そこで4連敗してしまいきつくなった。福井は調子が良かったので期待していたが相手が強かった。(ライトウェルターは)原田も相手も高校で複数タイトルをとっている選手でハイレベルな戦いだった。本当にちょっとだがちょっとだけ相手のうまさが上回ったのかなと思う。結果は2対1だったので、もう少しで勝てる力はある。結果を求められる試合で負けてしまったのは残念。今年は本当に秋山がのりにのっている。今のところ3戦全勝で飛躍の年になった。次期エースでもある。(3戦連続で流れを変えているが)秋山までの流れをうまくつくりたい。秋山からはいい流れになるのはわかっているので、前半が今後の課題。ただ負けも経験なので、選手たちはこの悔しさをどれだけバネにして成長してくれるか楽しみでもある。(次回の)駒大は各階級に高校チャンピオンだった選手がそろっている。気を抜けない戦いになると思うがこちらも負けるわけにはいかない。ベストメンバーを組んで全力でぶつかりたいと思う。


・金城(営4・那覇)

2対1で勝てたけど、1ラウンド目は固くて、頭も振れていなかった。2ラウンド目からは切り替えて自分の流れを作ることができた。(主将のいない中での試合だったが)個人個人やることをやるだけだった。みんな真面目なので。(次戦に向けて)大差で勝てば2位にはなれるかもしれないので頑張ります。


・秋山(営3・淀川工科)

相手が強かったからチームがどうこうというよりとにかく勝ちたいと思っていた選手だったので、自分が負けたらチームが負けるとかは考えずに、自分だけ勝とうと思って試合に入った。個人戦という気持ちが強かった。(1Rから前に出ていたが)意識はしてなかったが、相手が待っていたので自分から攻めていこうと思った。(何度もガッツポーズが見られましたが)相手が国体チャンピオンで名のある選手だったので気持ちが高ぶった。(試合の内容は)もう少し手数が出たらよかったがいいほうだったと思う。(好調の要因は)去年の1勝4敗が悔しくてそれだと思う。(残りの試合どんな心境で見守ってましたか)とにかくつないでほしいと思っていた。原田で負けてしまったが、4勝5敗でもいいから頑張ってほしいと思っていた。(主将がいたら変わっていたか)それはあると思います。(残り2戦に向けて)全員で戦っていく。


・齋藤(営3・習志野)
ライト級二つはキーなので絶対勝とうと思った。秋山が勝って、自分が負けるわけにはいかないなと。たくさん練習してきたのでしっかりやれば勝てるなと思った。相手が誰が来るかはわからなかったが長身だとは思っていた。だからボディから攻めることを意識した。(勝因は)ジャブが自分のリズムで出せたこと。頭が下がって反則を取られそうになってしまったのは反省点。秋山が国体王者に勝ったので、みんな波に乗れた。(次戦に向けて)また2週間後なので、しっかり調整と練習をして追い込んで試合に向けて頑張りたい。
 

・原田(営1・崇徳)

軽量級が取られてライト級から勝ってたので自分も続いていくつもりで試合に出た。しかし前回もだが、今回も絶対勝たなくてはいけないところで勝ちきれなかった。、基礎体力の部分がついて行けず疲れてしまい、3ラウンド目で勝てないというのが、前回もそうだったのでこれから(基礎体力を)作っていかないといけないと感じた。前回は相手に攻められて続けて負けたので、今回は自分から攻める展開を増やして行こうとした。その部分ではわりとできたが、相手のパンチももらってしまったのでまだまだ甘いと感じた。(今回見えた課題は)自分は距離とって戦うボクシングなので、相手をコントロールして自分のボクシングスタイルを貫いくこと。相手に合わせているといくら体力があってもバテてきてしまう。(次戦以降の目標は)すぐに全部改善とはいかないとしてもできるところは追い込んで絶対勝てるようにして信用して出してもらえるようにしたい。


・福井(営1・駿台学園)
(大学入学後、初めての敗北は)普通に悔しい。勝つために練習してきたので、やっぱりすごい悔しい。でも今後プラスにしていける面も自分の中で見つかった。全日本王者と試合をできたっていうことは、絶対に自分の中で生きると思う。(緊張は)いや、そんな、いつも通り。(チャンピオンの印象は)よく見る通り。イメージと同じだった。相手からくるプッレッシャーが強かった。(相手との差は)見せ方とアグレッシブさ。(ジュニア時代は)同じ合宿で練習したことがある。その時から強かった。(収穫は)自分の足りないものが本当に分かったこと。(これからは)距離と軸を強化していく。自分の体の軸ともっと距離感を細かく磨いていきたい。(次戦に向けて)これを全部プラスに変えて勝つ。
 

TEXT=高橋雪乃 PHOTO=野原成華、酒井桃子