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東都大学野球秋季2部リーグ戦・専大1回戦
10月22日(土) UDトラックス上尾スタジアム
〇東洋大5-3専大
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 計 | |
東洋大 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 5 |
専大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 3 |
二塁打:後藤聖(二回)
細野、河北、柿本、島田(1勝)、一條ー後藤聖、廣岡
・打者成績
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 |
1 | (中) | 橋本吏(総3=花咲徳栄) | 3 | 0 | 0 |
2 | (右) | 水谷(営3=龍谷大平安) | 3 | 1 | 1 |
3 | (遊) | 石上泰(営3=徳島商業) | 3 | 0 | 0 |
4 | (一) | 小口(法4=智弁学園) | 3 | 1 | 1 |
5 | (指) | 花田(総1=大阪桐蔭) | 3 | 0 | 1 |
指打 | 馬込(法2=桐光学園) | 2 | 1 | 2 | |
走 | 左向(営4=智弁学園) | 0 | 0 | 0 | |
6 | (二) | 宮下(総1=北海) | 5 | 1 | 0 |
7 | (左) | 秋元(済1=木更津総合 | 4 | 1 | 0 |
8 | (捕) | 後藤聖(法3=京都学園) | 4 | 1 | 0 |
走 | 松本渉(営4=龍谷大平安) | 0 | 0 | 0 | |
捕 | 廣岡(総4=拓大紅陵) | 0 | 0 | 0 | |
9 | (三) | 加藤響(総2=東海大相模) | 3 | 0 | 0 |
計 | 33 | 6 | 5 |
・投手成績
名前 | 回 | 球数 | 安 | 四死球 | 三振 | 失 | 責 |
細野(総3=東亜学園) | 5 | 94 | 2 | 6 | 7 | 0 | 1 |
河北(営4=浦和学院) | 4 | 72 | 3 | 2 | 8 | 1 | 1 |
柿本(営2=東洋大姫路) | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
島田(総1=木更津総合) | 2/3 | 7 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
一條(総2=常総学院) | 1 | 10 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 |
菊地を打ち破った馬込
タイブレークで生還した水谷と石川泰
力投した一條
優勝の行方を占う最終カード・専大戦がやってきた。相手の先発は、先日のドラフト会議で千葉ロッテマリーンズに1位指名された菊地(専大)。こちらも負けじとエースの細野(総3=東亜学園)を投入。夜の上尾には、2部とは思えないほどの大量の観客が押し寄せた。
今年3回目となったエース対決。1部昇格を目指す意地のぶつかり合いは、初回から動いた。水谷(営3=龍谷大平安)と小口(法4=智弁学園)で先制に成功。さらに1点を追加し、注目を浴びる好投手の立ち上がりから2点を奪った。一方、先発の細野(総3=東亜学園)は三回まで9人に抑える投球。一方の攻撃では二回以降、菊地が牙をむき始め、悪戦苦闘を強いられる。1点差とされた八回、河北(営4=浦和学院)が無死二、三塁から同点とされ、この春専大に敗北を喫(きっ)したタイブレークに突入した。
先頭から始まる十回、橋本吏(総3=花咲徳栄)が走者を二、三塁にきっちり送ると、水谷の左犠飛でまずは1点。しかし、2死三塁で打席に立った石上泰(営3=徳島商業)からは快音が響かず。1点止まりと相手に上手く攻撃をかわされる。
専大も黙ってはいない。1死二、三塁とされ、一打サヨナラ勝ちの状況。二塁走者が還れば優勝が決まるこの場面に、ベンチは大盛り上がりを見せる。ここで島田(総1=木更津総合)が登場。次の打者を左飛に打ち取り、あと1ストライクまで迫るが、ここで力強い投球がキャッチャーグラブの上を越えていき、試合は再び振り出しに。手がかじかむような寒さでどちらに転ぶか分からないこの状況。それでも最後は、あわやサヨナラという強い打球を石上泰が見事に処理し、盛り上がる専大を落胆させた。
開始から3時間半が迫り、十一回で試合終了となることを告げられる。この回も小口が走者をそれぞれ進めると、前の打順で代打起用された馬込(法2=桐光学園)が再び打席へ。この男が、張り詰めた空気を打ち破った。1打席目は手も足も出なかったが、チャンスでやってきた2打席目。初球から食らいついた。タイミングが合わなかったが、3球目。「まっすぐが多くて、目が慣れた」とここまで150球以上を投げてきた菊地から放った打球を右翼手の前に落とした。この間に二塁走者まで生還。呆然と立ちすくむ菊地に対し、生還した石上泰と水谷は抱き合い、熱狂に包まれた。
このリードを守りたい東洋大は一條(総2=常総学院)をマウンドに送る。先頭打者の犠打の処理で三塁へ送球するも、これが逸れてしまい、無死満塁のピンチに。しかし、ここからが圧巻の投球だった。2者連続で三振に仕留めると、最後は打球は小口のもとへ。大事に一塁ベースを踏んで、2点を守り切り、3時間44分の死闘を制した。
ずっと手に汗握る展開だった。「今日の一戦にかけてきた」。あと1勝すれば優勝を手にする専大を全員で引き留めた。「こちらのペースで攻められた」と相手がドラフト1位でも、修羅場を乗り越えてきた彼らは恐れない。どんなに追いつかれても、落ち込む素振りは一切見せなかった東洋大の戦士たち。その顔からは、この戦いを楽しんでいるようにも見えた。あともう1勝すれば、優勝決定戦に持ち込める。絶対勝って、大逆転劇を起こそうじゃないか。
■コメント
・杉本監督
(今日の試合を振り返って)崖っぷちには変わりないので。みんなが高校野球の時に経験してる、甲子園まであと三つ準々決勝、準決勝、決勝それで甲子園っていう感じで、一回でも負けたら終わりなので。勝ち切れたのはピッチャーでしょうね。菊地(専大)くんはやっぱりドラフト1位の星だね。普通だと(ドラフト直後で)崩れるはずなんだけど。ドラフト後の最初の試合で、身体も大変だったと思う。彼のことを思うと人生かけてきて、それでドラフト1位になって。で、その翌々日でしょ。万全なわけがないにも関わらず、これだけのピッチングができるのはすごい。敵ながらあっぱれですね。うちの選手にもそれは伝えてやりたいなと思いますね。(初回の2点が大きかったか)まだ寝てたんですかね。寝起きを襲って。それでやっぱり起きちゃって。バッターは可哀想なんですよ。細野のピッチングではリズムは出ないですよ。うちの試合観れば分かるんですけど、最初取るんですよ(点を)ばーんって。でも細野が投げだしたら。どんどんどんどん難しくなるんです。重いじゃないですか、打たせないから。打たせてるつもりなんだけど、相手も打たないし。やっぱりフォアボールも多くなってくるんで。野手とのリズムが難しいですね。フォアボールと三振なので。(その中でタイブレークで馬込が適時打を放ったが)超積極、なんでも食いついていく、初球から。そのタイミングっていうのは勝負ごとにおいてはすごく大事なんじゃないかな。ただこれからレギュラーとしてやって結果を求めた時にまた違った景色になっちゃうかも分からないですけど。そういう風にならないように、頑張ってもらえればいいですけど。今日2打点ですからね。才能かもしれないですね。(馬込の)タイミングを合わせるのは。これは天性のものなのかなと。ずっと出てなかったので。選手は腹をくくってるので。本当にいい意味での開き直りってこういう事なんだなって思いますけど。試合前も、良いゲームをしよう、確かに勝たなくちゃいけないんですけど、その前に良いゲームをしようって。こんな緊迫した中でゲームできるってそうそうないので。
・馬込(法2=桐光学園)
(打席に入る時の心境は)チャンスで相手の方がいっぱいいっぱいかなって思って、とにかく初球から。初球はあまりタイミング合ってなかったんですけど、振れば合うかなと思って。とりあえずどんどん振って行こうと。まっすぐに絞ったんですけど、打ったのはツーシームが高めに浮いてるきたのでタイミング合ったので振りました。(菊地投手のイメージは)すごいピッチャーっていうのは分かってたんですけど、1打席目立って初球の真っ直ぐが見えないくらい速くて、張って打たなとだなと思って、まっすぐに一本絞って打ちました。(1打席目と2打席目の違いは)まっすぐが多かったので、目が慣れたのかなと思います。(ボールが抜けていった瞬間の気持ちは)そんなに良いあたりじゃなかったんですけど、良いところに飛んだかなって思ったので嬉しかったです。(後がないチーム状況でベンチでの声は)とにかく前向きな声が多くて、ネガティブな言葉はなかった。エラーとかはあるんですけど、あっても次頑張っていこうって感じでした。
・小口主将(法4=智弁学園)
(野手陣として、守ってていかがでしたか)気を抜けるところは一瞬もなかったんですけど、みんな信じてたんで楽に守ることができました。ナイスピッチャーです。(河北投手の投球は)ずっとけがで投げたくても投げれなかったんでうずうずしてたと思います。素晴らしいです。安心感がありました。(勝てた要因は)全員が自分の仕事をできたからだと思います。まずは今日の一戦にかけてました。(菊地投手は)もちろんドラフト1位の投手なんですごいピッチャーでした。「でもそんなん関係ないわ」って思ってたんでこっちのペースで攻めれたと思います。(次戦に向けて)まず1勝、油断せずに今日の事は切り替えて戦っていきます。
TEXT=青木智哉、宮谷美涼 PHOTO=宮谷美涼