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2022.10.23
硬式野球

[硬式野球] 「こんな素晴らしい試合で投げられるなんて」河北が復活の72球で4年の意地見せつける

東都大学野球秋季2部リーグ戦・専大1回戦

10月22日(土) UDトラックス上尾スタジアム

〇東洋大5-3専大

満塁を抑え、笑顔を見せた


ロングリリーフとして耐えた


捕逸には思わず空を見上げた


我らが頼れるリリーフ・河北将太(営4=浦和学院)が強くなって帰ってきた。この日は、ドラフト1位である菊地(専大)との戦い。こちらのエース・細野(総3=東亜学園)が六回、1点リードの中、無死一、二塁のピンチを作ってしまう。ここで杉本監督が登場。後に引けないこの場面を河北に託した。


 これまで味わってきた多くの経験が河北の背中を後押しした。今までの河北なら、ピンチに「緊張した」と答えていただろう。しかし、入替戦でどん底を味わい、ひと夏を超えた彼は「すごく落ち着いていた」と戸惑いはなかった。いつも通り、バックスクリーンを見つめ、心を落ち着かせる。絶対に逆転は許されない、河北の大勝負が幕を開けた。

 

 まず2球で相手を追い込むと、勢いそのまま見逃し三振に。徐々に相手に負担をかけようと目論んだ矢先、打たせたゴロを宮下(総1=北海)が捕球ミスし、1死満塁の大ピンチを招く。しかし、夏にメンタルトレーニングを行った河北はそう簡単に動揺しなかった。捕手の後藤聖(法3=京都学園)と何度も確認を取りながら、一球一球ストライクを入れていく。そうして2人目も三振で打ち取り、あと1アウトまでこぎつける。そして、最後に相手のバットが空を切った瞬間、河北はマウンド上でガッツポーズ。注目を集める菊地(専大)に負けじと4年の強い意地を見せた。


 七回も3人で切り抜け迎えた八回、「少し欲が出た」と、最初から2連打を浴び、自分でピンチを作り出す。なんとか2死、フルカウントまで追い込んだところで痛恨の捕逸。同点ランナーを生還させたバッテリーミスに、河北は思わず空を見上げた。これに専大はお祭り騒ぎだったが、あと1アウト取ればいいだけ。最後は遊ゴロにまとめ、勝ち越しを許さず。「よく粘った」と出迎えたナインに対し、「ごめん」と返し、ベンチ裏では「悔しー」と一言放った。


 同点に追いつかれた東洋大の直後の攻撃は三者凡退。サヨナラ勝ちを狙う専大の勢いに拍車をかけてしまう。どちらにも転びかねない状況で指揮官は九回も河北を信頼して送り出した。ここを0で抑えればタイブレーク。「根性、気持ちしかないと思った」。ベンチ横で覚悟を決め、再びマウンドに駆け出した。


 「こんな素晴らしい試合で投げられるなんて」。3球で1死とすると、ここから専大の上位打線。現在首位打者の西村進(専大)を3球三振に仕留め、相手に隙を与えない。しかし、次に中前打を許すと、寒さに凍えていた専大スタンドは熱気に包まれたが、その夢も打ち砕いた。フルカウントまで粘られ、投じた7球目。ボールを見逃した相手打者に下された審判の判定は、「ストライク」。主審の腕が横に振られた瞬間、三塁側の東洋大は大賑わいを見せた。そして仲間の追加点に望みを託し、河北は復活の72球を終えた。


 専大戦には苦い思い出が。この春、細野と菊地の対決でタイブレークでの登板を任されたが、痛恨の2連打でチームは敗れた。それでも、その時の経験が河北を強く成長させ、その後の多くのピンチを救ってきたが、入替戦では通用せず。「気負ってしまった」と何度も口にし、メンタルトレーニングを行った。「負けなかったことは成長したかな」。河北の存在は、チームにとってどれほど心強いだろうか。逆転優勝に、彼の存在は不可欠である。


■コメント

・河北(営4=浦和学院)

(今日の投球を振り返って)1点取られてタイブレークにしてしまったのは悔しいが、負けなかったことは成長したかなと思う。(満塁での登板でしたが)凄く落ち着いていた。やってきた事が出たと思う。(エラーがありましたが、動揺は)全くなかった。(八回には、同点に追いつかれましたが)少し欲が出てしまった、欲を持ったらいい事がないので自分の感情をコントロール出来るよう、明日までに修正します。(九回に続投となった時の心情は)根性、気持ち、それしかないと思ってました。押忍。(辛い時も踏ん張りました)菊地投手の素晴らしい投球に感化されて負けじと頑張りました。辛いというよりこんな素晴らしい試合に投げれて楽しかったです。(夏に取り組んだことは)メンタルトレーニングを、入替戦で負けてから取り組んで、その成果が出たと思います。(次戦に向けて)自分の仕事は抑える事なので、それだけ考えて頑張ります。


TEXT/PHOTO=宮谷美涼