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角界デビューからわずか2場所で十両昇進を果たした御嶽海こと大道久司さん。昨日発行された『スポーツ東洋第69号』では独占取材と題して、御嶽海関に現在の心境をお伺いしたインタビュー記事を掲載しました。しかし、紙面に収まらない内容も多くありました。そこで!今回は紙面に掲載した部分も合わせまして「完全版」としてインタビューの全貌をお届けします。(取材日・6月23日、聞き手・伊藤拓巳、撮影・佐田毬絵)
――十両昇進おめでとうございます
ありがとうございます。
――昇進が決まってから何日か経ちましたが、現在の心境は
気持ちは変わっていないです。まだ挑戦する気持ちはあるので、十両に上がったからといってうかうかはしていないですけど、うれしいことはうれしいです。
――1月の入門会見で示した最初の目標は関取。その関取になった実感はありますか
まだないです。まだ部屋の仕事とかもしているので。でも、声はよくかかりますね。地元に帰ったりしたときもそうだったりします。
――その地元・長野からは47年ぶりの関取誕生。反響などはありましたか
この間町長への表敬訪問で帰って、その時に地元に300人ぐらいの人が駅まで出迎えに来てくれていましたね。期待されていると感じました。
――何かお話は
町長とは話して、「おめでとう」と言っていただきました。
――最初の3月場所は緊張などはしましたか
相当しましたね。今までにないくらいの緊張でしたね。
――昨年の大会でもありませんでしたか
あの緊張感はなかなかないです。
――初日に相撲を取って感じたことは
やっていけるかなと。自分の相撲を取ればある程度はいけるなと思いました。それは3月も5月も。
――その3月場所は6勝1敗の成績でした
できすぎかなと。自分の目標はまず勝ち越すことだったので、自分の相撲をとってしっかり結果がついてきて良かったです。
――続く5月場所も6勝1敗の好成績で十両昇進を決めました。場所前に十両に上がるという気持ちはありましたか
それは全然ないですね。何も考えずに自分の相撲をまずは取ることだけを意識しました。
――場所中に考えたりは
最後の千秋楽では。そこまで5勝1敗であと1勝すれば確実に上がる、しなければちょっと危ないというとき。そこでは少し考えましたね、初めて十両を意識して。でも、土俵に上がったらそういう意識というよりも自分の相撲を取る意識の方が大きくなったから、雑念は消えました。
――3月、5月場所では学生時代に戦った相手とも対戦がありました。違和感とかは
いや、やりやすかったです。知っている相手だったので。
――正代(東農大卒)さんや川端(日大卒、現・大翔丸)さんなどに勝利しました
結構自信にはなりました。
――川端さんは番付も上。学生時代との違いはありましたか
少し大きくなっていましたね。戦ってみて自分はいっぱいいっぱいでしたが自分の相撲も成長していた中で強くなったなというのはありました。
――5月場所中には一度十両の土俵で相撲を取りましたが
所作にすごい緊張して、自分の中で初めて相撲に雑念が入りました。それで低い相撲になりました。緊張しましたね。
――全然違いますか
違います。特にお客さんが入り始めてきているので幕下上位と十両では人の数が違います。そこがまず緊張しました。
――部屋での生活は
慣れました。兄弟子が優しいので。気も使ってくれたりして、すぐに慣れましたね。入って2~3週間ぐらいで。
――普段の生活は
稽古が充実していますね。あと、生活は大学みたい。自分が4年生のときみたいにみんなが気を使ってくれて。自分から少しはやってはいますが、仕事もそんなにないです。
――相撲教習所に通っているとお聞きしました
今日もさっき帰ってきたところです。今も通っています。
――書道の授業の様子を新聞等で拝見しましたが
やりましたね。字めっちゃ上手いですよ(笑)
――教習所の内容とは
朝7時に色々な部屋から新弟子が来て、3ヶ月間通います。ランニングして、相撲取ってそこから勉強。書道、社会、相撲史、歌(相撲甚句)とか。月曜日から金曜日までみっちり入っています。勉強しています。
――そういった部分も今は大学の時と同じですね
90分じゃないだけマシですね(笑)大体50分ぐらいで長くても60分で、めちゃくちゃ短いと感じました。大学の時は90分をどう過ごそうかなと思っていたりしていましたけど、50分だとあっという間ですね。だから良かったです、大学行ってて(笑)
――その他、普段はどのように過ごしていますか
寝ます。寝ないといけないので、自分たちは。稽古が終わってから16時まで寝る、そういう決まりです。あとは自由時間。でも、ここ最近は十両が決まってから予定がびっちり入っています。
――化粧まわしが大学から贈られる
総監督(田淵東洋大常務理事)から話がありました。いや、初のですね(笑)
――初土俵から所要2場所での昇進は遠藤(日大卒)さんらに並んで史上最速記録ということですが、それは聞いていましたか
聞きました。遠藤さんのことも知っていますし。でも、全然そこは意識していないです。自分がやってきたことがこういう結果につながっただけなので、運が良かったのかなという感じです。
――親方から何か言葉はありましたか
これから大変だからと。ここでスタートラインに立ったから、落ちないように一緒に頑張ろうと言ってくれました。
――両親にご報告は
しました。一番最初は総監督でしたけど、その次には家に電話して。「大変だけど、けがしないで頑張ってください」と言われました。
――東洋大学出身力士としては通算9人目の関取誕生となりました
そうなんですか。別に考えてはなかったですね。一番いい成績で終わりたいと思いますね。それは常に思っています。東洋大学の先輩たちより実績は上で、一番上を狙いたいなと。
――部屋の期待と地元の期待とがありますけれども、ご自身で意識はしていますか
期待されているというのはあります。期待も大きいですし、地元から40人が3日間に分けて名古屋場所に来ると聞きました。その期待に応えられるように、いいプレッシャーとしてそれをプラスにしていきたいなと思います。
――東洋大からも応援でプッシュされています。メッセージ動画も取られていましたね
取りましたね。流れていましたか?見ていないです、僕。恥ずかしいな(笑)見たくないですよ。
――色々な方々からさらに声がかかるとは思いますが、これから目指していくものは
自分の相撲を名古屋場所でしっかりと取って、目標は勝ち越し。そうすれば落ちる事はないので、まずは勝ち越しを目指したいなという気持ちです。
――最後にこれからに向けてお聞きします。大学時代とは違ってファンへの一言などもありましたら。まずは大学関係の方々に向けて一言をお願いします
大学の方々にはこれからもずっと応援してもらえるようにしていかなければいけないと思います。化粧まわしなど色々していただいて、期待してくれているからこそ応援してくれていると思うので頑張っていきたいなと思います。
――ファンに一言は
ファンですか(笑)そうですね。印象に残る相撲を取っていきたいと思います。自分の相撲をしっかり見ていてほしいなと、それだけです。
――ありがとうございました
◇御嶽海 久司(みたけうみ・ひさし)
本名・大道久司。1992年12月25日、長野県木曽郡上松町出身。H26年度法卒。179㌢、149㌔。
東洋大在学時に学生横綱とアマ横綱の2冠を達成するなど、15個のタイトルを獲得。今年2月、幕下10枚目付け出し資格を持って大相撲・出羽海部屋に入門。3月場所で初土俵を果たすと、5月場所後に十両昇進を決める。初土俵から所要2場所での昇進は遠藤、逸ノ城らに並び昭和以降史上最速タイ。長野出身力士として47年ぶり、東洋大からは9人目の関取誕生となった。得意は突き、押し。家族は父と母。
大相撲名古屋場所は12日(日)に初日を迎えます。御嶽海関の番付は西十両12枚目となりました。目標は「勝ち越し」。これからの活躍にも注目です!