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2022.12.15
ラグビー

[ラグビー] 名門・早大に大健闘も日本一の夢破れる

第59回全国大学ラグビーフットボール選手権大会3回戦・早大戦

12月11日(日) 秩父宮ラグビー場

● 東洋大 19{12-7、7-27}34 早大


番号Pos.名前
PR山口泰雅(総4=目黒学院)  
HO谷名樹(済4=延岡星雲)
PR石川槙人(総2=日本航空石川)  
LO齋藤良明慈縁(総4=目黒学院)
ジュアン・ウーストハイゼン(総1=Helpmekaer)
FLタニエラ・ヴェア(総3=目黒学院)
田中翔(総4=Colorado State Univ)
NO8梅村柊羽(総4=関商工)
SH神田悠作(済4=東筑)
10SO土橋郁矢(総4=黒沢尻工業)
11WTB杉本海斗(ラ3=東京)
12CTB大島暁(済4=目黒学院)
13繁松秀太(総4=札幌山の手)
14WTBモリース・マークス(総2=Hoerskool Randburg)
15FB田中康平(済4=土佐塾)
16Re.石山愁太(ラ4=日本航空石川)
17小川雄大(済2=脇町)
18伊波晃士(総3=名護)
19マタリキ・チャニングス(総2=Helpmekaer)
20森山海宇オスティン(総1=目黒学院)
21清水良太郎(ラ3=東京)
22ボンド洋平(済2=東海大相模)
23石本拓巳(済3=日体大荏原)



敗れるも、早大に健闘を見せた東洋大



試合前、円陣を組む監督、選手たち


選手権出場を決めたリーグ戦最終節から早2週間。日本一に向けた1戦目の相手は、関東大学対抗戦A3位の早大。先制トライを許すが、前半をリードして折り返す。さらに後半の先制トライを奪取するも、終盤、早大の猛追を受けて惜敗。初の選手権という大舞台は19-34で幕を閉じた。


 リーグ戦初戦で歴史的大金星を挙げた東海大戦と同じ秩父宮ラグビー場。さらに、同じ白のユニフォームで東洋大フィフティーンは登場した。東洋大のキックオフで試合はスタートし、序盤から攻めの姿勢を貫く。最初のスクラムではペナルティを誘い、観客を沸かせた。しかし、先制したのは早大。前半15分に自陣ボールのスクラムからインターセプトされ、トライを決められる。一方、東洋大は相手ボールのラインアウトをスチールし、チャンスをものにする。田中(総4=Colorado State Univ)がパスを回し、神田(済4=東筑)が颯爽としたステップで相手の攻撃をかわしてそのままトライ。ガッツポーズを見せてうれしさを爆発させた。立正大戦でPOMに選出された杉本(ラ3=東京)もコンバージョンを決め、同点に。何度もスクラムで圧倒し、ペナルティを得るが、迷うことなくラインアウトを選択するなど、終始攻めの姿勢を崩さない。この選択について、主将の齋藤(総4=目黒学院)は「自分たちの強みを活かしてトライを取りにいこう」という意識があったと明かす。次のトライもラインアウトを選択し、モールからそのまま谷名(済4=延岡星雲)が押し込んだ。遂に早大から逆転する。いい流れのまま12-7で試合を折り返した。


神田が相手を華麗にかわしゴールへ


記念すべき選手権初トライを決めた神田


前半終了間際、ラインアウトモールから逆転トライ


 このまま相手を突き放したい東洋大。後半最初のトライも開始わずか3分で奪うことに成功。前半最終トライと同様、ラインアウトからモールで押し込んで19-7とする。しかし、3分後にスクラムからの攻撃でインゴール中央にトライを決められる。早大ペースの悪い流れを断ち切りたいが、そこは最多16度の優勝を誇る早大。畳み掛けるように連続トライを奪われる。巧なパスや華麗なステップを見せつけられ、2トライ。東洋大も必死に食らいつくが、なかなか攻撃に転じることができない。最後の得点も早大。試合終了のホーン後にペナルティキックを決められ、ノーサイド。日本一の夢はここでついえた。


後半開始直後、さらにトライを奪った


スクラムでも東洋大の強さを見せた


 リーグ戦で旋風を巻き起こした東洋大は、選手権の大舞台でも早大と熱戦を繰り広げ、観客を魅了した。しかし、主将をはじめ、選手たちが口にしていた目標は「日本一」。その夢は後輩たちに託されることとなった。1部リーグ昇格、初の選手権。怒涛のシーズンを戦い抜いた東洋大フィフティーンに熱い声援を送りたい。日本一というまだ見ぬ高みを目指し、歩みを止めない彼らから目が離せない。


試合終了後、挨拶に向かう選手たち


試合後、惜しみない拍手が送られた


旋風を巻き起こした今年の戦いを終えた



■コメント(試合後の共同記者会見より)

・福永監督

(本日の試合について)本日はありがとうございました。選手が精一杯力を出しきって、お疲れ様でしたというところと、本当に今日たくさんの人が来てくれて、すごく期待をしていただく中で残念な気持ちはありますけど、自分たちの力は出したと思っております。今日はありがとうございました。(前半の流れと後半にかけての戦況は)リーグ戦見ていると、けっこう後半も頑張っていたチームだと思うんですけど、やっぱり今日は少し体力的には厳しかったです。体力的な面とメンタル的な部分とこれまで経験したことの無い舞台ということで様々な影響があったと思います。(勝ち切るために必要な戦略は)準備段階からこういった会場を含めて経験がとにかく必要なチームではあると思いますので、今日経験できたのはまず何よりもチームとして収穫ですし、チームはこのままどんどん強くなっていく、その準備を進めたいなと思っています。(シーズンを振り返って)本当に感謝の気持ちが強いのが感想です。一試合一試合成長していく選手は頼もしいですし、チームメンバーにも入ってない選手も含めてチームがどんどんひとつになっていって、このような結果に表れて、いい素晴らしいシーズンだったと思っております。


・齋藤(総4=目黒学院)

(本日の試合について)本日はお越しいただきありがとうございます。今回の試合できたことに感謝の気持ちでいっぱいです。去年まで2部でやっていた自分たちが選手権初出場できて、大学ラグビーの歴史を築き続けている早稲田大学さんという名門中の名門のチームと全力で戦えることにも感謝の気持ちでいっぱいです。けど、やっぱり悔しいです。自分たちは日本一になるためにトレーニングを積んできたので、それを果たせなかったのが悔しいです。でも、まだ東洋大学は続いていくんで、自分たちの代は終わりましたけど、これからも東洋大学に期待していただければ幸いです。(前半の流れと後半にかけての戦況は)フィジカルやセットプレーには自信を持ちながら戦えていたんですけど、やはりその後半ラスト20分ぐらいですかね、足止まっちゃったのかな。相手の修正能力もすごく良くて、走らされて、うちのフォワードが少し足止まってきちゃったところを徐々にまくられるであったり、相手の修正の仕方が上手だと思いました。(ショット狙える場面をあえてタッチいきましたが)前半からスクラムだったり、フィジカルだったり、モールだったり、実際に組んで戦える、自分たちの強みを活かせるなと感じたので、正面突破じゃないですけど、しっかり自分たちの強みを活かしてトライを取りにいこう、そういう意識で臨んでいました。(どうメンタルの状態を持っていったか)今日の試合のテーマに愛情というものがありました。家族に対する愛情、チームに対する愛情、お互い信じて仲間を信じて自分たちの力を信じて戦おうと今週、先週の2週間準備してきました。自分たちにフォーカス、自分たちの強みをぶつけようということで、そういう舞台でもやることは変わらないと話してやってきました。(自分たちの力を出せるといつ思ったか)実際に最初、ディフェンスが長く続いたシーン、そういったところで体ぶつけてだったり、あとモールを組んでしっかり形作れば押せるなとは多分フォワードもバックスも全員感じて、前半いい流れでできたのかなと思います。(勝ち切るために必要な戦略は)3年生以下の人たちにもポテンシャルを持った選手はいるので気持ちだけですね。強い気持ちを持って、メンバーに絡む選手だけでなくて、チーム全員が同じ方向を向いて高い意識でやっていくことができれば、必ずこれからの全国の舞台を戦えると信じていますので、気持ちの部分が大事だと思います。(シーズンを振り返って)ラグビープレーヤーにとってこんなに素晴らしい経験をさせていただけるのはもう本当に幸せの幸せですね。感謝の気持ちでいっぱいです。



※ 後日、選手みなさんの「選手権を戦った感想」などを掲載する予定です。


TEXT=木村彩香/PHOTO=青木智哉、木村彩香、金子恭大、宮谷美涼