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2023.01.05
ラグビー

[ラグビー] 「今年突破できなかった壁を乗り越える」インタビュー特集①・杉本海斗選手

選手権大会から1か月近く。すでに新チームが始動している。キャプテンを任されたのはタニエラ(総3=目黒学院)。バイスキャプテンには杉本(ラ3=東京)が就いた。齋藤(総4=目黒学院)主将の代から、次なるステージへ。今回は、そんなタニエラ、杉本に加え、ここまでチームを率いてきた齋藤、そして、タニエラ、齋藤とともにリーグ戦ベスト15に選出された神田(済4=東筑)へのインタビューをお届けする。



1日目は、新チームでバイスキャプテンに指名された杉本海斗(ラ3=東京)。今年度のリーグ戦では、コンバージョンキックでのキッカーを務める場面も多く、接戦での勝利に大きく貢献した。副主将としてチームの中心になる杉本は、「今年(2022年度)突破することができなかった壁を乗り越える」と意気込みを見せた。(取材日・12月19日、聞き手=青木智哉)


ーー1部昇格を決めた当時を振り返っていかがですか

1部に昇格して、やっと自分たちがこの舞台に立てるということでうれしい気持ちももちろんあったんですけど、1部に上がった時点でフィジカルの面だったり、もっともっとレベルの高い環境になるので。そういったところでは、もうもっともっと練習していかないといけないっていう気持ちがあったので、気持ちの部分すぐにそういった前向きに切り替えられたんじゃないかなと思います。あとは、コーチ陣が1部だったり、対抗戦というレベルを知っている人たちだったので。もちろん最初は不安もありましたけど、そういうコーチ陣がいるので、そういったところではついていけば、絶対に自分たちは大丈夫という気持ちがありました。


ーー新チームになって雰囲気や意識、気持ちの部分で変化はありましたか

今の4年生が当時も試合では中心で出ていて、本当にその代が残っているっていうのは本当自分たちにとっても大きくて。いっぱい(当時の)3年生が出てたんで。もちろん(当時の)4年生だったり、自分たちの3個上の先輩たちであったり、本当にOBが積み上げてきたものが、あのときの東洋だったので。本当に継続というか、気持ちの部分でもここからやるんだっていう気持ちがみんな統一できていたんじゃないかなと思います。


ーー全勝を飾った春季大会での収穫や課題はありましたか

全勝というのは目標だったので、本当に最後までちゃんと勝ち切れたっていうのは非常に大きかったんじゃないかなと思います。課題としては、ブレークダウンっていう接点の部分が1部では本当に大事になってくるので、そういったところはまだ少し春の段階ではちょっと甘かったのかなっていうのと、ディフェンスでも一発でプレーを切られるっていうところが少しあったので、チームディフェンスというのをもっと秋に向けて強化していきましたね。


ーーリーグ戦開幕直前の心境はいかがでしたか

もうリーグ戦の直前は自分自身もたぶんチームのみんなもそうなんですけど、本当にわくわくしていて、自信もありました。準備という部分でもしっかりと一日一日積み上げてきて、監督もたぶん言っていたと思うんですけど、その準備という部分は、もう本当に1年間という準備じゃなくて、もう4年生だったら4年間、3年生だったら3年間っていう、もうここに入学してきた段階からしっかりと準備ができていたので、本当にわくわくした気持ちでいっぱいでした。


ーー改めて、初戦の東海大戦を振り返ってみていかがですか

本当に自分自身、楽しみにわくわくしていても、試合が始まったら緊張というよりは、もう本当に楽しい、ここの舞台でやっていて本当に楽しいなっていう思いが強くて。最後もチームでやってきたこと、ディフェンスが本当に機能していて、通用していて。応援してくれている人たちも含めて、本当にチームで勝った、勝利だったなと感じています。


ーー途中からコンバージョンキックを蹴られていましたが

もともと4年の土橋郁矢(総4=黒沢尻工業)が正キッカーで、1番手だったんですけど。あの試合はちょっと風もあってなかなか決まっていなかったので、2人で話して、自分が2番手というのは始まる前から決まっていたので。もう自分は本当に代わりというか、そんなプレッシャーを感じずに途中から受けることができて、結局、変わった一発目はちゃんと決めることができたんですけど、2本目決めることができなくて。点差も2、3点で、ぎりぎりで、キッカーとしては少し課題も残ったんですが、自分に代わって1本目が決まっていなかったら、最後にちょっと狙えば逆転されていたかもしれないので。そういったところでは本当に決まってよかったなっていう安心感ありました。


ーー他にも印象に残っている試合はありますか

コンバージョンキックで自分的に本当にすごくうれしかったのは、やっぱり日大戦の最後のキックで一回やり直しがあって。本当にいろんなところで言っているんですけど、あまり緊張はしてなかったんですけど。本当にノープレッシャーっていうのもあって、リラックスして2本目を蹴ることができて。しっかりと決めて、仲間がみんな自分のところに駆け寄ってきてくれて、すごくそれがうれしくて、それは本当に頭の中にずっと残っています。



ーーPOM(プレーヤーオブザマッチ)にも選出された最終戦はいかがでしたか

お相手が立正さんということで、自分たちは2部から一緒に上がってきて、ずっと戦っているチームだったので。その慣れという部分では、しっかり対策もできていたので、緊張せずに普段通りやれば絶対に大丈夫だろうっていう自信もあったし、最初、1本目を取られてしまったんですけど、すぐに齋藤(総4=目黒学院)キャプテン中心に輪になって、自分たちも焦ることなく、「いけるだろう」みたいな。これはいけるなっていう、そこでしっかり気持ちの部分で乗って。チームの中で、この試合は絶対にいけるってなっていましたね。


ーーPOMの受賞には、ご自身の中でどの点が評価されたと感じていますか

ウイングとして、シーズン含めてトライを取りたかったんですけど、あの試合もトライすることができなくて。でも、キャリーの部分ではボールを持つシーンというのが今までの試合よりはちょっと多かったのかなと思うのと、あとは捕まっても、自分は耐えながら前に進むっていうのは自信があるので。そういった部分が評価されたんじゃないかなと思いますね。


ーーだんだんと応援の声も大きくなっていった印象ですが、どう感じていましたか

まず、試合に出れなかったメンバーが本当にサポートしてくれて、大きな声援というか、後押ししてくれたというのと、あとはやっぱり保護者であったり、応援してくれるファンであったり、そういった声援がすごく本当に力になったと感じています。また、選手権に出て、本当にどんどん応援してくれる人たちが増えてきていて、やっぱり結果を残せば注目してくれるし、そういった部分では本当にすごくうれしかったです。


ーー改めて、選手権を戦ってみていかがでしたか

早稲田戦ということで、下馬評というか、たぶん周りからは「早稲田の方が強いだろう」みたいな感じではあったと思うんですけど。自分たちはそんな気にしないで、絶対に勝てるという自信があったので、準備もしてきましたし、自分たちは(リーグ戦の最終戦から)2週間空いていたので。しっかり準備できていて、絶対に勝てるという自信があったのですが、やっぱり後半1本取って、その後に続けてトライを取っていれば、流れが変わってきたと思うのですが、そこやっぱり経験の差といいますか、相手にそこでトライを返されて、ちょっとこう着して、また続けて相手にトライされて。そこでやっぱり流れがだいぶ持ってかれたかなっていう印象がありました。選手権もたくさんの方に応援してもらって、本当に嬉しかったのですが、本当に申し訳ない気持ちと本当に悔しい気持ちでいっぱいでしたね。


ーー(今の)4年生はどのような先輩でしたか

4年生は全員そうなんですけど、本当に尊敬できる先輩たちが多くて。特に試合に出ていたメンバーほとんど変わらず2年間一緒に戦ってきて、本当にいい先輩たちで、普段から自分は関わりがあって、一緒に練習したり、一緒に買い物とか行ったりして、本当に仲が良くて、本当に思い出がいっぱいあるといいますか、仲良くさせてもらって。やっぱり4年生を勝たせてあげたかったっていうのが本当に強くて。さっき尊敬と言ったんですけど、ラグビーだけじゃなく、本当に日常生活、掃除だったり、言葉遣いだったり、全員がやっぱり大人というか、自分たちが受け継いだり、吸収できるという部分が本当に多い4年生だったなと感じています。



ーー新チームではバイスキャプテン(副主将)を務められるということですが、どのような経緯で選出されましたか

バイスキャプテンと伝えられたのは、(選手権の)試合が終わってロッカールームに戻ってちょっと経ってからで。ネラ(タニエラ(総3=目黒学院))と自分がロッカールームの外に呼ばれて、バイスキャプテンが自分で、キャプテンはネラだと。その一言だけだったんですけど、他の言葉はそのときはなくて。自分としては、新チームがもう始まってしまうんだと、もう4年生とできないんだという思いが込み上げてきちゃって、ちょっと泣いてしまって。経緯は何も言われていないので、分からないですけど。やっぱりネラも自分もずっと試合に出ていて、自分自身も何となくリーダー陣にはなると思っていたので。ずっと試合に出続けてきたので、そういったところをどんどんチームに何が足りていないかとか、自信をもっとチームに還元できたらいいなと考えてます。


ーー務めるにあたって、目標や決意、どのようなチームにしていきたいといった考えはありますか

まずは、自分もネラもあまり人前で話すっていうのがうまい方ではないので、試合プレーだったり、練習だったり、まずはプレーで見せていくのが一番いいのかなっていうのと、あとは、やっぱり話がうまくないからといって話をしないわけにはいかないので、そういったところをどんどん力をつけていって。来年(2023年度)もまた日本一を目指してやっていくので、今年(2022年度)越えられなかった大学選手権初戦を突破すること、そして日本一を目指して頑張っていこうと思っています。


ーーバイスキャプテンの理想像はどのようなものですか

対話することはもちろんなんですけど、そこより一番はやっぱり日常生活もそうなんですけど、体で表現というか、練習の姿であったり、臨む姿勢であったり、そういうところでどんどん周りの人たちに伝わっていけばいいかなと思います。


ーー齋藤主将や副主将の土橋さんからアドバイスなどはありましたか

特にアドバイスみたいなものはまだないんですけど、バイス(キャプテン)の土橋郁矢さんはいつも練習に付き合ってくれたりして、お世話になっていて、とにかく頑張れっていう応援は毎日してくれています。


ーー今年のチームから引き継ぎたい点、伸ばしていきたい点などはありますか

本当に今年よかったと思う、接戦で勝ち切れたところっていうと、やっぱりチームディフェンス。本当に我慢強いというか、そういったところは受け継いでいかないと、選手権という舞台には立てないということを強く感じたので、チームディフェンスは本当にしっかりと受け継いでいきたいですね。あとは、4年生が一気に抜けてしまうので、まだやっていないので分からないですけど、ラグビーの形としてはまた自分たちらしい、ちょっと違う形になるんじゃないかなと思っています。


ーー試合にメンバー入りしていた4年生が多く抜けるという状況にはどう感じていますか

本当にこれを超えるチームじゃないと日本一になれないと思うので。本当にもっと生まれ変わって、新しいチームにしていきたいと思います。


ーーまずは春季大会に向けて、チームとしてすべき部分は見つかっていますか

春でいきなりトップレベルのチームとたくさん戦うことができるので、まずはフィジカルの面でしっかり戦えるように、ウエイトといった部分を鍛えて。あとは80分間、全員が走り続けられるように、フィットネスを強化するっていうのが今は大事かなと思っています。


ーー個人的な部分では克服したい課題や伸ばしていきたい点はございますか

自分自身、ランが得意なんですけど、なかなか今年はランを生かせなかったので。ステップのキレというのをもっと良くしていかないと、1部とか強い相手と戦うには通用しないとすごく感じたので、そういったステップワークから鍛えるっていうのと、体はそこまで大きくないので、ディフェンスの部分ではフィジカル負けしないように、低く、誰よりも早く強いタックルができるように、もっと前で倒すというタックルができるように練習していこうと思います。


ーー改めて、来年の個人の目標とチームの目標を教えてください

個人としては、最後1年、もう本当にやるだけなので。もう誰がどう見ても、自分がウイングとして一番輝いていたと思われるような選手になることが目標で。チームとしては、個人としてもそうなんですけど、本当に日本一を目指してやっているので、まずはリーグ戦を勝ち切って、しっかり大学選手権につなげて、今年(2022年度)突破することができなかった初戦を乗り越えて、日本一になるように頑張っていこうと思っています。


ーー最後にメッセージをお願いします

まず今年、本当にいろんな方に東洋大のラグビー部というのを知ってもらって、応援してくださったので、本当にそれを感謝しています。そして、来年もっともっと全国の方々に東洋大学ラグビー部というものを知ってもらえるように、もっともっと強くなって頑張っていくので、今後ともご声援、応援をお願いしたいと思っています。



◇プロフィール◇

杉本海斗(すぎもと・かいと)

生年月日/2001・10・17

身長・体重/172㌢・76㌔

趣味/スマホゲーム、アニメやドラマを観ること

コンバージョンキックのときのルーティン/深呼吸をして息を整える

東洋大ラグビー部の魅力/試合に出ているメンバー出ていないメンバー含めて、本当に明るく雰囲気がいい。チームが一つになっているところに注目



◇インタビュー掲載日程◇

1月6日:タニエラ・ヴェア選手(2023年度キャプテン/リーグ戦ベスト15)

1月7日:神田悠作選手(2022年度主務/リーグ戦ベスト15)

1月8日:齋藤良明慈縁選手(2022年度キャプテン/リーグ戦ベスト15)


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PHOTO=青木智哉