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2023.02.26
陸上競技
[陸上競技]第99回箱根駅伝インタビュー9日目・木本大地
東京箱根間往復大学駅伝競走(以下、箱根)の8区を任された木本大地(済4=東洋大牛久)。見事昨年の雪辱を果たし、実に東洋大として3年ぶりの箱根での区間賞を獲得した。そんな彼が箱根の振り返りと共に監督や後輩への思いを語った
・木本大地
――今回のレースプランや設定タイムは
入りの1㌔を絶対に2'57前後で入り、湘南の直線を力を使わないようにして、遊行寺までを3'00前後でゆとりを持って走り、そこからは我慢をして出し切れる力を出し切るというプラン。設定タイムは64'20。
――レースを振り返って
正直できすぎな結果だとは思うが、昨年のリベンジを果たすことができた。最後の箱根となるので恩返しの走りをしなくてはいけないという気持ちがあったが、落ち着いてプラン通りの走りができた。特に前日の前田の力走にとても刺激を受けた。
――2年連続で佐藤選手からタスキを貰いましたがいかがでしたか
昨年は真優が上げてくれた順位を落としてしまい申し訳なさがあったが、今年はその分を挽回するという思いがあった。 やはり高校時代から苦楽を共にしてきたので襷の重さ以上に想いの重さを感じた。 互いに苦しいシーズンとなったが箱根という舞台でまた一緒に走ることができて嬉しい気持ちもあった。奇しくも昨年と同じ中継場で1年間色々なことがあったなと感慨深く感じた。
――去年の箱根と比較して、今年の箱根はいかがでしたか
人もかなり増え、1年生の時には沿道で観戦していた箱根が戻ってきたと感じた。 また昨年よりも注目や期待があり、プレッシャーも感じていた。 その中でも自分の走りというものができたので、昨年を経験していて本当に良かったと思った。
――区間賞を取った心境は
自分達の学年は駅伝での区間賞がなかったのでここで取ることができて嬉しい気持ちと、自分が区間賞を取った事に驚く気持ちがある。 4年間応援していただいた方々に一つ結果という形では恩返しができて一安心した。 前田や柏など復路希望の選手が往路を走ってくれたから自分が8区に回ることができたので、チームメイトにも感謝している。
――8区に決まった時の心境は
昨年も出走予定だったが急遽往路に回ったので、希望通りの区間を走ることができて嬉しい気持ちがあった。 自分の強みを活かせる区間なのでワクワクしていた。
――往路11位、総合10位についてどのように思いましたか
10位という結果について、本来ならこの位置でシード権争いをするようなチームではないので過去の先輩方や応援してくださっている方々に対して申し訳なく思う。 往路メンバーは状態が万全ではない中で、チームのために希望区間ではない区間を戦ってくれたので感謝している。 レースの流れと、チームの雰囲気が良くないと駅伝は戦えないということを実感した。
――今回の良かった点や悪かった点などありますか
良かった点は前半に余裕をもって遊行寺の坂を迎えることができたこと。開き直って前を追う走りができたこと。走る前から自分の気持ちをコントロールできたこと。 悪かった点は区間賞や区間記録を意識しな過ぎたため、最後に同タイムでギリギリの区間賞になってしまった点や、遊行寺を登った後に中だるみをしてしまったこと。
――酒井監督からどのような声かけがありましたか
ヒーローになっていくよ、恩返しをしよう、ラスト梅崎のためにも、など自分以外の誰かのためにという声かけがあった。 個人の区間順位も声かけの中にあり、区間賞も狙えるというような声かけだった。 自分の走り方の修正の声かけもあったが、特にチームのためにという気持ちを盛り上げてくれる声かけが印象に残っている。
――今期を振り返ってみて
体調不良や全日本予選での熱中症など、関東インカレ以降に走り以外の面で苦しんだ。 また夏合宿以降の疲労骨折などで出雲、全日本の出走ができずに苦しいシーズンとなったが、最後の箱根ではなんとか結果を出すことができ、諦めないことの大切さと周囲の支えの大きさを身に沁みて感じた。
――今年のチームを振り返ってみて
前田を中心として良いチームづくりはできていたと思う。前半の関東インカレまでは良い流れだった。全日本予選以降は松山の故障などもあり主力の足並みが揃わずに、箱根に近づくにつれて足並みが揃った昨年と比較して「想定外」に振り回されたと思う。
――同期の選手や後輩にメッセージをお願いします
同期がいなければここまで頑張ることも、走り続けることもできませんでした。特にマネージャーとして裏方に回ってくれた選手達に支えられて箱根を迎えることができたので、とても感謝しています。 後輩達へ、4年間を通して苦しい時期や楽しい時期など多くの変化があると思いますが、諦めずに自分自身と周りの人達を信じて行動し続けることで絶対にチャンスがやってくると思います。才能は不平等ですが与えられた時間は平等なので、自分が後悔しないような大学生活を送って、最後にやり切ったと胸を張って言えるように頑張ってください。
――卒業後はセキノ興産に就職されますが、何か選ぶ際のポイントなどありましたか
昨年の箱根で悔しい思いをした中で、ちょうど声をかけていただいたから。 YKKという北陸王者に挑む駅伝が楽しそうだったから。
――監督に向けてなにか伝えたい言葉はありますか
故障ばかりでほとんど練習もできていない自分のことを、4年間見捨てずに指導してくださりありがとうございます。 特に最後の箱根には間に合うかわからず不安な気持ちもありましたが、監督のおかげで強い気持ちを持って競技に取り組むことができました。走りのことだけでなく、人間的な成長もさせていただいて感謝しています。 鉄紺のユニフォームを着て走ることができ、東洋大学に来て本当によかったです。 4年間ありがとうございました。
◆木本大地(きもと・だいち)
生年月日/2000・4・29
身長・体重/168・55
走りの強み/思い切りの良さ