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東都大学野球春季2部リーグ戦・専大3回戦
5月18日(木) 等々力球場
専大4-5東洋大○
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 | |
専大 | 0 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
東洋大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 1X | 5 |
二塁打:西川(九回)
三塁打:宮下(八回)
・打者成績
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 |
1 | (中) | 橋本吏(総4=花咲徳栄) | 5 | 0 | 0 |
2 | (左) | 宮本(総4=大阪桐蔭) | 3 | 0 | 0 |
打左 | 里(総3=浦和学院) | 1 | 0 | 0 | |
打 | 楠(営3=佐久長聖) | 1 | 0 | 0 | |
3 | (遊) | 宮下(総2=北海) | 5 | 3 | 2 |
4 | (右) | 水谷(営4=龍谷大平安) | 2 | 0 | 0 |
5 | (指) | 池田(営2=三重) | 3 | 0 | 0 |
打指 | 船曵(総3=大阪桐蔭) | 1 | 1 | 1 | |
6 | (三) | 加藤響(総3=東海大相模) | 2 | 0 | 0 |
三 | 中村(営1=拓大紅陵) | 1 | 0 | 0 | |
7 | (一) | 馬込(法3=桐光学園) | 4 | 2 | 0 |
8 | (捕) | 政所(営2=天理) | 2 | 2 | 0 |
捕 | 鈴木(済2=長崎日大) | 1 | 0 | 0 | |
打 | 西川(営2=九州学院) | 1 | 1 | 0 | |
走 | 秋元(済2=木更津総合) | 0 | 0 | 0 | |
捕 | 後藤聖(法4=京都学園) | 0 | 0 | 0 | |
9 | (二) | 吉田(営2=龍谷大平安) | 2 | 0 | 0 |
打 | 嶋村(法3=栄北) | 1 | 0 | 0 | |
二 | 佐久間(済3=千葉黎明) | 1 | 0 | 0 | |
計 | 36 | 9 | 3 |
・投手成績
名前 | 回 | 球数 | 安 | 四死球 | 三振 | 失 | 責 | |
柿本(営3=東洋大姫路) | 2 0/3 | 53 | 3 | 4 | 2 | 4 | 3 | |
梅野(営3=佐久長聖) | 1 | 16 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | |
向高(営2=報徳) | 3 | 35 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | |
佐伯(総3=高岡一) | 2 | 24 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | |
勝 | 石上祐(法4=東洋大牛久) | 2 | 17 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
サヨナラ打を放ち、チームメイトに迎えられる宮下
今試合マルチ安打、そして同点のホームを踏んだ馬込
流れを渡さず勝利を手繰り寄せる投球を見せた石上祐
前日の試合で大勝を収め、完全優勝に王手をかけた東洋大ナイン。この試合でも、試合終了の瞬間まで諦めず、粘り強く戦い抜き、勝利を狙い続ける。
勝ち点5を獲得し、入れ替え戦に向けて弾みをつけたいこの試合。先発のマウンドに上がったのはこれまでリリーフとして登板してきた柿本(営3=東洋大姫路)。立ち上がりを無失点で切り抜けるも二回、四球とスクイズを決められ先制点を奪われた。
これ以上の失点は免れたい柿本だったが、三回。四死球と安打で無死満塁を招いてしまい、無念の降板。この大ピンチで井上監督はリーグ戦初登板の梅野(営3=佐久長聖)を投入。梅野はレフトへの適時打と犠飛、二塁への内野安打と味方の失策が絡みこの回3失点。梅野のリーグ戦デビューは、課題の残る一戦となった。
完全優勝に向けて負けられない中で、投手陣は援護を待つものの、打線は専大エース・西舘に悪戦苦闘を強いられ、7回まで無得点と試合を掌握できなかった。
梅野の跡を継いだ向高(営2=報徳)と佐伯(総3=高岡一)は走者を背負いながらも本塁を踏ませず。相手に流れを渡さない好投を見せ、野手陣の逆転を信じてスコアボードに0の文字を刻む。
試合が動いたのは八回。専大が西舘から須藤にチェンジしたことをきっかけに、東洋大ナインのバットが火を噴き始める。橋本(総4=花咲徳栄)が相手の失策で出塁しチャンスを作ると、2死二塁となり迎えるは宮下(総2=北海)。粘った末に放った打球はレフトの頭を超す適時三塁打となり、ようやく「1」が東洋大のスコアボードに。さらに、水谷(営4=龍谷大平安)が四球で塁に出て、なおも一、三塁とチャンスは続く。ここで東洋大ベンチは代打に船曳(総3=大阪桐蔭)を送り出す。船曳の振りぬいた打球は右中間へ。三塁走者の宮下が生還し、船曳は一、二塁間で挟まれるも、その間に一塁走者の水谷も本塁へ突入。ここまで専大バッテリーに無得点に抑え込まれていたが、この回一挙3得点。一気に1点差まで詰め寄り、東洋大ベンチは一気に反撃ムードとなった。
9回。逆転勝利に向けて、追加点が許されない場面でマウンドに上がった石上祐(法4=東洋大牛久)は相手の追随を許さず。0でベンチに戻り、野手のやる気を誘う。「絶対逆転するからな。いけるぞ。俺らやれるぞ」。水谷主将の声で覚悟を決め、攻撃へ。
馬込(法3=桐光学園)と代打西川(営2=九州学院)の連続安打で1死二、三塁と一本出れば同点、あるいは逆転の大きなチャンスを作る。ここで相手バッテリーがまさかの暴投。馬込が本塁に生還し、ついに同点に追いついた。この流れで逆転へとつなげたかったが、後続が打ち取られ逆転とはならず。試合の行方は今季2度目タイブレークにもつれこんだ。
逆転に向けて絶対に無失点で切り抜けたい十回。石上祐が犠打で1死二、三塁とピンチとされると、次打者に右飛を放たれる。ここで水谷が本塁への好返球を見せ、三塁走者の本塁生還を許さず。さらに、二塁走者が飛び出していたところをこの回から守備に就いていた後藤聖(法4=京都学園)が冷静に刺し、一気に3死とした。この好プレーでベンチの雰囲気は最高潮に達し、「ナイス水谷!」と激励の声が。好守備によって勝利への士気がさらに高まり、サヨナラ勝利、そして完全優勝への舞台は整った。
「サヨナラするよ!」。先頭の楠(営3=佐久長聖)の犠打が相手の悪送球を誘い無死満塁とすると、完全優勝の行方を託されたのは続く打者宮下。「とにかく甘い球は仕留める」と放った打球は三遊間を抜け、左翼前へ。打った瞬間、宮下は右の拳を突き上げ、満面の笑みを浮かべた。
タイブレークを制し、劇的なサヨナラ勝利で5つ目の勝ち点を獲得。完全優勝を決めた東洋大ナイン。しかし、「ここで終わりじゃない、まだ足りない」と現状に満足はしていない。1部は混戦を極めているが、入れ替え戦までは残り一か月となった。“一戦必勝”のスローガンもと、東洋大の戦士たちは一部昇格という目標達成のため、残り2勝を目指して進化し続ける。
◾︎コメント
・井上監督
(最後の粘りについて)最後のミーティングでも言ったんですけど、粘れたことは去年と違って良いことだと思います。しかし、上に上がりたいなら今日の西舘君のようないい投手を打てなきゃ上がれないよって話もしました。1部の学校も必ずエースはいるわけで。エースを打たないと、1戦目エースを打てない、2戦目で二番手の投手を打つ、3戦目エースを打てない。これじゃ上がれないですよね。今日勝ったことはいいことですけど、喜んでいる場合じゃないですよね。もしかしたら、先発→リリーフ→先発で3戦エースを投入して来るかもしれない。向こうも落ちてしまうという危機感がある。それが入れ替え戦なので(石上泰や後藤聖という主力がスタメンにいないという野球をしている)誰がいつケガするかわからないですし。そういう意味では、この専大3連戦は様々な選手を起用できたので、うち(東洋大)としてはとてもプラスになったと思います。(宮下について)せっかく専大カードで打撃が再び上がってきたのにこのカードが終わってしまった。けど、これが2か月のリーグ戦の難しさでもある。リーグ戦の中で強弱はもちろんある。その中でその強弱の波をいかに少なくするか。僕は一発の爆発はいらないと思っている。安定して活躍することが大事。(これからの一か月について)走ります。オープン戦も少しやります。試合勘があればいいので。一か月の最初の一週間は走ります。走ることしかしないです。(走ることの目的は)疲れを取ることと疲れさせることと両方の意味がある。
宮下(総2=北海)
(普段とは違うポジションだったけど自分の中ではどうだったのか)自分の中では動きやすさは結構あって、ノックをあまり受けてなくて不安はありましたけどやり切ることができました。(今日の試合について)流れが掴めなくて、少しダラダラしてしまった。1点返して、同点までは持っていきたいと思っていました。(最後の決める場面に打席に入った)真っすぐ待ちで、甘い球が来たら思いっきり打ちに行くという感じでした。(入れ替え戦までの1か月間の課題:個人)球の威力が強くなった時の対応の仕方。右方向を意識して、欲を出さず。単打でも繋ぐバッティングができるようになりたいです。(入れ替え戦までの1か月間の課題:チーム)バントが決められないので、一発で決められるようにすること。そして、打線がつながらなったときに守備から流れを作れるように、声を掛け合っていきたいです。(バントの練習は)ここ最近すごくやってます。失敗したくなかったので。(高校時代の経験などは)あまりやってないですね。打順も関係してたかもしれないですけど、あまりサインは出なかった。「井上監督:僕も学生時代はあまりバントをしたことはない。社会人になってすごく練習した。大学生の時は苦手だった。だからしつこく言う。」
TEXT・PHOTO=成吉葵