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第28回関東学生ラクロスリーグ戦 男子 2部Aブロック
8月15日(土) 大井ふ頭中央海浜公園 第二球技場
東洋大7-6東農大
果敢な攻めを見せた小林
川名は決勝点を挙げ力強くガッツポーズをつくった
初戦の相手は、昨季引き分けと実力が拮抗(きっこう)している東農大だ。前半から積極的にゴールを狙っていき、AT神野(ラ3・府中東)が先制点を奪うとそのまま1点のリードをつける。後半は、相手の猛攻に一時は同点にまで追い付かれるが、なんとか逃げ切り7対6で辛勝した。
立ち上がりからMF小林(ラ3・西武台)は相手陣営へ果敢に攻め込んだ。ゴール裏からのパスに抜け出し、直接シュートを打つ。ボールは惜しくも枠を外れたものの、この攻めの姿勢が緊張の抜けきらないチームにエンジンをかけた。それから開始16分にして、ようやくAT神野が待望の1点をもぎ取ると、続いてMF小林も追加点をもたらす。攻めの中核であるMF小林は、U-22の日本代表にも選出されている有力選手だ。その高い実力は確実にチームの支えとなっている。前日には「結構均衡した試合になると思うから、自分でいってしっかりと点を取れ」と先輩に声を掛けられていた。そして、2Qの同点に追い付かれた場面では、その期待に応えてみせた。MF川名(ラ2・西武台)の右サイドへのパスに上手く反応、相手GKの不意をつくシュートでゴールネットを揺らし、再度引き離すことに成功する。
エースの活躍で波に乗り、後半もさらにAT川又(ラ2・白鴎大足利)が得点を重ねた。このまま圧勝するかに思われたが、マンツーマンディフェンスが徐々に崩れていく。疲労が見え始めた4Qには4失点を喫し、6対6と昨季の悪夢が襲う。昨季はリードしている中、3Qで5点差あったスコアをドローにされ、勝ち点を奪え切れなかった。この苦い記憶から「昨年みたいに失点しないで、ここから本当にあげていこう。絶対集中を切らさないで」とMF小林はチームを鼓舞した。さらに、自らも攻撃の軸となり左サイドでボールをキープする。そのまま右サイドにボールを送ると、MF川名が決勝打を決め激闘の初戦を締めくくった。
最後に見せた華麗なゴール。残り時間も少ない中、焦りを感じさせない各々の研ぎ澄まされたプレーは、昨季よりも勝利に対する執着心の強さがあらわとなっていた。bite the bullet、どんな強い相手にも食らい付く。強敵相手でも貪欲に勝利を求めるチームスローガンの下、開幕戦の勝ち星を契機にこれからのし烈な戦いに挑む。
■コメント
・日景主将(ラ4・小平)
2年前の8月15日も、(今回と同じ)東農大相手に大井でウェルカムマッチだった。その時は負けてしまった。またその時の4年生が今コーチをやっているので、その方たちの分までリベンジしようと思った。自分たちは下剋上を狙うチームなので、初戦勝てば勢いに乗れると思った。過去2年間勝てていない相手に勝てたのは大きい。速攻で点を決めることが今年のテーマでもあるが、今試合はできなかったことが課題。途中追い付かれて流れが悪い中で、点を取れたことは成長した部分で収穫だと思う。(2年生が多く得点したことについて)本当に頼もしい2年生で、個々の実力がある。自分たちがパスを回せば決めてくれるので、楽しみだし頼もしい。(次に向けて)目標はあくまで1部昇格で開幕戦勝利することではないので、次に切り替えてしっかり準備していきたい。
・MF小林(ラ3・西武台)
リーグ初戦ということで3Q、4Qから足が動くようになった。東農大が相手で、オフェンスの部分では問題なかったが、ディフェンスで昨年とはメンバーが大きく入れ替わったので不安だった。しかし、攻めの部分でカバーできればと思ってプレーした。勝因は全然1Qと2Qで足が動かない場面で、シュートを決められたところだと思う。昨日先輩から「結構均衡した試合になると思うから、負けている場面とかあったら自分でいってしっかりと点を取れ」という言葉を頂いたので、そういう部分では、自分でいこうという気持ちでいました。自分は結構1対1が得意なので、1対1でしかけていけたら自分でいくことが強みとしてある。リーグ戦前までは、合宿でオフェンスだけやるポジションからディフェンスもやらなくてはならないポジションに変更になったので、そこからはディフェンスも強化していった。4年生が3人しかいない中で3年生、2年生で支えていかないといけない。そういう場面では今回、きちんと支えられたと思う。今季のチームは強い相手にも喰らいついていこうというスローガンを元に試合をしていきたい。次戦でもどんな相手にも屈しないように、自分から攻めていきたい。
・MF川名(ラ2・西武台)
序盤はいい雰囲気でやれていたが、終盤に追い付かれてからは悪い流れになってしまった。例年の東洋大ならここで耐え切れないシーンが多かったが、今日は最後まで踏ん張れていい試合だったと思う。(自身の決勝点について)同期の井本と川又が活躍していたので自分も絶対に決めると闘志を燃やしていた。決めれば勝ちという場面で主将がパスをくれたので、もうこれはゴールに行くしかないと思った。正直打ったあとは入ったかどうか分からなかったが、仲間が喜んでいるのを見て自分がピンチを脱出させることができたうれしさと、ゴールを決めた達成感と安心感が込み上げてきた。(ゴール後のクロスチェックは)去年のリーグ戦で先輩が決勝点を決めたが、その後のクロスチェックによって得点がなしになってしまったことがあった。もし同じことになったら本当に嫌だったし、正直自信もなくて怖くてただ祈っていた。(今日までの取り組みについて)宙実さん(小林)とは高校も一緒だし、U22にも入っていて自分としては目標としている先輩。やっぱりいつかは抜かしたい存在なので、去年、宙実さんが獲った新人賞を自分が獲るという気持ちでやってきた。(次に向けて)今日は1点しか決められなかったので次は3点以上決めてもっとチームに貢献して、今日みたいな苦しい試合にならないようにしたい。
TEXT=山下華歩 PHOTO=内田りほ、枦愛子