記事
[硬式野球]東都大学野球 秋季1部リーグ戦・中大1回戦
10月17日(火)神宮球場
中大2ー3東洋大○
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 | |
中大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 |
東洋大 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1x | 3 |
二塁打:池田(9回) 三塁打:水谷(2回)
細野、○一條ー後藤
・打者成績
打順 | 守備 | 名前 | 打 | 安 | 点 |
1 | (左) | 宮本(総4=大阪桐蔭) | 5 | 1 | |
2 | (遊) | 石上泰(営4=徳島商) | 5 | 2 | |
3 | (中) | 橋本吏(総4=花咲徳栄) | 3 | 1 | |
4 | (右) | 水谷(営4=龍谷大平安) | 4 | 1 | |
5 | (一) | 池田(営2=三重) | 4 | 1 | |
走二 | 佐久間(済3=千葉黎明) | ||||
打 | 楠(営3=佐久長聖) | 1 | 1 | 1 | |
6 | (二)三 | 宮下(総2=北海) | 4 | 2 | 1 |
7 | (指) | 花田(総2=大阪桐蔭) | 4 | 2 | 1 |
8 | (捕) | 後藤(法4=京都学園) | 2 | ||
9 | (三)一 | 吉田(営2=龍谷大平安) | 3 | ||
計 | 35 | 11 | 3 |
・投手成績
勝敗 | 名前 | 回 | 球数 | 安 | 四死球 | 三振 | 失 | 責 |
細野(総4=東亜学園) | 9 | 125 | 2 | 3 | 9 | 2 | 0 | |
勝 | 一條(総3=常総学院) | 1 | 9 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
執念の一打を放ち、チームをサヨナラ勝利に導いた楠
9回を投げて被安打2で自責点0、さすがの投球で試合を作った細野
貴重な先制打を放った宮下、彼の攻守での活躍がチームには欠かせない
今季打撃好調の花田、本試合も同点打を含むマルチ安打を放つ
4連敗。この数字が重くのしかかる。優勝の可能性が消滅し、入れ替え戦の足音が迫りくる中で迎えるリーグ戦最終カード。対戦相手は中央大学。昨年春の入れ替え戦で激闘の末、敗戦を喫した因縁の相手である。入れ替え戦を回避するため、あの頃の悔しさを胸に勝利をつかむため、絶対に負けられない最終決戦の第一戦が幕を開けた。
第一戦はエース同士の投げ合いによって、白熱の投手戦が繰り広げられた。
先発細野(総4=東亜学園)は初回、2回を三者凡退。絶対に負けられない戦いで好調なスタートをきる。
先制点が欲しい打線は2回。先頭の水谷が右三塁打を放ち、チャンスメイク。この走者を絶対無駄にしたくない中で1死を奪われるも次に打席に入るのは宮下(総2=北海)。振りぬいた打球は中前に落ちる先制打。何としても欲しかった1点が東洋大のスコアボードに刻まれ、宮下はガッツポーズ。ベンチ前で細野も拍手で称えた。
その後、両投手の好投が続き試合は1点リードのまま終盤7回へ。7回、先頭打者の強い打球を宮下が弾いてしまい出塁を許すと、次打者の打球も痛恨の失策。その後、3ゴロで一死奪うも、次打者に1、2塁間を抜ける適時打を放たれ逆転を許す。ここまで守ってきた1点リードが1点ビハインドとなり形勢逆転。苦しい状況となった。
この苦しい場面でも、東洋大ナインは誰1人諦めていなかった。9回裏、先頭池田(営2=三重)が右中間への二塁打で出塁すると、先ほどミスをしてしまった宮下が変化球に食らいつきながら中前打でチャンス拡大。ここで迎えるは今季打撃好調の花田(総2=大阪桐蔭)。放った打球は右前適時打に。2年生トリオの活躍で試合を振り出しに戻し、ベンチは最高の盛り上がり具合。何とか波に乗ってサヨナラ勝ちに結び付けたかったが後続が凡退。惜しくも逆転とはならず、試合はタイブレークへ突入。
10回、ここまで投げ抜いてきた細野からバトンを受け取ったのは一條(総3=常総学院) 。「強い球でねじ伏せてほしい」という監督の期待通り、四球は出したものの無失点。裏の攻撃へ望みを託す。
裏の攻撃。先頭橋本(総4=花咲徳栄)が犠打で走者を進めると、水谷(営4=龍谷大平安)の申告敬遠で1死満塁とサヨナラのチャンス。井上監督はこの場面で楠を打席へ。「ここっていう時の楠のバッティング、バットに当てる技術はチームでも抜けてるので、」と楠に大きな期待を寄せて送り出す。東洋の応援と中大の応援、両軍ベンチから飛び交う選手たちの声、様々な音の混ざり合う中で楠は「ここで決めたい」と集中して打席に望む。そしてバットを振りぬくと、打球はライトへ。三塁走者の宮本(総4=大阪桐蔭)が生還して試合はついに決着。劇的なサヨナラ勝ちで中大に先勝。楠は笑顔でナインの元へ駆け寄った。
絶対に負けられない戦いで劇的なサヨナラ勝ちを収めた東洋大ナイン。殊勲の一打を放った楠は「今日は絶対落とせないって一戦で、そこを勝ちきれたのは明日にも繋がってきますし、来年以降にも繋がって来る試合になったかなと思います。」と今日の勝利がどれだけ大きいものなのかを語った。このカードを勝ち越せば、自力で1部残留を決めることができる。細野の好投によって、中継ぎ陣も準備万全。今日の勢いそのままに明日の試合、全員野球で全力で取りに行く。
■コメント
・井上監督
(サヨナラ勝ちとなりましたが振り返っていかがですか)うちに関しては背水の陣じゃないですけど、連敗したら確実に入れ替え戦、最下位が待っているので、開き直ってとにかく選手に最後の執念を見せてくれということで試合に臨みました。とうぜん厳しいゲームになることは想像していたんですけど、最後勝ちきれて良かったです。(逆転されて9回裏追いつく、あそこでもう一本)そうですよね。それがうちらしいのかうちの弱さなのか。まだまだその辺は、リーグ戦でチャンスで打ててないケースが多いので鍛える余地がある。(最後は代打で楠選手を送り出しましたが何か声をかけましたか)本当はスタメンでも出れるぐらいの力は持っているんですけど、ここっていう時の楠のバッティング、バットに当てる技術はチームでも抜けてるので、彼に期待をして。しっかり結果を出してくれて嬉しいです。(先発細野に関して)落ち着いて投げてたと思います。安心して見てたかというと、ちょっとそうでもないかもしれないですけど笑 1点差で負けてても細野で行こうと決めていた。タイブレークに入ったので切り替えて一條に任せたんですけど。(前に立てと声をかけていた)中大・岩本がフォーク連投で来てて、宮本が同じ空振りをしていて。楠には前に立てと。できる対策がこれしかないので。(一條に託した理由)一條の球も強いですし、力でねじ伏せてくれぐらいの思いです。うちの投手陣、豊富にいるのでみんな使いたいんですけど、なかなか使う機会がなくて。使ってないから信用してない訳では無いです。(一條の出来は)良かったです。痺れる場点で抑えた。
・楠
(最後の打席、どんな思いで打席に向かいましたか)投手も頑張ってましたし、できるだけここで決めたいって気持ちでした。(打った瞬間)抜けたって思いました。(球種は)ストレートです。(負けたら終わりという戦いが続く中で今日の勝ち)入れ替え戦もかかっていて、今日は絶対落とせないって1戦で、そこを勝ちきれたのは明日にも繋がってきますし、来年以降にも繋がって来る試合になったかなと思います。(監督の前に立てというアドバイスは)これのおかげです。
・細野
(今日の投球を振り返って)走者を出しながら何とか粘って粘って投げれたと思います。(中大・西舘とのドラフト上位候補との投げ合い、気になさってないとは思いますが意識はありましたか?)ドラフト候補対決はどうでも良くて。昨年中央に負けてるので、負けたままじゃ終われなかったので絶対勝つって気持ちで臨みました。(その結果の勝利)素直に勝てたので嬉しいです。(楠選手の打席ではどんな応援を)空振りしてたんですけど、いつも2ストライクから打つことが多いので、ここからだぞって思いながら見てました。(ドラフト1週間前ですが投球に意識は)100%気にしないは無理だったんですけど、なるべく試合に集中してやってました。
TEXT・PHOTO=成吉葵