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第97回関東大学サッカーリーグ戦1部第19節
10月28日(土) 東洋大学朝霞キャンパス・サッカー場
東洋大1-3流経大
〈得点者〉(アシスト)
88分 高橋輝(中山)
〈出場メンバー〉
▽GK
前田宙杜(国3=京都橘)
▽DF
田頭亮太(国4=東福岡)
稲村隼翔(国3=前橋育英)
徳永祟人(国2=前橋育英)
山之内佑成(国2=JFAアカデミー)→81分 荒井涼(国2=日大藤沢)
▽MF
清水祐輔(国4=柏U-18)
本間洋平(国4=札幌U-18) →81分 中山昂大 (国3=大宮U18)
新井悠太(国3=前橋育英)→73分 梅津凜太郎 (国3=鹿島Y)
▽FW
小野田龍剛(国4=常葉大橘)→73分 山岸楓樹 (国4=前橋育英)
高橋輝 (国1=大宮U18)
町田悠(国3=三菱養和SC・Y)→64分 増田鈴太郎(国3=東海大相模)
高橋輝は3試合連続ゴール。彼を止められる守備陣は現れるか
中山は常にハーフスペースを狙い1Aを記録した
左サイドで果敢に突破を図った新井
第97回関東大学サッカーリーグ戦(以下、リーグ戦)1部第19節は、ホーム朝霞で流経大と対戦。拮抗(きっこう)した試合展開の中、前半を0-0で折り返した。しかし、後半に守備で崩れ3失点すると、高橋輝のゴールで1点を返したが1-3で痛い敗戦となった。
チャンスはいきなり訪れた。試合開始3分、クリアしたボールが右サイドの空いているスペースに落ちると、高橋輝が拾いすぐさま縦に仕掛ける。そこに走ってきた町田が縦のパスに反応して、ゴール左隅にシュート。早い時間帯でのゴールに会場が沸いたが、ここは惜しくもオフサイドの判定。いいカウンターを見せただけに選手たちは悔しさを見せた。続く19分、左サイドを稲村がドリブルで駆け上がり、新井にパスでつなぐ。新井は相手DF2人を引きつけペナルティーエリア内に進入すると、やや横向きの体勢から右足を振り抜いてシュート。ここは思い切りのいいシュートだったが、惜しくもバーの上を通り過ぎた。その後は流経大に何度かロングパスを通されるもGK前田宙のナイスセーブでなんとかしのぎ、0-0で前半が終了した。
後半はスタートから両チーム速めの攻撃で仕掛ける。スコアが動いたのは54分。敵陣でファウルを取られ相手GKにボールを蹴り込まれると、ヘディングされたボールに流経大のFW松永がワンタッチで抜け出し倒れ込みながらゴール。先制点を許した。それでも直後の57分。左サイドでボールを持った新井がゴロで中に入れると、町田が足裏で高橋輝にパス。いい流れの攻撃に見えたが、高橋輝のシュートはゴール上へと浮き得点とはならず。続く63分、左サイドでのFKにゴール前へ人数をかけると、大きくクリアされたボールを相手にヘディングで拾われ、2失点目。東洋大は77分にも失点し、終了間際の88分。「中を見た時に選択肢が多かった」と中山がゴール前にうまく入れたパスを高橋輝が押し込んで1点を返すも1-3で無念の敗戦となった。
前半は互いの力が拮抗(きっこう)した試合だったが、後半に守備が崩れ3点を追いかける苦しい形となった東洋大。今節を終え、インカレの出場ラインとなる6位の桐横大を勝ち点2差で追いかける展開となった。次戦に向けてGKの前田宙は「責任を持ってあとはやるだけ」。ここ3試合で4得点と絶好調の高橋輝も「4年生を全国に連れて行きたい」と気合十分だ。リーグ戦残り3試合で勝利を重ね、なんとかインカレの切符をつかみ取りたい。
▪️コメント
井上監督
結果としては残念な結果の試合でした。点差ほどの差があるゲームとは思えないですけど、結果的には順位が上のチームと下のチームの差が相対的に出たと思う内容でしたね。
(1点を諦めず取りに行く姿勢を全員が見せて結果1点を奪えたことは、得失点などを考えても良いことか)
もちろん、ポジティブに捉えられる部分ではあります。3失点してからというところがちょっと残念なところだなと思います。
(2失点目の後というのは選手たちでもつらさが出た部分ではありましたか)
1失点目、2失点目もそうですが、相手に崩されたという形ではなくて、一つのアクションから流れが変わってしまっているという。ロングボールの対応というところが一つと、自分たちのセットプレーからのカウンターから。2失点目は致命的なミスとなりましたね。
(2失点目のようなミスをした後、精神的に崩れないようにどのようなことが大事だと思いますか)
なかなか難しいと思います。チームとしてはミスした選手以外の選手がどう挽回できるかというところですが、ミスした本人が一番ミスを理解できているポジションにいるはずなので。そこは精神的なものを求められていると思います。
(得点シーンは中山選手が頻繁にサイドバックや空いたスペースに入っていって功を奏した形になりましたが、彼の動きというのは彼自身で動いたものですか)
チームとして取りにいきたいスペースというのは共有していて、そこを彼は徹底してその役割を担ってくれているのかなという風に思っています。
(その後にしっかり詰めていた高橋輝選手もですか)
そうですね。
(次節の日大戦に向けて)
残り3試合という中でインカレ出場権を得るには、勝ち点を落とすということはちょっと。他の対戦相手の今日の結果を知りませんが、いずれにしても我々は追っかけて、なんとか一つでも追い越してということができるかどうかなので。失点のところに修正を加えないといけないと思います。
前田宙杜(国3=京都橘)
インカレ出場をするにあたって勝たなければいけない試合でしたが、相手の堅い守備を崩せずに、最終的に自分たちが崩れて3失点して。自分たちのリズムをつくるのが最後の5〜10分ぐらいからだったので、もうちょっと早いペースで自分たちでリズムを作り上げれていたらいけたのかなと。もっと自分たちのできることや武器が発揮できていたところができなかったと思います。
(2失点目をする前までチームのムードも良かった。前田選手も積極的に前に出てクリアしていましたが、そこは自分のストロングポイント)
前に出ること自体はそんなストロングポイントだと思いません。自分のストロングポイントがどれかと言われたらはっきり分かりませんが、今日みたいな相手だとサイドバックの前のスペースが空いていたので、そこは積極的に付けて行こうと思っていたのと、2失点目のところで僕ができたことは、亮太(田頭)の一枚残しと別に、もう1人残して相手より有利な状況を作ってあげること。またはもし2失点目のようなミスになった時に、帳消しにして。自分たちのリズムを崩さないポジションが自分のポジションだと思っているので。それができなかったのはまだまだだと思います。
(前節や今節も危ないシュートを止めていたと思いました。次も見ていけば挽回の機会はこれからもありますよね)
挽回というか、あとは勝たないといけない試合だけなので。前節も失点はしているので、最後勝って終わってインカレにつなげるために、代表として出ている選手の役目だと思うので、そこをやっていけたらなと思います。
(川上選手とのインタビューで前田選手の話も出ましたが、足元についてアドバイスなどは)
自分は(足元が)できる方ではないんですけど。(川上に)聞かれて自分の感覚として、こういうポジションを取って空いているな、付けてあげようという話はするし。逆に自分も幹太(石黒)や康平(川上)に足りないところは補って話し合っていって、全体で成長していくポジションであると思うので。そこは常に練習から話し合っています。
(キーパー陣を含め全員で成長していく)
そうですね。誰が出ても一緒のようなチームを作っていくのは大事だと思うし、そこでギクシャクしても何も意味がないので。いいところを盗んで、悪いところはみんなで指摘しあって。完成度が高いチームを作っていくことは大事だと思います。
(次節の日大戦に向けて)
もう後はないので。勝たなければいけないことは分かっているし、周りからも求められていることも分かるので、責任を持ってあとはやるだけなので。引き続き応援してもらえればなと。
・中山昂大 (国3=大宮U18)
今回はスタートでは無かったんですけど。その中で前半、あれだけチャンスを作っている中で決めきれないで、後半になって(流経大に)点が入って。自分たちの悪いところ、ズルズル失点してというのは、ここ最近無かったんですけど。前節良かった部分が、今節できなかったのは課題かなという風に意識しています。
(投入時の指示を教えてください)
自分が入る時は0-3だったので。とにかく守備よりかは攻撃にドンドン出て行ってという話をされました。あとは、練習でやったことをという話を。
(サイドバックとFWの間のスペースによく入り込んでいました。あれは練習でやったこと)
そうですね。あそこの脇には(相手の)CBがあんまりスライドして来ないので。ああいうところが空いてくるというのは練習の中でやっていたので、それを意識して立ち位置をとっていました。
(あのスペースに中山選手がいることは多いですよね)
自分は後ろで受けることよりも、ああいうところで、向いて受ける方が得意というか。それが特長として出るので、意識して入っています。
(1点目のアシストの時も意識して)
あそこが空くというのは、チーム全員で共有されていたので。あとは相手の足が見えたので、キックフェイントで抜いて、という感じです。
(あそこでフェイントをかけたのは強心臓)
一個前のシーンで、自分が先に蹴っちゃったんですよ。そういうのもあって、相手が先に滑ってくれたと思うので、ラッキーだったなと。
(布石としてシュートを打つことはありますか)
ああいう場面ではあんまり無いんですけど。あれだけ引いている相手だと、シュートを打つと、相手も(シュートを)打ってくると思って前に来るので。そしたらもう一回背中が空いてきたりとかはすると思うので。そういうのは意識してやっています。
(あのクロスに高橋輝選手が詰めてくれていたのもありがたかった)
(高橋輝は)点が取りたくて仕方がない感じなので(笑)。ずっと点を取っているのもありますし、いい得点だったかなと思います。
(あのシーンの前には、クロスを上げても味方がいなかったシーンもあった。得点シーンではしっかり味方がいたのはうれしかったですか)
中を見た時に選択肢が多かったので。そこはチームとして良かったです。
(ミスをしっかり試合の中で改善できているのは成長)
そうですね。試合の中で改善できるのは良いかなと思います。
(次節に向けて)
スタートで出るか、今日みたいに途中から出るかは分からないですけど、この悪い流れを1試合で断ち切れるように。ちゃんと次に勝って、インカレ出場に向けて全員でやっていきたいなと思います。
・高橋輝 (国1=大宮U18)
前回言ったように勝ちたいゲームで、絶対に勝ち点3がほしかったんですけど。前半は自分たちの時間帯も作れたし、相手の時間帯もあったし。正直、五分五分な感じで。流経大は後半が強いというのは分かっていたので、そこをみんなで共有していたんですけど、先制されてしまって。そこから自分たちの今季の課題である、(点を)取られてからの戦い方というところで、集中力が欠けちゃった部分もあるのかなと思って。自分自身も0-1になった時にチャンスが来て、決めていればもっとチームが楽になった試合だと思うし、そこは責任を感じています。
(拓大戦後に、決めていればハットトリックのチャンスを外したシーンについて「あれが競っている展開だったら」という話をしてくれました。それが今日みたいな試合だった)
そうですね。自分があそこで決めていれば、1-1で振り出しに戻して。多分、同点に追いついていれば勢いはあると思うので、本当に申し訳ないです。
(1失点目より2失点目の後の方が精神的にはきつかった)
1点取られる分にはまだダメージが少ないんですけど。2点決められるとちょっと難しくなるし。今日なんかは3点目でとどめを刺されて。最後まで諦めなかったんですけど、精神的には苦しくなりましたね。
(東洋の武器の一つは点差が付いても諦めない心か)
どのチームもですけど、負けていたら攻めないといけないし、最後の攻めを試合の最初からやるべきだし。そこは武器というか、その状況に持っていく前に、自分たちで試合の結果を決めてしまう。勝つゲームに持っていかないといけないと思います。
(前半までは東洋のゲームでしたよね)
時間帯によっては、ずっと攻めている時間帯もあったし、ほぼほぼ攻めていたし。相手もそんなにチャンスは多くなかったので。セットプレーとかは結構チャンスだったので、前半で1点取れれば、もっと試合を有利に進められたかなと思っています。
(SBS杯で同じチーム(U-20関東大学選抜)だったGKデューフエマニエル凛太朗(1年・流経大)選手からゴールを奪いました。彼から点を奪う時に意識したことは)
特にはそんなに強い意識はないですけど、毎試合毎試合点を取りたいなという風には思っているので。どんなキーパー相手にも、もちろんエマは素晴らしいキーパーだけど、、、まぁ、若干意識していましたね。
(どのようなところを意識しましたか)
結構仲が良いので。同じ1年生ですし、そこは負けられないという気持ちはあります。1点取れたのは良かったんですけど。そこにチームの結果が付いてこなかったのは、悔しいです。
(点は取っても、チームが勝つのが一番)
個人の結果もそうですけど、やっぱりチームで何かを成し遂げたいので。そこに自分の結果が付いて来ればいいと思っている。チームの結果を最優先に戦っています。
(今回の得点で新井選手と並んでチーム内得点王(リーグ戦のみ、7点)今の気持ちは)
勝てれば、良かったんですけど。チーム内得点王ということで少しはチームに貢献できているのかなという風に思うし。次は本当にチームを勝たせるゴールやアシストだったり。アタッカーの選手なので、目に見える結果は大切だなと思うし。今までやってきた4年生を全国に連れて行きたいし、それは自分が責任を持ってやっていきたいなと思います。
(次節に向けて)
本当に失うものはないと思っているので。勝てれば、まだまだ分からないですし。本当に勝つだけかなと。内容も大事ですけど、結果が一番大事なので。そこにしっかりこだわっていきたいなと思います。
[次節試合予定]
第97回関東大学サッカーリーグ戦1部第20節
11月4日(土) vs日大 スポーツ日大アスレティックパーク稲城サッカー場 14:00キックオフ
※関東大学サッカー連盟公式Youtubeチャンネルにてライブ配信が予定されています。
TEXT=青柳そよか、PHOTO=髙橋生沙矢 、鈴木真央