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第97回関東大学サッカーリーグ戦1部第21節
11月11日(土) 桐蔭学園多目的グラウンド
桐横大1-2東洋大
〈得点者〉(アシスト)
65分 小野田(新井)
90+2分 鍋島(小野田)
〈出場メンバー〉
▽GK
川上康平(国4=JFAアカデミー)
▽DF
田頭亮太(国4=東福岡)
稲村隼翔(国3=前橋育英)
徳永祟人(国2=前橋育英)→90+2分 荒井涼(国2=日大藤沢)
山之内佑成(国2=JFAアカデミー)
▽MF
高橋輝 (国1=大宮U18)
本間洋平(国4=札幌U-18)→86分 中山昂大(国3=大宮U18)
清水祐輔(国4=柏U-18) →89分 渡井翔琉 (国3=千葉U-18)
新井悠太(国3=前橋育英) →73分 増田鈴太郎(国3=東海大相模)
▽FW
小野田龍剛(国4=常葉大橘)
町田悠(国3=三菱養和SC・Y)→61分 鍋島暖歩(国2=長崎U-18)
同点ゴールを決め雄たけびを上げる小野田(右)
鍋島(画面奥)は気持ちでエンブレムゴールを決めた
逆転に歓喜する東洋大の選手たち
逆転弾後にピッチに乱入しイエローを受けた新井
3試合ぶりの勝利に笑顔を見せる稲村と中山(中央)と山之内(右)
関東大学サッカーリーグ(以下、リーグ戦)第21節の相手は、今季の全日本大学サッカー選手権(以下、インカレ)出場権を直接争う、昨季のインカレ王者・桐横大。勝てばインカレ出場権内浮上となる試合だが、先制点を許してしまう。しかし、エース・小野田の1G1Aでアディショナルタイムに逆転。次節の法大戦に勝利すれば、5年ぶりとなる日本一への挑戦となるところまで歩みを進めた。
シーズンを通してアディショナルタイムに苦しめられてきたが、大一番で見事な大逆転を見せた。試合前、勝ち点2差で桐横大を追っていた東洋大は、今節に勝てばインカレ出場権内に順位を戻すことができるという状況。勝てば天国、負ければ地獄。井上監督も「ウォーミングアップから硬さがあった」と振り返る通り、イレブンの中でも決戦への緊張が垣間見えた。しかし、試合に入ってしまえば、序盤からボールを握り開始5分で小野田が決定機を迎えるなど、緊張などどこ吹く風。セカンドボールへの対応も鋭く、サイドでは高橋輝と田頭、新井と山之内のコンビが相手を揺さぶり続ける。得点の匂いが常にする展開だったが、インカレ王者が意地を見せた。21分、川上が決定機を止めたことで訪れたCKを直接頭で合わせられて失点。「相手のストロングがセットプレーというのが、分析であった中での失点」と対策したはずの、相手の得意なパターンで先制点を許したことを悔やんだ。それでもイレブンは肩を落とさない。同点にこそ届かなかったものの、追加点を許さず。インカレへの希望が見える状態で前半を終えた。
今シーズン、常にチームが苦しい時に得点を奪ってきた背番号9が窮地を救う。自力でのインカレ切符獲得の為、どうしても勝ち点3がほしい東洋大は、強みであるサイドからの攻めを見せるも、桐横大の堅守を崩せない。それでも、腐らずに幾度となくサイドを攻め崩す諦めない気持ちが同点弾を生む。65分、稲村が新井へパス。その後新井は正対する相手DFをぶち抜くと、一気に桐横大陣内深くまで切り込みアーリークロスを上げる。そのボールに小野田が滑り込みながら右足で触れゴールイン。「求められているところで決めてこそのストライカー」と相手にとって危険なゾーンに入り込む能力を、遺憾なく発揮し、得点が一番ほしい場面で結果を残した。小野田の一撃で最悪の事態は回避したものの、勝ち点3には後1点が必要となる。死ぬ気で勝ち越しゴールを決めに行く東洋大イレブンと前回王者のプライドに懸けて、インカレ出場の枠を守りたい桐横大。激闘の中で迎えたアディショナルタイム。ドラマが待っていた。90+2分、稲村のクリアからカウンターが発動。ボールを運んだ中山が冷静に、左サイドへ流れていた小野田にボールを託す。すかさず小野田がクロスを上げると、一人飛び込んだ味方に釣られて桐横大はクロスに飛び出すことができない。流れたボールはフリーの鍋島の前へ。「気持ちで押し込んだ」と胸から飛び込み殊勲のエンブレムゴール。その瞬間、ヒーローになった鍋島はベンチ脇で待つ仲間たちの歓喜の輪にダイブする。17節の東海大戦(2ー2)、前節の日大戦(2-2)とアディショナルタイムでの失点に苦しんできた中で、今節はその悔しさを晴らすアディショナルタイムでの逆転弾となった。その後は、前節の反省を生かし「前じゃなくても良いから一旦プレーを切ること」と川上が仲間に呼びかけるなど、シンプルにボールをクリアすることを徹底。同点に追いつかれることなく試合をクローズし、前節からの大きな「前進」を見せつける結果となった。
今節に勝利したことで、東洋大は6位となりインカレ出場権内に入った。これにより、次節勝利でインカレ確定。引き分けや負けでも、桐横大が負ければインカレ確定という条件となる。しかし、選手たちの中には勝利の二文字しかない。次節の法大は昨年のインカレ出場を懸けた最終戦(●2ー3)で敗北を喫(きっ)し、インカレを逃すことになった因縁の相手だ。当時3年生だった川上は「ピッチに立つこともできなかったし、それで4年生が引退。本当に地獄というか」と悔しさを思い出し「リベンジするという気持ちしかない」と闘志を燃やす。東洋大が目指すのは「インカレ優勝」。新たなステージに進むためには、大きな壁を突き破る必要がある。法大という関東屈指の名門の壁を崩し、日本一への挑戦権をつかめ。
▪️コメント
井上監督
なかなか難しいというか、少しウォーミングアップから硬さがあっ
(硬かったというのはどの部分で感じましたか)
ちょっとおとなしかったですね。いろいろなことを考えながらやってい
(それが取れてきたかなと感じたのはどのタイミングでしたか)
試合の入りは悪くはなくて、先に小野田のシュートとか、決定的な
(そのような時の小野田選手の決定機に持ち込む力というの
1本のパスからでしたけど、そこで自分たちの方に持ってこれた
(今節の点は新井選手のクロスからになりましたが、選手たちの
そうですね。このところ、前の新井と同サイドの山之内が組んで、あのサイドから攻撃を仕掛けるということがだいぶスムーズになって
(連係の向上というのは練習でどうにかなるのか、それと
トレーニングの中ではいろいろな形をいろいろな組み合わせでやっている中
(FWの選手たちも、あそこのスペースに飛び込んでくること
外からの攻撃のトレーニングももちろんしていますし、クロスに対
(勝ち越し点を決めたのが2年生の鍋島選手。重要な
彼は危険なところにというか、相手の沈みに対して危険なところに入っていくというか、そこを
(好循環ですね。期待して送り込んで、結果を残して)
そうですね。そうならないこともありますけどね(笑)
(期待して送り込んで成功
僕自身がトライをさせて、実際に彼らがトライをして、いい方向に
(1回だめでもそこは反骨心でまたということですね)
相手があることなので。自分のやりたいことを出させてくれる時も
(次は法大戦。今季の法大をどのように見ていますか)
今シーズンに関しては下位にいますけれども、個々はすごく能力の
(その勝利がインカレ出場への勝利だったら、最高)
最高ですね。選手たちにも言いましたけど、最後の試合まで他力じ
(インカレに出た世代というのはもう卒業してしまった世代ですも
そうですね。過去に唯一出た試合(2018年)の後、私が来て、(コロナで)総理大臣杯やインカレがな
(昔、田頭選手がインカレ優勝を狙っているという話をしてくれました。
4年生にしてみれば、この時期は自分たちの集大成と
(最後に法大戦への意気込みをお願いします)
さっき、選手たちにも言いましたけど、今日は最終的には0ー1か
(今節の勝利をさらにいかせるように)
そうですね。そのために。今節負けていたらその先につながるとい
・小野田龍剛(国4=常葉大橘)
もう勝つしかないという試合で、全員で最後まで走り切って、勝てたことが一番収穫だったなと思います。
(1点目のシーン。クロスに飛び込む形でしたがあの形は得意としている)
今日は最後1トップだったんですけど、FWとして必要なところで。最後悠太(新井)が良いボールをくれたので、入って良かったです。
(チームとして一番求められているところでゴールできることは、ストライカーとしてこの上ない喜び)
そうですね。求められているところで決めてこそのストライカーだと思いますし、次の試合も自分が決めてやるぞという強い気持ちを持って臨みたいと思います。
(桐横大戦という大一番に向けて、チームメートとも積極的な話し合いはあったか)
常にゴールの前のシーンもそうですけど、前線の選手として決めきれないシーンがすごくあったので。そこを中心に練習したというのと、3人目の動き出しのところを監督からは多く練習メニューに取り入れてもらったので。そこが今日生きたのかなと感じました。
(生きたと感じたポイントは)
FW1枚に対して、ボランチがFWの作った脇に出ていくとか、サイドハーフ、サイドバックとボランチ、FWがつながるとか。そこの距離感は比較的良かったと思います。
(今回のゴールの喜びを一言でお願いします)
Vamas!です。
(次節、法大戦への意気込みを)
今日の勝利を無駄にしないように、みんなで次節も勝って。本当に1週間全員で準備をして、今日のような試合、もっと楽な試合ができればいいですけど。みんなで最後まで走りきって、負けない気持ちやメンタリティーは付いていると思うので。しっかりと勝ってインカレに行きたいなと思います。
・鍋島暖歩(国2=長崎U-18)
チームとしては勝たないと次につながらないという状況で。前半から良い形でできたんですけど、先に失点してしまった。それでも崩れずに持ちこたえて、最後逆転することができて、いいゲームだったかなと思います。
(後半の投入後CKのキッカーも任せられていましたが、キックには自信はありましたか)
普段練習では蹴っていないんですけど(笑)。CKのキッカーがいなかったからですね。
(今回のような状況でのキッカーはかなり緊張する)
そうですね。実際緊張していたし。でも、やらなきゃなという気持ちはあったので。その中でやっていました。
(最後の得点シーン。どのような事を考えながら飛び込みましたか)
カウンターの状況で。試合に出る前から、途中から入ったら得点に関与してチームに貢献したいと思っていたので。その中で龍剛君(小野田)から良いボールが上がってきて、後は押し込むだけだったので、体で押し込んだという形ですね。
(心と一緒に)
そうですね。気持ちで押し込んだので。
(どこで押し込みましたか)
自分でも分からないんですけど、多分胸ですかね(笑)。
(実際にゴールを決めた率直な気持ちを教えてください)
勝ち越しゴールで。チームに貢献できて素直にうれしいです。
(次節法大戦に向けて)
勝てば自力でインカレ(出場)が決まるので、チーム一丸となって。個人としてもまた、ゴールをしてチームに貢献できるように。また勝って自分たちでインカレを決めたいなと思います。
・川上康平(国4=JFAアカデミー)
セットプレーで最初失点をしたのは、相手のストロングがセットプレーというのが、分析であった中での失点なので。そこは修正していかないといけないところです。ただ、今日の試合を全体的に振り返ってみたら逆転という形で、本当に勝たないといけない試合に勝てたというのは、チームにとってまた次にもつながったし。次勝てばインカレを決めれるという試合に持っていけたので、良かったかなと思います。
(昔、一対一を止める際の距離を詰めることの大切さを教えてくれました。今日はそれを多く実践し、セーブを見せた。一対一を止めれば止めるほど、距離感の大切さが分かる)
前回の日大戦で、一対一というかDFも付いてきていて、若干2対1のような状況で、自分がフロントダイブのような形で(ボールを)取りに行って。(相手に川上が)当たってはないんですけど、味方が倒してPKになったという場面で、勇気を持って行ったところは良かったんですけど、判断としてはステイでも良かったのかなと振り返りでは思うところがあった。今日もその(同じような)シーンが一つあって、そこで一回踏みとどまれたシーンは良かったなと。一本、一対一を止めたシーンは、相手も縦に向かって来ていて距離を詰めて。あれは自分の間合いだったので、自分がビビんなければ体に当たるところまで詰めれていた。あのプレーはあれで良かったのかなと思います。
(失点シーンの前にも何本かいいセービングがあった)
ヘディングをはじき出したシーンとかですかね。そんな派手なセーブではないと思うんですけど、枠内に飛んできたシュートをしっかり止めれたことは良かったのかなと思います。
(今日のような1点差の試合で、一本一本決定機をしっかり止めたことが勝ちにつながった)
大事なところでやられてしまうというのが、今年の東洋は多いので。常に後半も集中力を持って日頃からやっていますが、それでもやられていたのが今までの状況。でも、今日後半の失点を抑えて、チームで逆転できたので、次の試合につながる大きな収穫だったのかなと思います。
(後半の終わりにはかなりシンプルにボールを蹴りだしていた。それを全員が共通で意識しながらプレーしたことで安全に終われた部分はあるか)
前節の日大戦では、後半のアディショナルタイムに失点したというのがあるんですけど。その失点の仕方も、なかなかクリアできずに、相手の圧力を受けてしまって。前に前にクリアしようという気持ちはあったんですけど。なかなかそれで(相手が)前を向かせてくれず、クリアすることができずに相手の流れに持っていかれて、ゴチャゴチャなったところで自分たちが取り切れず、失点したという流れだったので。もう一度繰り返さないためにもクリアできる時に、前じゃなくても良いから一旦プレーを切ることを、自分はみんなに言い聞かせて。(アディショナルタイムは)2-1の状況だったので、時間を使いながら試合運びをできたら良いなとは考えていました。
(最後の方でもかなり安定感を感じた)
(相手の)セットプレーのところで自分が出れたというのは、一つ良かったところかなと思っていて。ただ、キックのところでまだ安定していないところがあった。普段よりは、多少安定感を見せれるプレーはあったのかなとは思いますけど、それでも全然100%ではない。やっぱり安定感のあるキーパーというのは、絶対に良いキーパーだと思うので、そういうところはもっと突き詰めていきたいなと思います。
(次節の法大戦に向けて)
去年もインカレに行けるかいけないか、というのが懸かった試合が法政さんとの試合で、去年自分はその試合でピッチに立つこともできなかったし、それで4年生が引退。本当に地獄というか。もうずっと記憶に残っているような試合だったので、今年はリベンジするという気持ちしかないので。今日勝った良い流れをまた来週に持っていければ良いかなと思います。
(勝ちしかない)
そうですね。勝ちしかない。勝ちに飢えて。自分たちが勝てば(インカレに)行けるのは間違いないので、他の結果とかはどうでも良いので。絶対に自分たちが勝って、それで全国を決めて。インカレも自分たちの代はみんな経験したことが無いと思うので、新しい舞台を経験できたら、また東洋の新たな後輩たちにもつながっていくのかなと思う。とりあえずまず来週勝って全国決めて、またインカレを戦ってという流れに持っていきたいなと思います。
[次節試合予定]
第97回関東大学サッカーリーグ戦1部第22節
11月18日(土) vs法大 埼玉スタジアム2002第二グラウンド 14:00キックオフ
※関東大学サッカー連盟公式Youtubeチャンネルにてライブ配信が予定されています。
※東洋大学生の方は東洋大学公式アプリ内のINFO→TOYO-Discover内に今節の案内があり、そこのGoogleフォームにアクセスしてもらうと、無料で試合を観戦できます。
勝てば5年ぶりのインカレ出場が決まります!皆さんぜひ熱い声援をサッカー部に届けてあげてください!!
TEXT/PHOTO=髙橋生沙矢