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第55回全日本大学駅伝対校選手権大会
11月5日(日)
名古屋・熱田神宮〜三重県・伊勢神宮内宮宇治橋前
総合14位 東洋大 5:26'33(106.8km)
1区(9.5km) 熊崎貴哉 27'39(11位通過・区間11位)
2区(11.1km)小林亮太 33'02(14位通過・区間16位)
3区(11.9km)奥山輝 35'30(15位通過・区間16位)
4区(11.8km)緒方澪那斗 35'41(15位通過・区間14位)
5区(12.4km)薄根大河 37'39(14位通過・区間10位)
6区(12.8km)村上太一 38'22(13位通過・区間6位)
7区(17.6km)西村真周 56'26 (14位通過・区間18位)
8区(19.7km)梅崎蓮 1:02'14 (14位・区間12位)
第2中継所 小林(左)→奥山(右)
レース前のアップをする熊崎
第6中継所 村上(右)→西村(左)
前を追う西村
ゴール間近の梅崎
名古屋・熱田神宮をスタートし、三重県伊勢神宮までの106.8キロを8人で繋ぐ第55回全日本大学駅伝対校選手権大会(以下、全日本)が11月5日に行われた。気温が上がり、過酷なレースとなる中、東洋大にとっても苦しい展開が続き、14位と悔しい結果で今大会を終えた。
1区、流れを決めるこの区間を任されたのは4年生の熊崎(済4=高山西)。3年間、三大駅伝での出走はなく、先月行われた出雲駅伝で初めてそのチャンスをつかんだものの、レース後には納得のいかない表情を見せていた。リベンジを誓う熊崎は、スタートラインに立ち、最初で最後の全日本をスタートすると、集団の先頭に位置付ける。5キロ手前、青学大の若林が仕掛け、集団を抜け出すと、それを追う2位集団を積極的に引っ張る。ラスト、仕掛け合いが始まると、先頭からは少し遅れたものの、粘りの走りで20秒差にまとめた。「怯まず前に」。終始集団の前方でレースを進め、脈々と受け継がれてきた東洋の攻めの走りを体現した。
エースが集った2区。熊崎からタスキを受け取った小林(総3=豊川)は、20秒前を行く先頭を目指して走り始めた。しかし、なかなか思うような走りができず、順位を3つ落とし、14位に。各校、力のある選手が多く揃った区間で「メンタルの弱さが浮き彫りになってしまった」と肩を落とした。
続く3区は奥山(総4=浦和実業)。鉄紺のタスキを1つでも前へ。しかし、「大舞台で緊張して身体に異変を起こしてしまった」と語り、レース中に腹痛に襲われ、苦しいレースに。1つ順位を落とし、15位でタスキをつなぎ終えると左腹部をおさえ、しゃがみこんだ。レース後、「積み上げてきた練習や自分の持ち味を何一つ出せずに終わってしまった。」と振り返る奥山。無念の11.9㎞となった。
4区は当日変更で入った緒方(総2=市立船橋)。出雲駅伝では1区で好走し、東洋大のエースに名乗りを上げた。流れを変えるべく、懸命に前を追ったが、なかなか差は縮まらず、順位を上げることは叶わなかった。箱根に向けて、各校のエースと勝負できる選手に。彼が真のエースになる日が待ち遠しい。
レースも折り返し、5区。緒方からタスキを受け取ったのは、三大駅伝初出場の薄根(総1=学法石川)。今大会、1年生で唯一の出走となった。5月に行われた男鹿駅伝のレース後には「今のままではメンバー入りは厳しい。夏合宿を経てメンバー入り、そして出走したい」と語っていたが、見事な有言実行。枠を勝ち取り、同学年で最初の三大駅伝デビュー戦を迎えた。「このままでは終われない」という強い気持ちでスタートし、単独走の難しさを感じながらも、順位を1つ押し上げる走りで初めての三大駅伝を終えた。
続く6区は昨年に続いてこの区間を任された村上(理工4=北見緑陵)。「次に待っている後輩たちのために」と、4年生としてあきらめない走りを見せた。40秒差を巻き返す力走でさらに順位を1つあげ、今大会の出走メンバーの中で一番良い、区間6位。しかし、自身の昨年の記録には及ばず、悔しさが残る結果となった。「東洋らしい、闘争心のある1秒を削り出す走りができなかった」と振り返る村上。チームを立て直し、最後の箱根で返り咲きを目指す。
例年、ハイレベルな戦いが繰り広げられる7区は西村(総2=自由ヶ丘)。13位という厳しい位置でタスキを貰うと「なんとかしないといけないと思った」と、必死に前を追った。後半は苦しい走りになり、最後は倒れこむようにしてタスキリレー。順位は1つ落としたものの、気持ちのこもった走りをみせた。
東洋大のアンカーを託されたのは梅崎(総3=宇和島東)。なかなか前が見えず、単独走となったが、淡々とペースを刻んだ。少しずつ前との差を縮めるも、順位は変わらず、そのまま14位でのフィニッシュ。ゴールで待つメンバーも悔しげな表情で梅崎を迎えた。
3位以内を目標に掲げて、期待を背負い挑んだ全日本。目指した先は遠かった。出走できない主力選手がいる中でも、懸命に戦ったが、結果は厳しいものだった。しかし、これで終わる鉄紺ではない。レース序盤、集団を引っ張る1区熊崎の左腕に力強く書かれた「東洋の再建」の文字。苦しい時こそ前に。強い東洋を取り戻すべく、彼らの挑戦は続く。彼らが箱根を笑顔で終われることを願って、その挑戦を最後まで見届けたい。
■コメント
・1区 熊﨑貴哉選手
(試合を振り返って)今回は1区という重要な役割を任せていただいたので、上位でタスキを繋いで良い流れを作ることを目標に走りました。結果としてはトップと20秒差の区間11位というまだまだ課題の残る結果となってしまいました。もっと前でタスキを繋いで良い流れを作り出したかったです。また、今回は全日本駅伝でシードを落としてしまい、自分の責任だと自覚しています。来年に予選会を走ることになってしまった後輩達に申し訳ないと感じています。(スタート前の心境は)スタート前は緊張はしておらず、自分がチームに流れを作ることを意識してとても良い心理状態でした。(見えた課題は)スパートを仕掛けるポイントを見極めることと、仕掛けどころで行き切る自信をつけることです。(箱根駅伝に向けて)箱根駅伝は絶対にシードを落とすことができません。最初で最後の箱根駅伝となりますが4年間の集大成を発揮できるように残りの日数でその1秒をけずりだせる生活、練習をしていきます。(今後の目標は)箱根駅伝で区間賞を取りチームのシード権獲得に貢献することと、お世話になった方々への恩返しを箱根駅伝でしたいです。
・2区 小林亮太選手
(試合を振り返って)今回は2区を走らせていただきましたが自分の走りでチームの流れを途絶えさせてしまい、個人としてもチームとしても目標から程遠い結果となってしまいました。(タスキを貰った時の心境は)先頭と差があまりなかったので追いつくつもりで走りました。(見えた課題は)自分のメンタルの弱さが浮き彫りとなってしまった。(箱根駅伝に向けて)まずは走り込みとフィジカルを徹底的に行いたいと思います。(今後の目標は)全日本では惨敗となりましたが箱根駅伝では3位以内が目標です。そのために個人でも区間賞を取れるように頑張りたいと思います。
・3区 奥山輝選手
(試合を振り返って)序盤に自分の管理不足から腹痛を起こしてしまい、全く自分の走りが出来ませんでした。積み上げてきた練習や自分の持ち味を何一つ出せず、良いところはありませんでした。(タスキを貰った時の心境は)とにかく1つでも前に持っていこうと考えていました。(見えた課題は)大舞台で緊張して身体に異変を起こしてしまったため、常に本番をイメージして緊張に慣れていく。(箱根駅伝に向けて)身体作り、気持ち、走り一つ一つ不安要素を完全になくして自信を作っていく。(今後の目標は)ハーフマラソンでの自己ベスト更新。
・4区 緒方澪那斗選手
(試合を振り返って)流れを変える走りも出来ず、何も出来なかった11.8kmでした。(タスキを貰った時の心境は)自分が流れを変えるという強気な気持ち。(見えた課題は)どんな状況、場面でも自分の走りができるようなところ。(箱根駅伝に向けて)チーム目標である3番以内をとり、個人としても各大学のエースと勝負していく。(今後の目標は)ハーフマラソンなどでしっかり結果を残していく。
・5区 薄根大河選手
(試合を振り返って)後半区間の始めであるものの流れを変えることが出来ず、悪い流れのままタスキを繋ぐだけになってしまいました。(タスキを貰った時の心境は)4区終了時で学連含め15位だったこともあったので、このままでは終われないという気持ちでした。(見えた課題は)単独走になった時にペースが安定せず、きつい時に落ちてしまっていたことです。(箱根駅伝に向けて)強い東洋を取り戻す為にも、生活や練習から1秒1秒、一つ一つの動作を大切にしていきます。(今後の目標は)全日本では惨敗でしたが、箱根では区間上位、総合では3位以内で強い鉄紺の再建をして臨みます。
・6区 村上太一選手
(試合を振り返って)チームとしては駅伝になっておらず目標から程遠い結果となってしまい、個人としては昨年の自分を超えられず悔いの残る試合となりました。(タスキを貰った時の心境は)諦めずに前を追って流れを変えて、少しでも次の後輩達が走りやすい位置で渡そうと考えました。(見えた課題は)メンタルが繊細で自信が無く、走りに闘争心が見られず、1秒を削りだす東洋らしい走りが出来なかった事が課題です。(箱根駅伝に向けて)もう一度雰囲気を作りチームを立て直し、上位に返り咲けるようにしていきたいと思います。(今後の目標は)箱根駅伝で上位入賞、区間賞を出したいです。
・7区 西村真周選手
(試合を振り返って)チームでの順位、個人の順位ともにとても悔しい結果となった。(タスキを貰った時の心境は)何とかしないといけないけど、かなり厳しいと思った。(見えた課題は)試合での集中力やピークの合わせ方、自分の状態を把握しておくこと。(箱根駅伝に向けて)今回の悔しさを必ず晴らすため、全ての時間を箱根に費やすくらいの気持ちで過ごす。(今後の目標は)三大駅伝での区間賞。
・8区 梅崎蓮選手
(試合を振り返って)個人としてもチームとしても不甲斐ない走りだった。(タスキを貰った時の心境は)前が見えなかったため、1人で淡々と走ること、前に少しでも追いつくことを考えていた。(見えた課題は)スピード持久力、体力。(箱根駅伝に向けて)全力を出せるように走り込みをする。(今後の目標は)強くなる。
TEXT=近藤結希
PHOTO=高橋生沙矢、坂庭遥人、近藤結希、宮谷美涼