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2015.09.13
硬式野球

[硬式野球]増渕好救援!1年ぶりの白星

平成27年度東都大学野球秋季2部リーグ戦・東農大1回戦

9月12日(土)東洋大グラウンド

東洋大4-3東農大


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五回無失点と好救援の増渕



 「今日の登板は正直考えてなかった」。周囲も本人も予想外。先週の国士大2回戦では6回途中で降板していた4年生左腕増渕(営4・鷲宮)。「2番手を奪うことができたのに最初で失敗してしまった。次は取り返してやろうという気持ちでこの一週間を過ごしてきた」。突然与えられた汚名返上のチャンスに、しっかりと応えてみせた。

 エース・原が痛恨の2点本塁打を浴び降板し、後を受けた投手も悪い流れを断ち切れない。そんな中で「原が投げた試合では負けられない」。強い思いを胸にマウンドに向かった。

 最大の山場は九回。先頭打者に2度の大ファールを打たれ、結局歩かせてしまう。その後さらにピンチは広がり、2死二、三塁で迎えた9番打者との対戦。2球で追い込み、ファールを挟んだ4球目、「(打者が)全然反応していなかったので」と城戸(営3・常葉橘)が要求したのは内角の直球。その球が打者の太ももに当たり、まさかの死球となってしまう。「自分が勉強しなければいけないところ」と話した城戸はこの試合が公式戦初出場。重要な場面で経験の浅さが出てしまった。しかし、満塁のピンチを招いても増渕は落ち着いていた。押し出しならサヨナラ負けとなる、フルカウントからの8球目。「追い込んだ時は流れを呼び込もうと、三振を狙って投げていた」と言葉通り、渾身の直球で空を切らせる。最大のピンチを乗り切ると延長戦では、別人のような投球で一人の走者も許さなかった。無失点のまま味方の援護を待って迎えた十二回表、阿部健(営3・帝京)が右越えの決勝適時打を放ち、初めてリードを奪った。その裏、増渕は危なげない投球で三者凡退に抑え、昨秋の日大2回戦以来、約1年ぶりの勝利を上げた。

 試合後増渕は、「勝ち点は落とせないので、全部の試合に全力で投げていく」と話し、その言葉からは自信がみなぎっていた。「原を引っ込めて勝ったのは、このチームになって初めてじゃないかな」と言うのは高橋監督。もう原だけとは言わせない。


■コメント

・増渕(営4・鷲宮)

 今日の登板は正直考えてなかった。自分は明日だと思っていたので、登板前の準備は全然していなかった。原が投げた試合では負けられないので、原が打たれた後に自分が抑えられたので良かった。(国士2回戦で負け投手になったが)オープン戦で調子が良くて、2番手を奪うことができたのに最初で失敗してしまった。次は取り返してやろうという気持ちでこの一週間を過ごしてきた。(9回の投球について)延長戦が頭にあって、少し力んでしまった。先頭打者には何度もあわやという当たりを打たれたが、コースをついていたのでファールで済むだろうと思っていた。次の対戦では外中心で内野ゴロに打ち取れたので良かった。調子は良くなくて体に力が入らなかったので、早め早めに打たしていこうと思って投げた。でも、追い込んだ時は流れを呼び込もうと、三振を狙って投げていた。

勝ち点は落とせないので、全部の試合に全力で投げていく。次回以降は無駄な四球を減らして、毎回三者凡退で流れを呼び込むピッチングをしていきたい。


・城戸(営3・常葉橘)

 増渕さんの調子自体はあんまり良くなかった。急きょ登板という形になったけど、最終的にはゲームを作るピッチングをしてくれたので、自分もすごくリードがしやすかった。特段悪いというボールは無かったけど、直球を中心に組み立てていった。自分が初出場で、相手チームにもデータが無いのでいろんなことができると思ってリードした。(9回に満塁のピンチを招いたが)死球はその前のボールで外角に手を出してきていたし、内角の球に全然反応していなかったので要求した。結果的に当ててしまい、自分が勉強しなければいけないところだと身に染みて感じた。(それ以外の回は三者凡退に抑えたが)そこは本当に増渕さんの経験値に助けてもらった部分が多かった。(次戦に向けて)春は原さんが8勝したけれど、そういう風にはいかないと思っていたし、実際に国士大との試合でも痛感した。今日の試合で点を取られた試合でも、ひっくり返す力があるとみんな分かったと思う。今日のようなゲームも多くなってくると思うので、誰がどんな場面で出てもいいような、個々の準備を全員でしっかりとして今日のような展開に持ち込みたい。


TEXT=菅野晋太郎 PHOTO=伊藤梨妃