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第91回関東大学バスケットボールリーグ戦
9月20日(日)東洋大学総合スポーツセンター
東洋大90-71関学大
20|1Q|16
19|2Q|24
26|3Q|17
25|4Q|14
スタートメンバー
2 山口健大 (済3・桐光学園)
25 島崎脩 (ラ3・松本蟻ヶ崎)
29 岩淵俊也 (済2・新潟商)
54 マッカーサーエリックジュニア (国1・デイナ)
88 山本大貴 (済3・市立船橋)
中村はプレーでチームを鼓舞する
ルーキーらしいがむしゃらなプレーが光ったエリック
2連勝とようやくエンジンのかかった東洋大。今回の相手は、現在全敗中でリーグ最下位の関学大だ。確実に勝利を手にし、これからの試合の後押しにするべく選手たちは戦いに挑む。立ち上がりに苦戦するものの後半は盛り返し、勝率を五分に戻す貴重な白星をつかんだ。
「試合の入りに尽きた」。山口が苦い表情で語る通り、今季のチームの弱点は序盤のディフェンスだ。昨日に引き続き今日も選手たちの動きが硬い。中途半端なディフェンスは相手にチャンスを与える形となり、嫌な空気がチームをおおう。しかし、エリック(国1・デイナ)の日本人離れした長身とばねを駆使したリバウンドなどの活躍が攻撃に火をつけた。結果、1点ビハインドと点差を抑えるも、依然として前半は課題が残った。
気持ちを入れ替え臨んだ後半はチームの要である3選手、中村(済3・幕張総合)、山口(済3・桐光学園)、山本(済3・市立船橋)が躍動した。先陣を切ったのは、オフェンスに特化している山口だ。自ら中に切り込み、気迫のこもった攻めを見せると、そのまま一挙に4連続得点を挙げ会場を沸かす。続いて、センターとしての技術が光る山本が魅せた。体を張ったインサイドからのシュートやゴール下での泥臭いプレーがチームの攻撃の機動力となった。追い打ちをかけるように、中村はスリーポイントで点数を量産した。ガードとしての役目を果たしつつ、相手の不意をつくシュートは試合を重ねるごとに安定している。それぞれの個性の強い力が合わさったとき、ペースは完全に東洋大のものとなっていた。また、ディフェンスも前半とは一変プレスの激しさを増し、相手の得意とされるスリーポイントも封じることに成功。勢いそのまま90対71で3連勝目を飾った。
白星を獲得したものの「上のチームを考えると1Qと2Qのディフェンスをどうにかしないといけない」と目(さっか)監督は厳しく語る。だが、このチームの強みもまたディフェンスだ。後半からの3人の華やかな得点力は評価されるものだが、ディフェンスが前半のままでは意味をなさない。攻めと守り、どちらも重要なファクターでありそれを担っていくのは部員全員である。チーム力が試される今、この欠点とどう向き合っていくかが、今後の勝敗の明暗を分けることになるだろう。
■コメント
・目(さっか)監督
関学大はスリーポイントがよく入るので、そこをケアしたけれど1Qと2Qはあんまり良くなかった。3Qからはプレスを仕掛けていって、守りを強化したのでそこが良かった。上のチームを考えるともう少し1Qと2Qのディフェンスをどうにかしなければいけない。けれど勝因もディフェンス。反省点は1Qと2Qのディフェンスの入りとガードがゲームをつくり切れていないこと。流れが悪かったとき、フォーメーションをもっと使えば良かったのに使い切れなかった。(中村、山口、山本に関して)中村はガードをもっとしっかりしていかなければいけないし、山口はまだボールを持ちすぎている部分がある。そして山本は、柱なのでもう少しチームを引っ張っていってくれれば、もっと安定したチームになる。(次戦に向けて)日体大は全勝できているので、ここから一個勝って波に乗りたい。
・中村(済3・幕張総合)
昨日と同じように前半ディフェンスが悪くて失点が多く、五分五分の戦いになってしまった。後半立て直せたのが勝因だが、もっと上位のチームだとそれも厳しいと思うのでまだまだ課題はいっぱいある。(個人としては)シュートが決まったのはたまたま。でも入って良かった。相手があまり大きくなかったので、山本やエリック、小川がリバウンドを頑張ってくれて助かった。(次戦の)日体大は大きいのでまた下の人たち(センター陣)が勝負になってくると思う。頼りきりではなく、自分たちもリバウンドにも参加して、そこから走っていい流れでオフェンスができればいい形になると思う。五分に戻せたことは大きいし、次勝てば勝ち星が先行するので上位を目指すためには勝たなければならないし、頑張りたい。勝ちます!
・山口(済3・桐光学園)
関学大戦は点数を取る選手がはっきりしていて、そこの選手を好きにやらせないというのを監督から言われたので、そこに注意してやってきた。チームとしては、昨日も今日も出だし悪かったので後半で粘って点数を離せたということがあって、それはディフェンスできちんと足を動かせるようになってきて、相手の嫌がるプレーを我慢強くできたから、そこが良かった。でも、試合の入りに尽きたと思う。試合の入りが悪かった。それは気を抜いているわけではないと思うけれど、動きが硬かったり、ふわっと入ってしまう部分があるので、そこは選手一人一人何でだろうという気持ちがあると思う。個人的には安定してプレーできたということが良かった。けれど全然納得したプレーはできていない。反省点は入りの点が伸びなかったときに、自分が点を一人で取りにいくというよりは、自分がドライブしていって周りの選手にシュートを打たせて点を取るということをずっと意識してやってきたが、それが全然できなかったこと。あと後半でターンオーバーをしまったこと。(次戦に向けて)次の相手は全勝しているチームで、練習試合とかもよくしているので、お互いチーム状況をわかっている。真っ向勝負という感じなので、自分たちの良さを前面に出して最初から戦っていきたい。
・山本(済3・市立船橋)
小さくて走ってくる相手だとわかっていたので、そこを抑えようと話していた。ただ前半が昨日と同じように走られることが多かったので次回直さなければと。(勝因は)後半立て直しができたことと、相手が小さい分インサイドの小川、エリック、自分がリバウンドを飛び込んでゴール下で点を取れたので良かった。鷲見がけがをしている分、プレー時間を増やしている小川などがリバウンドとか泥臭いプレーをやってくれていると思う。(自身の調子は)最初の3試合に比べたら良くなったかなと。(終盤は後輩たちも出ていたが)もう少しプレータイムがあればいいプレーが出ていたと思う。短いプレー時間で一つでもいいプレーをしてほしい。(日体大戦に向けて)大きいし当たりも強いし勢いづいているチーム。持ち味のディフェンスをやっていれば勝てると思うので、抑えるところは徹底的にやって走りたい。やっと勝率五分になって勝てれば勢いに乗れると思うので、絶対勝ちたい。
・エリック(国1・デイナ)
前半は調子が悪かったが、みんなで集中して落ち着いていこうと話したことで切り替えができて、後半からのチームワークの良さで勝った。自分たちのバスケができた。(個人的には)リバウンドを取れたことと走れたことは良かった。でも、イージーシュートを落とす場面が多かったので、そこは反省。次からはホーム(東洋大スポーツセンター)ではなくなって、日体大が会場で日体大と対戦なので、最初から負けているという気持ちで頑張りたい。
TEXT=山下華歩 PHOTO=石田佳菜子、木谷加奈子